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Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
6章 Legend of the battle front

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73話 Dear family

1分の攻防

 


 ――二人が動いたのは、同時。



 拳と聖剣が衝突し、辺りが吹き飛ぶ。


 刃を雷撃ごと弾き飛ばし、右回し蹴り。


(魔剣でガード、[射線上が抉れ飛ぶ]そのまま切り上げる)


 血を吹く脚を引き躱し、後ろ回し蹴り。


(聖剣で叩き切るも、力負けしぶっ飛ぶ。浮遊する岩石群をぶち抜き、地面に激突。滑走)[直後地面が大陥没、陥没、陥没、陥没]


 超低姿勢で走り抜ける白猿の右脚に、引力の狙いを定めるが、


「っ……チッ。さっきのか」


 弾かれる。


(地面を破裂させ跳躍。浮遊する岩石を足場に、目にも止まらぬスピードで跳ね回る)


 目で追うのを止め、魔力感知に集中。左右上下右下左下上右下左上下右上下――


「『――(ダミー)』」

 ――左


「カっハッ⁉︎」


 脇腹が血を吹き、傷口を電撃が犯す。


(岩石を破壊し再度跳躍、魔剣を横薙ぎに振り抜く)


 杖に魔力を集中させガード。[ギャリリリリッッ]へし折れ、剣先が胸に直撃、血を靡かせ身体が後方へ吹っ飛ぶ。


(大跳躍)


 地面に衝突寸前で停止。弾かれる様に退避。


(渾身の力で聖剣を突き立てる。[大地爆砕]開放。[爆炎が放射状に大地を吹き飛ばした]


 超高速で飛行し、うねる業火を躱す。


(滑走)


 急停止。[八本の爆炎が牙を剥き突撃]燃えるコートを引っ掴み、投げ捨てた。


「……堕ちろ」


 [圧殺。轟音と共に空間内の地面が十メートル沈んだ]


「『――(ダミー)』」


(首に狙いを定め、大跳躍)


 ――[黒い剣が、線となる]


 ――振り向くと同時に剣を潜り、伸ばした左腕を振り抜いた。


「慣れた」


 [ダァアアンッッ‼︎]「――ッゲボァガァッ⁉︎」


 ラリアット。胸骨と首を潰した感触を腕に、白猿を押し飛ばす。


「がフッ」


(血を吐き回転しながら落下、大地を粉砕)


 [浮遊していた岩石群の半分が、白猿目掛け突撃]


「ゴッ⁉︎アッ⁉︎ガッ⁉︎ゲッ⁉︎アガッ⁉︎――」


 [盛大な土煙を立てながら、巨大な暴力の嵐が一匹の獣を襲う。


 ――止む事を知らない隕石の群れは、いつか天を突く岩の塔を造った]


「……」


 ネクタイを緩め、第二ボタンまで開ける。



 [一瞬の静寂――塔が爆散]



「フシュゥウウ」


(全身から血を吹きながら、充血した瞳で藜を睨む。

 今の攻撃でさらさらと崩壊する聖剣を投げ捨て、魔剣を構えた)



「『―――――――――(儚き命を刹那に焚べろ)

 ――――――――(愛しき命を糧とせよ)

 ――――――――(我が旅路には骸が) ―――(転がり)――――――――(我が終端には星が待つ)

 ――――――――――(いずれ来る凄艶な死は)――――――――――(逃れられぬ祝福と知れ)』」



「――わたしがわたしの悪魔を見たとき、悪魔は厳粛で、徹底的で、深く、荘厳であった」



「『――(跪け)―――(讃仰せよ)――(祈り)――(尊び)――――(我を崇めよ)』」



「それは、重力の魔であった。――」





「『―――(我こそが)―――(神である)』」

「der Geist der schwere」





 [死という概念が怨霊に宿り、数万の軍勢となって藜に手を伸ばす。


 空間内の重力が歪み、激流となって、白猿という一点に向かって押し寄せる。



 ――互いの『魔』が触れ合った瞬間、



 閃光、轟音、爆風。隔離空間に亀裂が入り、弾け飛んだ]


21時

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