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Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
終章

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73/1049

浸食

 



 ――(……死んだな)


 霞みがかる脳裏で、自分の敗北を理解する。


 もう指の一本も動かない。このまま握り潰されるか、食われるかのどちらかだろう。


 彼は諦め、最後に唾でも吐いてやろうとキングの顔を見る。







          笑っていた







 ようやく見れた敵の悶える姿にか、自分の勝利を予感してか、キングの顔にはべったりとした笑みが張り付いていた。




(……あ?)


 状況も忘れ、唖然としてしまう。


(……何、笑ってんだ?)


(……俺が、笑われてんのか?)


 極限の身体状況の中、思考が暗い闇に呑まれ、感情の濁流に意識を持っていかれる。



      緊張?


                        焦り?



                                    恨み?       


                後悔?


(……なぜ?)



自分という定義の境界が曖昧になっていく。




不安?




              自責?





     嫌悪?



(……俺が、守れなかったからか?)    

  


諦念?



                    絶望?





    憎悪?





                      悲しみ?




(……俺が、皆を、死なせたからか?)





 自分の中にある願望が、欲望が、無理矢理広げられていく。





(………………違うだろ)



                                 怒り?





(……悪いのは、お前だろ)






(俺から奪ったのは……お前だろ)



 自分が抱いてきた大切な感情、想い、記憶は漆黒の中へ消え、『奪われた』という他者からの干渉のみに強烈な執着が纏わりつく。



 (……笑うな)



 思い通りにならない世界に対しての、



                  放心?



 容認?



                                拒絶?



 (その顔を……)



 自分をを阻む全てに対しての、  


 

                       恐怖?




(……やめろ)




 不可侵な程に自己中心的な、








            殺意







 ――――「……」





 ゆらりと(もた)げた東条の貌は、のっぺりとした漆黒に包まれ表情が無かった。




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― 新着の感想 ―
[一言] 正直ヒロインにそこまで魅力を感じてなかったから結構受け入れてるけど、佐藤さんと炎の筋肉さんが喰われたのはショックだなぁ。
[一言] 好き(語彙死滅)
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