高校、詳しくないとどこがいいのか良く分からない問題
「まさかまだ何も決まっていらっしゃらないのですか⁉」
都が驚きの表情を浮かべる。
「そ……そんなことはないぞ?」
俺は咄嗟に目を逸らす。
「じゃあ、どこに行かれるのですか? 三高のどこかですか?」
三高? さっぱり分からん。
「考え中だ……」
それだけ振り絞った。
「じゃあ、決まったら必ず教えてくださいまし! 必ずですわよ!」
なんでそんなに知りたがるんだ。
「わ、分かった」
そう返すのが精いっぱいだった。
家に帰った俺は、進路について考える。
別に陰陽師としては、高校は不要である。
行かなくても良いか。
「高校に行かないのですか⁉」
考えを母に伝えた所、驚愕の声を上げていた。
「別に不要かと……」
俺の言葉を聞いた母は奥に消えたと思うと、大量の高校のパンフレットを持ってきた。
「勿論私は無理やり貴方を行かせるつもりはありません。貴方がこの家の復興のために頑張っているのも知っています。ですが……高校生活は人生に一度きりです。普通の学生らしい生活を少しは送ってもよいと思うのです」
母はとっても高校に通って欲しそうだ。
「う~ん。仕事とか入った時困るからなあ」
「陰陽科もあるのよ、道弥! ここなら陰陽術についても学べるし、陰陽師免許を持っていたら、仕事のために公欠もできるんだって! 陰陽科のある高校からいっぱい推薦も来ているんだから、どう? 全部で八十校以上から来てるの」
そう言って、もらったパンフレットを見る。
凄まじいパンフレットの山が積まれていた。気にしてなかったが、こんな来ていたのか。事務所をやってから変なものばっかり届くから無視してたんだよな。
パンフレットを元にスマホで高校事情を調べる。
陰陽科のある高校は全国に八十校以上あるようだが、その中でも有名なのは三校。
東京都にある国立陰陽第一高校。
同じく東京の私立白陽高校。
そして京都府にある私立七星院高校。
一九七二年、妖怪からの被害が急増したことから陰陽師育成が急務であることを感じた国が、国立の陰陽師養成学校である国立陰陽第一高校を東京に開く。
その後陰陽師が国のヒーローとなるような活躍を見せることで多くの陰陽部や陰陽科が乱立し、私立の陰陽師養成学校も増加した。
白陽と七星院は優秀な陰陽師を多く輩出し、三校と呼ばれるまでとなった。
中でも白陽はここ五年で第一と並ぶ結果を出しているようだ。
母の気持ちは分かるが……そこまで興味は湧かないな。
「まあ、考えとくよ」
俺はそう言って、席を立った。
「……興味ないのね。それならこちらにも考えがあるわ」
母の最期の言葉が気になったが、スルーすることにしよう。
だが、母は思ったより行動力があったようだ。
「こんにちは。私立白陽高校のスカウトをしている足立と申します」
翌日、我が家にスカウトと陰陽師の二人がやってきた。
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