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エピローグ:妹の彼女達が俺を狙っていた(後編)


【数年後 晴波家】


「「「「「しのぶ、オリコン1位おめでとー!」」」」」


「……へへっ、なんか照れるな。こんなパーティまで開いてもらって」


 俺達の交際が全員の両親に認められ、正式に付き合う事になってから数年が経った。

 俺は大学を、きらら達は高校を卒業し、それぞれの目標に向かって進んでいるわけだが、それでもこうして――いつも一緒に離れずにいる。


「今回も良い曲だったもんな」


「ありがと、兄貴。そう言ってもらえると、自信が付くよ」


 しのぶは高校卒業後、すぐに音楽事務所からのスカウトを受けた。

 それからしばらく多忙な日々が続いたが、その努力の成果が少しずつ実り、こうして今は日本のみならず、世界でも評価される歌手になったのだ。


「女の子なのに、ハーレムの一員である事を嬉しそうに歌った曲なんて考えたわね。よーちゅーぶの再生数、えらい事になってるわよ」


「歌詞のヒントをくれたのは、ひかりでしょ。流石じゃ、天才美少女ライトノベル作家様だよ」


「ライトノベル作家、とは聞き捨てならないわね。私の書いている内容はノンフィクションなのに」


 ひかりは高校卒業前、しのぶと大喧嘩をしたのだが。

 その時にしのぶが腹いせで、ひかりが書き溜めていた小説を出版社に送りつけた。

 それが高く評価され、ひかりの小説はすぐに出版となり、ベストセラーとなった。

 しかも出版社側も頭がいい売り出し方で、この超絶美人であるひかりの顔を全面的にPRに用いた。

 黒髪巨乳の超絶美少女が書いた異世界ファンタジー小説(ひかり曰く、実際にあった出来事らしい)はバズり、それはもうとんでもなく売れて、アニメ化も果たしている。

 今回、しのぶが出した曲もそのアニメの主題歌である。


「というか、私のアニメ効果で売れた、とは言わないのね」


「そりゃまぁ、そこは認めると負けな気がするし」


「2人とも、一番感謝すべきはワタクシですわよ? 出版社も音楽事務所も、スポンサーになっているのはこのワタクシなんですから」


 得意げに胸を張るのは、10歳の頃から急激に成長し、今やきららと同じくらいの身長、バストサイズに至ってはマドカさんと並ぶ美女となったカレンだ。


「逆でしょ、カレン! 私達のお陰で、儲かってるくせに!」


「そうだそうだ! もっと金寄越せー!」


「ワタクシが持っていても、アナタ達が持っていても、一緒でしょう? どうせ我が家のお金なんですもの」


「「確かに」」


 相変わらずの天才ぶりで、商才逞しく、あらゆる事業で成功を納めている美少女実業家であるカレン。

 つくづく、この子の才能には驚かされてばかりだ。


「もう一生使い切れないくらいのお金を稼いでいらっしゃいますけどね」


 そしてそんなカレンを陰から支えるのは、相変わらずの敏腕メイドであるマドカ。

 俺との交際を機に、カレンは彼女をメイドから解任して対等な関係になろうとしたのだが、彼女はこのままの方が良いと断った。

 だから今でも、我が家の家事のほとんどは彼女が取り仕切っている。

 ただ、料理だけは俺とマドカの大切な時間として、よほどの事が無い限りはいつも一緒におこなっている。


「みんなが凄すぎて、私の無能ぶりが霞んじゃうよー」


「きららは本当に仕事が続かないわね。私のアニメにも声優として起用してあげたのに、声は可愛いのに、演技と滑舌がダメダメで評価は悪かったし」


「普段の歌が上手いから、アタシの曲でもコーラスに採用しようと思ったのに。収録になると途端に緊張で歌えなくなるからね」


「うっ……! わ、私に相応しい仕事は中々見つからないの! というか、お兄ちゃんのお嫁さんでいいもーん!」


「はぁ、それはみんな同じだろうが。困った奴だな」


 じゃれてくるきららを抱きしめながら、俺はため息を漏らす。

 いつまで経っても、甘えん坊なのは変わらないな。


