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第9話 べコン、べコン、べコン

「どれにするかは、ダンジョンに行って戻ってから考えるかなあ」

 現状、三つのうちどれがよさそうか判断がつかないんだよね。崖を登ったり、ロープでターザンしたり、といったことが要求されるなら軽業師一択になるし……現状ダンジョンの構造がまだ見えてないから何とも言えない。

「しかし、まだダンジョンに向かうには早いな……」

 スキル習得は済んだ。早めに出たら誰かと出会うから、ではなく、行っても旨みがないからなのだよ。

 ダンジョンはローグライク型……つまり、一定間隔で構造が変わる。ゲームだと入場のタイミングで構造が変わるのが一般的であるが、多人数がダンジョンに入るディープダンジョンでは時間で変化が訪れる仕様だ。

 そうそう、構造変化の時に中にいたらどうなるのか、気にならないかな?

 答えは登り階段または聖域に移動させられる、となる。

 ダンジョンの中にいたままでも、『かべのなかにいる』状態にはならない安心仕様でよかったよ。

 話が逸れてしまった。

 俺は今ダンジョンの構造が変わるのを待っている。変更時刻は24時ちょうどだからあと2時間と少しだ。

 24時になれば、開けた宝箱が消え新しい宝箱が出現する。今日もきっちり宝箱を開けさせてもらうことにしようぞ。

「時間まで何して過ごすか……」

 そうだな。こいつを試してみるか。


 や、やり過ぎた……。時間までずっとバールを振ってて腕がパンパンになってしまった。いやあ、武器を振れば振るほど熟練度が上がるのだもの。モンスターを相手に武器を振らなきゃ熟練度が上がらないと思いきや以外や以外である。そのうち素振りじゃ熟練度が上がらなくなるかもだけどね。

 そんなこんなで24時3分、1階に到着した。まずは箱開けに勤しむのだ。

 宝箱から出てきたものは昨日と変わらない種類だった。安定してガルドが手に入るのは有難い。

 ここまでは昨日と同じ。昨日より早く宝箱を開けきったので、まだまだ時間がある。

 2階に行くか、ペーパーゴーレムを叩いてみるかどっちかだが、安全な方から行こう。


 べコン、べコン、べコン。

 安全を取りペーパーゴーレムを叩いているが、昨日と変わらずバールで叩いても僅かにへこむだけ。

 スローモーションでも見ているかのようなノロノロな動きだからこちらに打撃が当たることはまずない。

 視界に『鈍器スキル』の熟練度を見ながら叩けるほどの余裕たっぷりな俺である。

「お」

 素振りより熟練度の上りがよい。熟練度があがりきればペーパーゴーレムもメコメコにできるかも?

 レベルが上がらない限りステータスは上がらない。モンスターを倒せなければレベルは上がらない。それでも今の俺にできることはいくつかある。

 そのうちの一つが熟練度上げだ。

「どんどん叩けえ。腕が上がらなくなるまでやるぞお」

 なんだか楽しくなってきた。どんどんやるぜえ。

 かすり傷しかつかずとも熟練度の数値をみればテンションがあげあげである。

≪ペーパーゴーレムを倒しました≫

 あれ、ペーパーゴーレムが光の粒となって消えていった。10ガルドをゲットしたらしい。

 倒す瞬間まで大して傷もついていなかったのだが、よくわからんな……。クラスメイトにモンスターのステータスが見える人がいれば詳細が分かるのだが……ないものねだりをしても仕方ない。倒せたのだからいいではないか。

 もう一体行くぞお。

≪ペーパーゴーレムを倒しました≫

≪ペーパーゴーレムを倒しました≫

≪ペーパーゴーレムを倒しました≫

≪ペーパーゴーレムを倒しました≫

≪ペーパーゴーレムを倒しました≫

 ははは、もう腕がパンパンだよ。無理、もう無理です。

 というわけで、エレベータのボタンを押すのにもプルプルする始末になりながら帰還した。 


「え、えええええ!」

 帰って帰還祝いの黒い炭酸水をこぼしながら飲み、落ち着いたところでふとステータスを見たら、変な声が出てしまう。

 だ、だってよお。レベルが、レベルが。

 10まで上がっとるやないかああい。ペーパーゴーレムを10体も倒していないってのに。一階からとんでも経験値が入るヌルゲー仕様なのか?

 いや、これまでの感覚からしてディープダンジョンはヌルゲーなはずがない。

 レベルが上がり易い仕様として考えられるるのは二つ。

 一つはレベル上限が四桁とか五桁の場合。そらまあすぐ上がるわなってやつ。もう一つは攻略においてレベルは最低限上限に達していなきゃダメなパターン。

 狩をするゲームなど成長要素がないアクションゲームはキャラの性能は変わらない。言い換えると最初からキャラのレベルはマックスである。

 生身の体で進めるゲームなのだからアクション要素が強くて当然だ。むしろアクション以外の要素が……いっぱいあって、頼む。

 後半取り乱してしまいましたが、キャラの性能はあって当たり前でアクション要素が組まれているとしたら、レベルが上がりきるまではチュートリアルみたいなものだ。

「まあ、俺の予想なんていつも外れる。ご飯食べよ」

 悪い方向にばかり考えてしまうのは良くない。おいしいものを食べて忘れることにしようじゃないか。


 あれから二日が経過した。

 俺はといえば、未だに一階をうろついている。三日目の今日は二階へ行ってみようかなと。

 レベルはなんと30まであがっている。一階でレベル30とか、もしカンストが99だったら一階にいるようなレベルじゃねえな。

 ディープダンジョンの階層は少なくとも50階以上なわけだからね。

 さてさて、レベル30の強さを見せてくれよう。鈍器の熟練度は100で上がらなくなった。ひょっとしたらもっとあげることができるかもしれないけど、ペーパーゴーレムではこれが限界である。

 ペーパーゴーレム発見。状況開始だ。

「行くぜ!」

 バールを振りかざし、ペーパーゴーレムの腹へクリーンヒット。

 ベコン。

 相も変わらず効いてる感じがしない音である。

 ベコン、ベコン、ベコン。

「そおおい」

≪ペーパーゴーレムを倒しました≫

 おお、五発で倒せるようになった。確実に攻撃力があがっているのだけど、自分の筋力は強化された感じがしない。

 敵の攻撃を回避したりするには、レベルではなくスキルの方を試してみるべきだな。

 レベルがあがり、習得できるスキル枠も増えたのだが、あれから新しいスキルを習得していない。

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