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20 お客さん

 プレイ2日目。


 しかし、いきなりゲームではなくてリアル側の都合で、ちょっと待っている。

 そんなお昼ご飯を食べた後の昼下がり。


 ピンポン。


 来た来た。


『こんにちは、北川きたがわです』


 やってきたのは沙理(さり)ちゃんだった。

 リズちゃんってずっと呼んでたから、なんだか変な感じすらする。


「どうぞ、上がってください」


 緊張する。まさか紗理ちゃんがうちに来るなんて。


 目的は僕とおうちデートで、一緒に寝てらぶらぶでVRゲームをプレイするから、というわけじゃ残念だけどない。


「あ、沙理お姉さん、こんにちは。お待ちしていました」


 うちの義妹、朝比奈(あさひな)真凛(まりん)

 中学3年生。ミニマムボディのやんちゃっこだ。

 妹は僕より小さい、へへん、どうだお兄ちゃんだぞ。


 沙理ちゃんは、手に大きな荷物を持ってきていた。


「暑い中、大変だったんじゃない? 大丈夫? 何か飲む?」

「あっ、ワイちゃん大丈夫だよ、送ってきてもらったから」

「なるほど、それならよかった」


 沙理ちゃんちがどの辺りか知らないけど、大丈夫だろう。


 妹は荷物を受け取って、うれしそうに眺めている。


「ありがとうございます、うれしい」


「お役に立てて、なによりです」


 なんか知らないけど、いつの間にか2人とも仲良くなっていたのだ。

 一応、中学の先輩後輩ではあるらしい。

 もちろん僕も同じ中学出身だったけど、沙理ちゃんのことも詳しくは知らないのだ。


 なんだか妹にリードされているみたいで、少し嫉妬しちゃいそう。

 ずるいなあ。ああぁ。

 僕も女の子だったら、何も気にしないで、仲良くしたかもしれないなぁ。


 おっといかんいかん。僕はナイスガイな男の子になる予定なのだ。

 流されるところだった。

 最近、ちょっと女の子扱いされてて、これは気の迷いなのだ。


「お兄ちゃん何してるの?」

「ナンデモナイヨ」

「そう? じゃあお兄ちゃんの部屋へ行こう?」

「お、おう」


 部屋に到着。

 別に何かの収集とか、プラモや本とかの趣味もなく、普通の部屋って感じだろう。


「なんだか、この部屋、落ち着くねえ」

「あ? わかります? お姉さんさすがあ」


 二人はなんだか盛り上がっている。

 そして、箱からさっそくVRマックスを取り出していた。


 これは沙理ちゃんの()()()()だった。

 彼女はベータからプレイしているように、もともとVRマックスを持っていて、さらに学校指定の機器を与えられたので、2台持ちになっていたのだ。

 なんて羨ましい。


 そして、その予備機がどういう因果か、妹のところに流れてきた。


「じゃあ、さっそく」


 妹はなぜか自分のベッドではなく、この部屋の僕のベッドに寝っ転がる。

 そして横をあけて、早々にVRギアを被った。


「リンクアップ!」


 説明はすでに知っているらしく、音声定型句の声を上げた。

 こうなるともう、声を掛けても基本的には聞こえない。


 それにしても、なんて無防備な。


 沙理ちゃんがいるから万が一とかないけれど、基本的にリアルの体が手薄になるので、リンクアップは部屋に鍵を掛けてするものなのに。


「それでは、私も」


 沙理ちゃんは2台とも持ってきているみたいで、空いているベッドの半分に寝ると、すぐにVR世界に旅立ってしまった。


 妹のほうの初期設定を手伝いに行くのだろう。

 一応、そういう機能もある。


 まあ、初期設定っていっても、キャリブレーションで体を動かしてみたりして、違和感がないか頭が痛くなって来ないか、とかを軽くチェックするだけなんだけども。


 ごくり。


 僕のベッドで、夏の薄着ミニスカートにシャツで、女の子が2人も寝ている。

 沙理ちゃんのロリ巨乳、妹の慎ましいおっぱいも膨らみは見える。

 それから、むき出しの太ももがまぶしい。


 いくらなんでも無防備すぎる。


「けしからん」


 生身の体、いじり放題では。

 ここでミニスカートをぺろりんとめくったら大変じゃないですかね。


 (つつし)みがないんだよお。


 もんもんと見ていたら、二人が戻ってきたようだ。

 身じろぎすると、ギア越しにこっちを見た。


「お兄ちゃん、ただいま」

「竜也君、ただいま」


 う、何もしてないのに、なんだか悪いことしたような気分だ。


「二人とも、僕の目の前で、無防備すぎるんだよお」

「え、あ~あ、確かに。お兄ちゃん、待ってる間なにもしなかったの?」

「竜也君、信じてるからね? ふふふ、ちょっと変なことしても許してあげる、正直にいいなさい」


 そんな。


「え、いや、何もしてないよ」

「えーつまんない。スカートめくったりしないの?」

「しないやい」

「あはははは」


 二人してニタリ顔でスカートひらひらさせて、挑発しないの、もう。


「それじゃあ、私の部屋でインするから、沙理お姉さん行きましょう」

「そうね、では向こうで合流ね。ワイちゃん、また後で」

「あ、うん」


 こうして二人が去っていった。



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