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Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
第2章

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24話

 

 両者が力なくその場に崩れ、水飛沫(みずしぶき)を上げた。


「葵っ‼」


 佐藤は凜が走っていくのを見届けてから、強引に身体を起こし、半ば引きずるように歩く。


 生き残った人達は、泣き、笑い、喜びを分かち合っている。


 その光景に久方ぶりの温かさを感じ、自然と口が(ほころ)ぶ。


 彼らを通り過ぎ、少し行ったところで脚を止めた。


 見つめる先には、今も母の命令を守る三十羽の黒鳥。


 佐藤は満身創痍の身体で、敵であった者達の前に立ち塞がった。



 ――黒鳥は理解していた。


 自分達の長が死んだことを。


 自分達が負けたことを。


 ……自分達が、恐怖を抱いていることを。


 今、目の前に立つ男はボロボロで、見るからに死にそうだ。


 もし襲いかかれば勝てるのだろう。


 しかし、動かない。


 足が進むことを拒否している。



「……早く、行ってくれませんかね」



 何を言ったかは分からなかった。


 分からなかったが、この場を離れたくてしょうがなかった。


 一羽、また一羽と、夜の闇へ飛び立っていく。


 もはやこの者達は敵ではない、生存競争に敗れた只の敗者である。


「……助かります」


 眼鏡を正そうとして、


 ……視界が暗転した。




 時間にすれば、一時間にも満たない。


 失った命は計り知れない。


 それでも、彼らは勝った。


 襲い来る命のやり取りに、彼らは勝ったのだ。




能力の考察、他者との出会い、特訓、そんな話が始まるよ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公に関わりがある人ならとにかく他の人達の話を長々くやられても…飛ばして呼んでも問題ないのかな?
[一言] ところで主人公パートはいつ始まるんや?
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