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出演ですか?

 二条さんの紹介か。宣伝すると言っていたがまさかテレビ局に宣伝していたとは。


「どうもご丁寧に。出演依頼? テレビでトークなんてとてもじゃないができませんよ?」


「いえ、そういう内容ではなくて。実はとある島で怪奇現象が起こっておりましてそれをタレントと共に取材に行って欲しいんです。ゴールデンタイムの特番を予定してます。今陰陽師は流行りですから! 妖怪の可能性が高いため、優秀な陰陽師にもついて頂きたいということで今話題の道弥さんにオファーを」


 タレントの用心棒ってところか。

 面倒というが正直なところだ。

 だが、二条さんの紹介というのがな。二条さんの顔に泥を塗る訳にもいかない。

 それにきっと善意で宣伝してくれたのだろう。


「四級依頼と同等の条件であれば。妖怪を祓うことは依頼に入らないということでよろしいですか?」


「それは勿論そのつもりです。祓うまでは考えておりませんので。今回は躍動感のある動画を撮りたいため、カメラマンは同行しません。タレントさんの持つカメラで撮ることになりますのでお願いします」


 それ予算がないだけなのでは、とは言い難い。


「承知しました」」


 その後条件について細かく尋ねた後、二人は席を立つ。


「急な話ですみませんが、三日後に東京駅にお願いいたします。私がタレントに道弥さんを紹介いたしますので、その後島に向かっていただくようお願いします」


「はい。こちらこそよろしくお願いします」


 変な依頼が多いな、と俺は思わざるを得なかった。


 ◇◇◇


「山下さん、どうでしたか? 噂の生道弥さんは? 美少女に、和服のイケメンに犬、なんかメンツも変わっているよな。それにあの少女、そこらのアイドルより絶対に美人だぜ? 仕事じゃなければスカウトしていた所だよ」


 事務所を出てしばらくしてディレクターの小池が山下に尋ねる。山下を同行させたのは、道弥がどれほどの者か確認したかったからだ。


「本人は霊力を隠していたから分からないですが、あの少女と和服の人、あの二人は化物です……」


 山下は真っ青な顔で震えながら言う。


「化物!? どういうことだ? 優秀な陰陽師ってこと?」


「違います! おそらく彼らは道弥さんの式神です。それもとびっきりの大物の妖怪です。彼等は妖気を隠す気がなかった。私レベルでは到底その強さすら測れない程の大妖怪です」


「彼はそれほどか……。それほどの大物の初映像をうちの局がもらえたのはラッキーだな。将来お宝になるかもしれない」


 小池からすればいまいちピンとこない話だった。だが、山下がそれほど言うのであれば今回の依頼は簡単だろうと、喜んだ。

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