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『Freedom Frontier』  作者: 雪沢 泉
2章.“battle of the Imperial City ”
45/45

2━20(終).後始末


最初は千夜視点じゃありません






『はぁ!? 何をどうしたらそんな所に行けるんだよ!』


『説明は後だ、こんなデカブツあったら困るだろ? 壊すのが手っ取り早いけど、爆発なんとか出来ないか?』


『あー……クランマスターなら、なんとか……』


『グレイマンさん凄いな、それじゃ、頼んでみてくれ』



千夜とフレンドトークをしていた霧羽は、フレンドトークが切れると、近くでロボットを破壊していたグレイマンに近づいていく。



「クランマスター」


「ん? 霧羽か、どうした?」


「千夜があの上にいるらしいんですけど」


「あの上って、あの上か?」



グレイマンが、巨大兵器を指差し、霧羽が頷く。



「んで? 奴はどうするって?」


「邪魔だから壊すらしいですけど、爆発なんとか出来ないかって」


「ああ、そういうことなら俺の出番だな。が、一人じゃ無理だな…まぁ、後二人いるし大丈夫だろ! 約一名心配だがな」


「おい、そりゃ俺のことかおっさん」



グレイマンの後ろからぬっと現れた華天が、講義の声をあげるが、グレイマンは頼んだ、と言ってガン無視した。


その後、《虹薔薇の騎士団》一、話の分かる人間である、青薔薇ことアスルからネルにも事情が伝わり、三強が巨大兵器を三つの点で囲むようにして待機した。



「よし、霧羽! 準備出来たぞ!」


「了解! 千夜、思いっきりやれ!」


『任せとけ』



巨大兵器の上で待機していた千夜は、真上に飛び上がって巨大兵器を見下ろす。



「時間ギリギリだな、食らえ! 『竜の息吹(ドラゴン・ブレス)』」



【覇氣】、【破壊撃】、そして【溜め】を使った、千夜渾身の、最大の攻撃。全てを消し飛ばすが如き光の奔流が、巨大兵器を貫いた。



光出す巨大兵器の顔の前、グレイマンはニヤリと笑って大剣を振るった。



「『アッシュ・カタストロフ』!」



放たれるのは、全てを飲み込む灰の波、爆風を飲み込んで灰へと変えていく。



巨大兵器の右斜め後ろ、周囲を凍らせながら、ネルは静かに瞳を閉じていた。



「『絶対零刃(アブソリュート・ゼロ)』」



縦に振られた細剣から放たれた斬撃が、一瞬で爆風や金属片を周辺の空気ごと凍らせ、一拍おいて小さな氷の粒になった。



巨大兵器の左斜め後ろ、自身の眼前の地面に、八本の無刀を突き刺した華天が、仁王立ちしていた。



「『八刀陣・封殺壁』!」



八本の刀を起点として、火や光、水、風等で出来た巨大な壁が出来上がり、爆風を外に出さないように押し止めた。



千夜と三強の活躍により、巨大兵器は被害をほぼゼロにして破壊することが出来た。



王都襲撃事件


・軽傷者212人。


・重傷者38人


・死亡者0人


・建物半壊、全壊多数



多数のプレイヤーの活躍により、死亡者は一人も出なかった。しかし、建物の大多数が半壊、全壊の建物も出ており、暫くの間は復旧作業となるだろう。



「失敗か………」



ファルノートから離れた場所の上空。


小型飛空挺に乗ったヴァイスは、今回の襲撃が完全に失敗に終わったことが分かった。自身の目的も達成出来なかったが、まだ時間はある。暫くは準備期間だと、自身に言い聞かせた。



「面倒だなまったく、帝国も、アンタも」


「………ウルか」



甲板にいつの間にか現れた人物を、ヴァイスは苛立ちを隠そうともせずに睨みつける。



「おお、怖い。怖い。なんで同盟って道を選べないのか、俺には理解出来ないよ」


「何も知らない貴様では、それも仕方ないことだろう。黙って従っていればいいのだ」


「断る。いざとなったら━━━」



続きを話す暇もなく、ヴァイスの方から飛んで来た弾丸を、ウルは蹴りで弾き飛ばす。



「……逃走させてもらうわ。じゃあな」



背中から落ちていくウル。しかし、落ちた程度ではウルが死なないこと、というか、落ちないことを知っているヴァイスは、忌々しげに舌打ちした後、挺の進路を帝国に向けた。



王国と帝国。両者の戦いは、一部の者にとっては、まだ始まってすらいないのだ。





















王都襲撃から3日。復旧作業は未だに続いている。


俺は桂月や、《黄昏の灰トワイライト・アッシュ》の人達と、復旧作業クエストをやったり、屋台をやったりして過ごしている。ちなみに今日は、桂月と何故か城に来ている。


なんで城?



「なぁ桂月」


「なに?」


「俺なんで城にいるんだ?」


「王都を救ったことに対するお礼と、表彰と褒

美と━━━」



豪華なソファーから立ち上がって、出口へと向かう。


桂月に足を掴まれた。



「何処に行くの?」


「帰る」


「駄目」


「いや、お礼とかいいから、表彰とかやだから、別に褒美とかいらないから」


「そういう訳にもいかない」


「嫌だね」



止めるなら全力で止めることだな、こちとら壁を破壊してでも出て行くぞ。



「お待たせ……え?」



王女様が来るまで、俺と桂月は物を壊さないようにしながらてを抜いて戦った。


この国の第一王女、フェリシアに、表彰やら褒美の件を断固拒否した。



「分かりました。でも、お礼は言わせてくださいね。王族と民、そして国を代表して、王都守っていただき、ありがとうございます」



丁寧にお辞儀をするフェリシアに、少し驚く。まさか、本当に固辞出来るとは思わなかった。



「ふふふ。何か相談があったら言ってくださいね。何時でものりますから」


「成る程。そうきたか」



褒美は後日要相談ってことかな? あ、それなら



「それじゃあ、ちょっと欲しい物が━━」





















『本当に宜しいんですか?』


「あぁ、マスターの紅茶を早く飲みたいし、二階の部屋の一つを使わせてもらうから」



王女様に頼んだのは、寝泊まりが出来る、カウンター付きの空き店舗だ。マスターのお店として、マスターに使ってもらおうと思って頼んだ。


二階のほうの一室を俺が使わせてもらうことにすれば、俺への褒美にもなる。



「なんなら、俺とマスターでクランを立ち上げたりしてもいい」


『こちらとしては願ったり叶ったりです。ありがとうございます』


「その代わり、俺と桂月には半額で頼む」


『無料と言わない所が千夜さんらしいですね、分かりました』


「もうすぐ合流できそうか?」


『えぇ、明日にでも』



俺より早いな。ま、そのほうがいいか。


さてさて、暫くはのんびりしたいな。青い空を見上げながら、俺はそう思った。






━━2章.“battle of the Imperial City ” 終━━


神々ノ視点はお休みです。


申し訳ありませんが、暫く投稿が不定期になります。

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