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転生少女は悪魔と共に ~異世界は神より悪魔頼み!?~  作者: 黒猫ている
4章:波瀾万丈学園生活の幕開けです

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49:噂話

お兄様に、恋人が居る?

女生徒達の噂話を耳にした瞬間、目の前が真っ暗になるのを感じた。


お兄様だってアカデミーを卒業してもう一人前と言われる年齢だ。

そりゃ恋人の一人や二人、居てもおかしくはない。


でも、本当にお兄様が?


私は何も知らない。

何も聞いていない。

私の知らないところで恋人を作っていたというの?


考えてみたら、私はお兄様のアカデミー時代の交友関係をほとんど知らないんだ。

今の私と同じように同年代の学友達に囲まれ、王都で過ごした三年間。

恋人は勿論、将来を誓い合うような相手が居ても不思議はない。


胸が苦しい。

この気持ちは、なに。


裏切られたなんて思う必要は無い。

無いはずなのに、その想いがどうしても拭い切れない。


ねぇ、お兄様。

お兄様は私に隠し事をしていたの?

それとも、あえて言うまでも無いと黙って居たの?


教えてよ。

何を考え、どうして私に優しくしてくれていたの。


なんで、なんで、なんで――。




「本当だとしたら、ショックだなー。でもそれ、誰が言っていたの?」


続いて耳に響いた言葉に、ハッと我に返る。

咄嗟に壁に隠れるようにして、再び耳をそばだててしまう。


「人伝に聞いただけだから~。私はこの子から聞いたし」

「え~、私は確かぁ……」


会話の間の僅かな間が、酷くもどかしい。


「そうそう、フィリス様から聞いたんだった!」


――フィリスと言えば、フィリス・クワイン伯爵令嬢だ。


彼女の名前が出た瞬間に警戒が走るが、お兄様に関することで何かしたなら、ティアニー公爵家の次期当主と正面切ってことを構えることになる。

いくら彼女が迂闊で私への嫌がらせに熱心だとしても、そこまでするだろうか。


女生徒達に気付かれないように、廊下を歩き出す。

教室に戻って、自身の席に座るより先に、向かったのはクワイン伯爵令嬢の席。


「な、何よ」


突然私が机の前に立ち塞がって、流石の彼女も面食らったようだ。

細々とした嫌がらせはしても、直接向かわれると弱いのかもしれない。

案外可愛いところがある――なんて、今更そんなことでイメージが改善されるはずもないのだけれど。


「聞きたいことがあるの」

「は? 貴女が? 私に?」


心外だとばかりに、クワイン伯爵令嬢が顔を顰める。


「別に込み入った話がしたいわけじゃないわ。貴女がお兄様のことについて、噂していたと聞いたものだから」

「ああ、あの噂」


なんだそのことかとばかりに、令嬢が頷く。


「私だって、人から聞いただけだもの。事の真偽は知らないわよ」

「それでもいいの。知っていることを教えてちょうだい」


私が食い下がると、はぁとばかりに令嬢がため息を吐く。


「教えても何も、貴女が一番良くしっているでしょ。実の兄と、親友のことなんだから」

「え?」


クワイン伯爵令嬢の言葉に、思わず首を傾げる。

確かにお兄様についての噂を聞きに来たのだけれど、どうしてそこで親友が出てくるのか。


……胸がざわつく。


「本当に何も知らないの? ティアニー先生とデイヴィス伯爵令嬢が付き合っているっていう話」


まるで足下が急に消えてしまったかのようだった。

真っ直ぐ立っていられない。

無重力空間に突然投げ出されたような不安定さ。


堪らず、クワイン嬢の机に片手をつく。


「小公爵様がデイヴィス嬢を抱き上げて、仲睦まじくお喋りしていたって噂よ」


足下だけではない。

世界の全てが消えて、色を失ってしまったかのようだった。

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