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Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
終章

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71/1049

70話

 


「だいぶ離れたな……」


 九階から落ち、八階を駆け抜け、レストラン街の途中でまた落ちた。


 自分は今七階にいることになる。

 とりあえず、と漆黒に乗り頭上の穴を目指す。


 漆黒は消してから出すのはコンマの内に収まるが、縦横移動になると途端にカタツムリ並みの速度になる。乗ったまま高速で移動できないのがネックだ。



 八階に降り、元来た道を進む。






 ――オークの死体を避け、進む。






 ――やけに静かな帰り道。








 ……ふ、と足を止め、彼はある一点を注視した。





 そこは、八階から屋上への直通路。





 一番最初の避難時以外、一度も使われていない通路。





 メンバー間で、モンスターに悟られぬよう、出入口は一つに絞ろうと決めた。

 だからホブ達もここに気付かず、人間の出入りが盛んだった九階の経路を使ったのだ。







 ――彼の目の前には、圧倒的な力で捻じ切られた防火扉が静かに項垂れている。







 心臓が早鐘を打ち始め、言い知れない不安が湧き上がってくる。




 ありえない。


 いつだ?


 まだ最初に落ちてから五分も経ってないぞ。


 行きはどうだった?


 見てなかった。


「――ふぅ、ふぅ、……落ち着け……」



 扉を潜り、上り階段に足を掛ける。



 大丈夫だ。


 葵さんも、佐藤さんも、紗命も、源爺も、因幡も、刀祢も、海も、皆強い。


 もし知らないモンスターが攻めてきてたとしても、彼等なら問題ないはずだ。




 ――自分に言い聞かせるにつれ、反対に上る速さは増していく。




 見ていてくれと彼等は言った。


 任せてくれと彼等は言った。


 ならば信じるだけだろう。


 仲間として、彼等を信じるだけだろう!





 ――潰れたドアを押し開け、へし折れたバリケード用の木を飛び越えた。

















 クチャ、くちゃ、クチャクチャ、バリっ、――
















「…………」




 ――視界を埋めるのは、本来は違う色だったはずの、赤いペンキをぶちまけた様な床。


 地面は罅割れ、テントは吹き飛び、木々も抉り倒されている。



 凡そ居住地と呼べる風景は、跡形もなく消え去っていた。



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― 新着の感想 ―
[一言] あー・・・ 強キャラがなかなか出ないから、黄色い敵が強キャラだったって事で成長した仲間が簡単に倒して終わるんかなーと勘違いしてた。 最初はちゃんと殺伐としたグロさのある話だと認識してたけど…
[良い点] 鬱展開にしても随分ためましたね!
[一言] 紗命ー! 想像通りだと鬱展開過ぎる…!
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