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Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
3章 おはよう絶望。さよなら人間。

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29話

銀座のkappou ukai行ってくる。

 



 ――プルルルル……プルルルル……――


「……ノエル。……無事だろうな……」


 絶対安全の球体の中、繋がらない携帯を見つめる。


(……いや、あいつは無事だ。この程度で死ぬタマじゃねぇ)


 東条は眉間に皺を寄せ、無理矢理ノエルのことを頭から追い出す。それより今は、


 ――プルルルル……プルルルル……――


「クソッ」


 毒島にも繋がらず、スマホを持つ手に力が籠る。


 脳裏に浮かぶのは最後に見た、仲間を助け出そうとする毒島の姿と、押し寄せる猿の軍団だ。


 必ず守ると約束したのに、傍にいると約束したのに、何だこの体たらくは。


 東条は顔を上げ、色とりどりの魔法が爆発する外界に目を向ける。


 彼が飛ばされたのは、上の動物園の檻の中。

 この場所に飛ばされたその瞬間から、待ち伏せていた大量のゴリラに四方八方から魔法を浴びせかけられている。


 ここから推測できるのは、この場所は自分を殺す為に用意された空間ということだ。


 完璧な奇襲からの待ち伏せ。確実に準備されている。


 これではノエルは無事だとしても、他の者の安否は絶望的だ。


「……考えてても仕方ねぇな」


 立ち上がる彼がスマホをしまおうとした。


 その時、バイブレーションが着信を知らせる。


「――っ、もしもしっ」


『俺です。凄い爆発音聞こえたんですけど、何かあったんですか?』


「……朧か」


『何で残念そうなんですか』


 一瞬ノエルと毒島でないことに落胆しかけたが、考え直し食い気味に呼びかける。


「すまん朧っ。敵の能力で、人間が特区内にバラバラに飛ばされちまった。お前も一緒に毒島探してくれ!」


『……よく分からないですけど、緊急事態なのは理解しました』


「ああ。だから『でも、それ俺に関係ないですよね』……」


 東条は思い出す。なぜ自分が朧を気に入ったのか。


 それは偏に、彼が自分と近しい生き方をしているからだった。


 東条という強さを追い求める人間が、東条という人間のやり方で搾取しようとするのは至極当然の事だろう。


『俺は何を得るんですか?』


「……GPSを外す」


『弱いですね。これは取引ですよ?あんたが大好きな』


「この作戦で国から貰う金の、俺の取り分を全てやる」


『失敗したのに貰えるんですか?』


「失敗したのは国だ。俺達は協力を惜しまなかったし、何なら巻き込まれた。損害賠償も請求できる」


『……そうだなー、でもどうしよっか「頼むっ。……今回ばかりは、俺だけじゃどうにもならねぇんだ」…………チっ……』


 電話越しに、誠心誠意頼み込む。


『……真似した俺の方が惨めじゃねぇか(ボソ)』


「何か言ったか?」


『んでもないですよっ。はいはい、了解しました。毒島探し手伝いますよ』


「助かる。あと上の動物園の近くには来なくていい」


『何で』


「……少し暴れるだけだ」


 そう言い残し、東条は通話を切った。





 §





「ちょっ、……勝手に切るなよ」


 朧は高級ホテルのベッドから飛び降り、頭をガシガシと掻く。


 自分が憧れたのは、個の最強を進み続ける東条であって、決して他人に頼る様な軟弱者ではない。


「クソっ。金金言ってる奴が、情に訴えかけてんじゃねぇよッ」


 朧は少量の荷物を手に、部屋を飛び出すのだった。



 §




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― 新着の感想 ―
[良い点] 大量のゴリラ。紅の時との差よ。それだけまさを脅威と思ったんでしょうが、それで倒せると勘違いしてるのかなw [一言] まぁ、まさは約束は守る主義だから仕方ないかけど、GPS勝手に取る取引しち…
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