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日常のち冒険~俺は世界を超えて幼馴染を救う~  作者: ヌマサン
第11章 聖都攻略編
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第183話 進軍開始

どうも、ヌマサンです!

今回はついに直哉たちと魔王軍との間で戦いが始まります……!

ここからはしばらく戦いが続くので、戦闘シーンを楽しんでもらえればと思います!

それでは、第183話「進軍開始」をお楽しみください!

「なっ!?」


「よう、また会ったな」


 俺の心臓へと伸びるクロヴィスの片手剣ショートソードは横から乱入した大太刀によって、軌道を逸らされていた。


 その大太刀――星魔剣アルデバランを持つ親父はクロヴィスへと冷ややかな眼差しを向けていた。


「直哉、お前は寛之君のところに行ってやれ」


「いや、でも……」


 俺は辺りを見回すが、誰一人として手の空いている者など居ない。それぞれが目の前の敵の相手をするので手一杯であった。


 だが、俺は親父の眼を見て、言い訳をするのを止めた。そして、覚悟を決めた。ここからは俺一人で進まなければならないのだ、と。


「分かった。親父、クロヴィスの相手は任せた!」


「おう」


 俺はそう言い残して、大急ぎで北門へと向かった。


「なっ、そっちには行かせないよ!」


 クロヴィスが俺の後を追おうとしたが、親父が先回りして進路を塞いでくれたからクロヴィスは緊急停止し、親父の出方を窺っていた。


 俺は十秒ほど全力疾走し、北門の前に辿り着いた。イシュトイア曰く、門自体はアダマンタイトで出来ているらしく、かなりの威力の衝撃を加えないと破壊は難しいとのことだった。


 いくらイシュトイアが世界最高の剣であったとしても、扉を破壊するには切り刻むしかない。だが、それでは労力と時間を無駄に使いすぎてしまう。


 その二点が俺の頭を悩ませていた。しかし、そんなことを考えているところに、門に人が二、三人通れるほどの大穴が開けられた。


「直哉、行け!」


 俺は親父に促されるままに扉を通った。すると、その先にはよろけながらも片手剣ショートソードを構えるクロヴィスの姿があった。先ほど門に叩き込まれたのはどうやらクロヴィスだったらしい。


「直哉。アイツをサッサと片付けたら、俺も後を追う。だから、お前は心配せずに先に進め」


 親父に背中を押されるまま、俺は聖都フレイスのメインストリートを走る。目指すはその先にある大聖堂。そこには寛之が居るはずなのだ。


 俺は寛之に会って、茉由ちゃんに代わって『どうして魔王軍の側についたのか』という部分をハッキリさせたい。


 その一心で、俺はただひたすらに大聖堂へ足を進めるのだった。


 聖都フレイスの街並みは物悲しさが良く表れていた。町の通りにある露店は見るも無残に崩れており、その下からは……腐った人の手と赤い水たまりが見えた。


 それ以外にも、通りには殺されたであろう人が一般市民、兵士を問わず、殺された当時のまま残されていた。


 正直、殺されてから何週間と経っていることもあってか、腐敗臭が酷かった。そんな中を走ること十分ほど。息切れさせながら、やっとの思いで大聖堂の前までやって来れた。


 深呼吸をして、呼吸を整え、階段を上がって大聖堂に入ろうかというタイミングで嫌な気配がした。俺は反射的にその場を飛び退いたが、その直後に地面が爆砕する。


 俺には見えていた。頭上から真っ黒なローブに身を包み、長杖を手にした男が大聖堂の屋根から飛び降りてくるのが。


 そして、土煙が晴れ、男の顔が俺の方を向いた時、俺は喜びを嚙みしめた。


「寛之!」


「……」


 俺は目の前にいる男の名を口にしたが、寛之自身は表情一つ変えなかった。それはまるで、俺の言葉が聞こえていないかのように。


 寛之から、途端に殺気があふれ出る。長杖を構え、こちらに近接戦を仕掛ける気満々であった。


 刹那、俺の予想通りに寛之は杖を用いて、俺の頭部へ打撃を叩き込んできた。それに関しては、イシュトイアを縦にして受け止めた。


 白状すると、寛之の動きはわずかではあるが俺よりも速い。だが、純粋な力では少しだけ勝っている。それは今の一連の動作で確認できた。


 ただ、一つ驚いたことがある。今、竜の力を解放している状態で、目の前にいる寛之は互角と言ってもいいほどの身体能力をもって、俺に挑んできている。


 それがどういうことを意味するのか。


 具体的には何をしたのか、それは分からない。だが、可能性の一つとしては悪魔の力を得たのではないか……ということだ。


 それこそ、呉宮さんやギケイたち暗殺者ギルドのメンバーみたいに。


 悪魔の力を得たというのなら、これほどの動きが出来るのも納得がいく。正直、今の寛之は八眷属に身体能力の面では同等だろう。ましてや、魔力量に至っては八眷属よりも上。それは肌を介して、ひしひしと感じられる。


「なあ、寛之。お前――」


 俺は寛之から事情を聞こうとしたが、その問いに言葉が返ってくることは無く、拳で返ってきた。俺は間一髪身を捻ったから直撃は避けられたが、まともにくらっていれば今のは危なかった。


 その後、何度も何度も言葉を投げかけては寛之と話し合おうとしたが、寛之はただひたすらに俺へ拳蹴を見舞ってくるのみであった。


 一体、どうすれば寛之と話が出来るのか。それが分からずに俺は戦い続けるのだった。

第183話「進軍開始」はいかがでしたか?

直哉が寛之と再会することが出来てましたが、寛之と話ができる状況じゃなかったですね。

次回からは七話に渡って七魔将たちとの戦いになっていくので、しばらく直哉と寛之の話はお預けになります……!

――次回「七魔将ダフネ」

更新は10/14(木)の20時になりますので、お楽しみに!

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