49話
「……でも、どうしてこれを?……」
プレゼントは嬉しい。自分の事を考えてくれていたことも嬉しい。
そこに潜む、一抹の違和感。
……ただ、口でこそ疑問を投げるが、紗命には分かっていた。
ずっと一緒にいた上に、自分と同じ感性を持つ人。
東条が取ろうとする行動には、大体予想がついてしまう。
貰ったブローチを握る手が強くなる。
「……やっぱり、そろそろ出ていくつもりだったのね」
「……まぁな」
東条の目的は冒険だ。デパートの散策ではない。
このプレゼントも、彼としては最後の贈り物のつもりだった。
「…………私も、ついていっちゃダメ、かな?」
「やめろ上目遣い。
……自分で言ってたろ、俺はお前と同じで自分が一番なんだよ。
それに、俺は女も好きだが一人がもっと好きだ。
やっぱり一人は気楽でいい」
「……ボッチ」
「うっせ」
紗命が一度俯き、そして、決意を秘めた眼差しで東条を見る。
「……じゃぁ、あと一週間待って。
それまでに桐将を私無しじゃ生きていけなくするから」
笑おうとする東条を止めた彼女の顔つきは、まさに本気と書いてマジと読む。
「うん、俺今日出てくわ」
「そしたら、私を連れてって」
「連れてくも何も、俺がここ離れられなくなるよね?」
「いいっ?」
「……聞いちゃいねぇ。
……わぁったよ、俺がお前無しで生きれなくなったらな」
「よっしゃっ」
ガッツポーズをする少女に、思わず苦笑が漏れてしまう。
「一つ確認だが、変な能力持ってねぇよな?」
「誓うわ。水魔法以外、私に能力は無いわ」
「……はぁ、今の高二ってこんな怖ぇのかよ」
「二十二で性欲減退って、笑えないんですけど?」
「あるわっ、有り余ってるわ、有り余りすぎて寄付したいくらいだわ」
「これほど需要のないボランティアは無いわね」
ワァワァ騒いでいると、何かが階段を上ってくる音が聞こえた。
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