「むー、そういうお兄ちゃんこそどうなのさ!? お仕事は上手く行ってるの?」


「まぁ、ぼちぼちって感じかな」


 俺もきららと同じ。

 ひかり達のような特別な才能なんて何も無い。

 だから、彼女達に釣り合う男になる為に頑張ってはいるんだが……人生とはやはり、難しいものだ。


「じゃあ、お兄ちゃんも私の仲間だー! ちゅーっ!」


「きらら、そんなわけないでしょ?」


「お前だって、兄貴がどれだけ有名か知っているだろ?」


「ぶっちゃけ、おったまげーですの」


「まさか、本気でやり遂げるとは……私達の目に狂いはありませんでしたね」


「ほえ? そうなの? 私、テレビも新聞も嫌いだから」


「「「「ええっ……!?」」」」


「何さ、何さぁーっ! 私はお兄ちゃんが何者だろうと、関係ないもんっ!」


 顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに俺の胸に顔を埋めてくるきらら。

 俺はそんな彼女の頭を愛おしく撫でながら、笑う。


「そっか。じゃあ、アレは思わぬプレゼントになりそうだ」


「プレゼント?」


「ああ。今日はしのぶのお祝いだから、また今度にしようかと思ってたけど」


 そう答えて、俺はソファの脇に置いてあった新聞を取る。

 そして、その一面を……きららによく見えるように開いた。


「えーっと……? 若き人気政治家、遂にやり遂げる。日本で初の多重婚……近親婚が認められ……えええええええええええええええええっ!?」


「まだまだ細かい部分を詰めなきゃいけないから、完全に法案が通るのはまだ先だけどな。そうしたら、みんなで結婚式を挙げよう」


「お、お、お兄ちゃーんっ! 大好きだぁぁぁぁぁっ!」


 外国に移住すれば、多重婚が可能となる。

 だが、どうしたって……実妹であるきららと、婚姻するのは難しい。

 きらら本人は自分に遠慮せず、他のみんなに結婚してと言っていたが、みんながそれを受け入れるわけがない。

 だから俺は決めた。かつて、きららの掲げる美少女ハーレムを実現する為に、政治家を目指したように。きららと、みんなで正式に結婚出来るようにしてみせると。


「本当に大変だったんだぞ? 世間からは、それはもうすげぇバッシング」


「私の為に……?」


「違う。俺達の為に、だ。それに、お前達がそばに居てくれれば、誰に何を言われようと気にしないよ。最悪、キツくなったらみんなで無人島に避難だ」


 でも、いつかきっと。

 今の世の中、いとこ同士の結婚が珍しくも、認められているように。

 兄と妹の結婚が、レアケースだと思われるくらいの世の中になればいい。


「さぁ、話は終わりだ。今日はお祝いのご馳走をたっぷり食べて、それで夜は……!」


「「「「「みんなでえっち!」」」」」


「……いや、ほんと。精力付けとかないとな」


 俺の大切な妹。

 妹の彼女達でありながら、俺を狙っていた美少女達と、そのメイド。

 それはもう、一言では言えないくらい大変な目に遭ったし、これから先もとんでもない大騒動が待っているに違いない。

 でも、それでも。俺は、俺達は間違いなく幸せなんだ。


「ひかり」


「ええ、お兄さん」


「しのぶ」


「うん、兄貴」


「カレン」


「はーい、お兄様」


「マドカ」


「はい、大和君」


「……きらら」


「えへへへ、お兄ちゃん!」


「お前ら全員、最高の彼女だよ」


 だからもう、何も恐れない。

 俺達の物語はいつだって、幸福と笑顔に満ちているのだから。



(HAPPY END)


皆様、ここまでお読み頂いてありがとうございました!

初めてこんなにいっぱいの評価を頂いて、感謝感激でございました。

もし、まだ評価してないよって方がいらっしゃいましたら、おひねり感覚で☆をポチってくださるととても嬉しいです!

また近い内に新作を書くと想いますので、その時も何卒よろしくお願いします!


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