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Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
3章 おはよう絶望。さよなら人間。

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23話

卒業式後の飲み会断って家帰ってのんのんびより見ながらカップ麺食ってるけど、こういうマインドだから友達出来ないんだよな( ¯꒳¯ )

あーあ、そんな自分が、俺は大好きでしょうがねぇ!

てことで23話でぃ!

 


 §



 ノエルは次々と消えて行く人間達を見ながら、舌打ちする。


 奴等が瞬間移動してくる点は考慮に入れていたが、まさか他者をも強制的に転移させることが出来るとは。


 これで人間達は完全に戦力を分断された。紛うことなき作戦失敗だ。


 ノエルは飛び掛かってくる猿を串刺しにしながら、東条を探す。


(……この紙、生物にしか反応しない)


 ノエルの生み出す樹木は、厳密には生物ではなく限りなくそれに近い別物だ。


 それが当たっても反応しない為、敵のcellはそういう物なのか、そういう設定にされてるのか、どちらかだろうと彼女は当たりをつけた。


 ノエルは大きな樹木の傘を作り、待ち合わせ場所でしゃがみ、携帯を取り出す。

 少し考え、メールを一通送った。


 ……その時、ノエルの背負う大きなリュックの後ろに、ぺた、と紙が張り付く。


 彼女は読み違えていた。


 身体に触れさえしなければいいと考えていた。


 では身体の定義はどこからなのか。服は?靴は?

 それが自身に欠かせない延長にある限り、


 この『呪い』は纏めて送還する。


「……あ」


 気付いた時にはもう遅い。


 そこは自分達が旅立った場所、池袋ポルカデパートの前だった。


 

 そしてその隣で静かにトレントを食む、ベヒモスと目が合った。





 §





「校舎へ走って下さい‼」


 彦根は疾走しながら、降ってくる猿と紙の悉くをガラスの鞭で細切りにしていく。


 彼はイヤホンに手を当て、自隊に呼びかけた。


「皆、生存者を一旦校舎に避難させて。紙には触らない様に、飛ばされるよ」


『『『了解』』』


 次いでチャンネルを切り替え、隊長二人に繋ぐ。


「此方彦根。総隊長、千軸君、無事かい?」


 『此方亜門ッ、今急ぎ向かってるっ。状況は!』


 ピー……ザザ


「壁は爆破され、数百の猿が雪崩れ込んできました。

 猿が撒く紙に触れると、強制的にどこかへ飛ばされるようです。民間人の半分はもう飛ばされました。そちらは?」


『道の壁も破壊されている!自衛隊、民間人共に生存者は見えないっ』


 地面に落ちている紙っぺらを避けながら、橋から大学へ直行する亜門隊。


 爆風に巻き込まれ横転した車、バラバラになった同胞、岩に圧し潰される死体、彼等は凄惨な道中に顔を顰める。


「現在加藤さんと新君達が校舎を守ってくれています。一度そこへ皆を退避させます」


 ザザ……ピーザザ……


『了解。すぐ行く!……千軸隊っ、なぜ返事をしない!そちらは無事か⁉』


 ピー……


「……千軸君は二陣目の輸送班でした。直接爆破に巻き込まれた可能性が高いかと」


 彦根は唇を噛みながらも、冷静を装う。

 反対に襲ってきた猿の頭を盛大に弾き飛ばした。


『……分かった。無線が外れているだけかもしれないが、ここからは千軸は死んだものとして考える。そちらは引き続き民間人を保護しろ』


「了解――っ」


 そこまで言い終わり、彦根は迫り来るうねる炎を飛んで躱した。


 睨む先には、数匹の猿と三匹の赤黒いゴリラ。


「……炎は苦手なんだけど、なっ」


 彦根の放ったガラスの槍が空中で枝分かれし、猿の胸を刺し貫いた。


「ギャ⁉」「キギィア‼」


 猿が抜こうとした瞬間、内側から全身に棘が生え絶命する。


(あと、三匹)


 彦根は、今の一瞬で三方に散ったゴリラを間接視野で確認し、半円のガラスを形成。


 右から襲う濁流を受け流して、左から襲う炎を消火した。


 炎を操る猿に槍を射出しようとした瞬間、


「――っ」


 彦根はガラス板を空中に浮遊させ、そこに飛び乗る。

 瞬き遅れて、水の飛び散った地面に電撃が走った。


 現在進行形で大学内は海水により浸水を始めている。


 水魔法を使える猿は刻一刻と強化され、雷魔法の脅威も比例して上がる。そして炎は依然天敵。


(……考えられてる)


 彦根は猿達の異常な連携と頭脳に、関心と恐れを抱く。


「……君達は危険すぎるな」


 攻撃を躱す彦根の頭上に、近場のガラスが液化し集結していく。


 薄く延ばされたそれは、半径十mに丸い影を落とした。


「ゴルっ」「グゴルォ!」「ゥルゴッ」


 三匹のゴリラが腕に身体強化を集中させ、頭を庇った、


「『弾鏡(フルバレット)』」


 刹那。


 ズッズン‼


 という地鳴りと共に、形成された数百のガラスの弾丸が、範囲内の人間以外の生物と地面を文字通り蜂の巣にした。


 コンマの内に降り注ぐ二連の凶弾。


 見えても防げず。防げても次が来る。


 穴だらけになった三匹のゴリラは、姿勢を変えぬまま全身から血を吹き出し倒れ伏した。


 彦根はそのまま次の敵を仕留めようと動く、

 その時、


 背後から飛び掛かってくる気配を感じ、反射的に攻撃を放つ。


 しかし、


「――ッ(人っ、子供かっ⁉)」


 それは全身に紙を張り付けられた、ぐったりとした人間の子供であった。


 彦根は寸前で攻撃を逸らし、その子供を放ったであろう手負いの猿を刺し貫く。


 人としての感情を利用した、卑劣極まる手。


 子供が自分に飛んで来るさなか、彦根は全力で頭を回す。


(猿の全てがこんな能力を使えるとは思わない。よってこの能力はノエル君の言っていたボスのモノと判断。この子が飛ばされていないのを見るに、能力はオンオフが可能。そして一枚一枚全てがボスの制御下にある。ボスを殺せば止まると仮定。この子に触れた瞬間転移が発動。この子はどうなる?発動後飛ばされた民間人と合流できる可能性あり。総隊長ならここまであと数秒で着くはず)


 ガラスの壁を解き、彦根は腕を広げ、


「すぅぅ――っ加藤さん‼ここ頼みます‼」


 抱き留めた。


「っえ?」


 水の城壁で校舎全体を囲もうとしていた加藤が振り向いた先に、既に彦根の姿は無くなっていた。





 §




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― 新着の感想 ―
[気になる点] 千軸…。ノエルもピンチ!ベヒモスはヤバいし、何処もかしこも混乱中の中で,加藤が大活躍しそうw [一言] 自分も飲み会とか有っても断って、家でだらだらしちゃうタイプですね。
[一言] とても面白くなってきた、敵はムカつく方が 勝ったときの感動がいいし、人の感情は生を 感じさせてくれる。楽しみにしてます。
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