表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
2章 合流

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

240/1049

16話

 

 ――四日目



 §



 ――「お、あった」


 彦根は大学を囲む壁に小さく描かれた、抽象画の様な物を見つける。


(まったく、ブラシがけなんて久々だよ)


 水をつけゴシゴシと擦る彼の元に、部下からも連絡が入る。


『隊長、α隊も見つけました』


『此方Δ隊。我々も見つけました』


「んーなるほど、ノエル君の推測は概ね当たりかな。……分かった、継続して大学周辺の抽象画を消してってくれ。普通科と輸送科の人達にも応援を頼むから、一班に一人は君達が入る様に」


『『『了解』』』


 彦根は先ほど亜門経由でノエルから通達された、猿の情報を思い出す。


 ・本作戦に支障をきたす存在。『猿』の判明。


 ・茶、赤黒、白斑の階級と、大まかな強さ。


 ・コボルトが使役されている可能性。


 ・呪術的な画を媒体に、瞬間移動の様な能力を行使している可能性。


 ・大学の近くにも、抽象画が描かれた石が仕掛けられているかもしれない。


 とのことで、大学防衛組である彦根隊に、周辺の調査が任された。


 そして現在、その読み通り、抽象画がいたるところで発見されている。といったところだ。


 彦根は苦い顔をする。転移や瞬間移動といった能力こそ、今最も敵対したくない能力の一つだからだ。


「……だからこそ、この画を消さなきゃって話なんだよね。うし、いっぱい見つけるぞー」


 彦根は次なる抽象画を求めて、壁や石や地面、トレントの幹に至るまで、隈なく探していった。



 ――夜の帳も降りた頃。


 救助活動を終えた各隊は、大学に帰還し明日の脱出の為の英気を養っていた。


「こちら亜門です。只今救助作戦を終了し、帰還しました」


『おう、お疲れさん。負傷者は?』


「いません」


『そりゃ良かった。それで、何人救出できた?』


「合わせて三十二人です」


 画面の奥の岩国は、予想していたとはいえ、その絶望的な数に顔を顰める。


『……そうか。……山手線内の定住者は三十万人を越え、通勤通学を含めた流入人口は、一日三百万を超えるらしい。

 ……加えてあの日はクリスマスだったからな……クソっ』


「……大臣、お気持ちは分かりますが、今は生存者がいた事に喜びましょう」


『……そうだな。すまない』


 岩国は頭を振り、苛立ちと悲観を抑え込む。


『了解した。その人数なら、今到着している分の車両で足りるだろう』


「はっ。第一陣は先頭車を私が先導します。七十mおきにAMSCUの隊員を配置しようかと」


「ああ、それでいい。間は合流した部隊で埋めてくれ」


「はっ」


『それと、ノエルさんが言ってた猿。そっちはどうだ?』


「はっ。彦根隊により周辺の調査を行ったところ、多数の画が確認されました。粗方除去はしましたが、万が一があるかもしれません」


『そこだけはな、分からない事が多すぎる』


「はい」


『最善を尽くす以外、今のところは方法がないからな。……遂に明日だ、気張れよ』


「はッ」


「では明日の作戦は、〇八:〇〇より開始する。通達しておくように」


「はっ。了解しました」


 事後報告を聞き終わった岩国は、疲れた様に背を凭れる。


「そういや、作戦中、黒玉は見つかったか?」


 クリスマスの日、モンスターを産み落とした全ての元凶。


 あの黒玉は危険地帯にて必ず目撃されていたが、モンスターを排出した後は、必ずその場から跡形もなく消えていた。


 日本中がモンスターで溢れかえってからは、その出現も確認されていない為、今では検証しようにもできないのが現状なのだ。


 モンスターが出きった為消失した。と見る自称評論家もいるが、規則性も性質も何も分かっていない為、警戒するしかないのだ。


「いえ、過去出現が確認された場所にも行きましたが、それらしきものは」


『そうか』


「ただ、出現場所は魔素濃度が他より高い、という共通点がありました。誤差ではありましたが、一応報告をと」


『……ふむ。分かった。伝えておく』


「はっ。それでは私はこれで」


『ご苦労だった』


「失礼します」





 §






ちょっとテストヤバくて卒業危ういから更新不定期になる

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] めちゃめちゃ好みで面白いです!! [一言] 応援してます!!
[一言] 今日見つけて一気読みした。 勉強頑張って下さい。
[一言] あれ?同士は高校生の俺と年が近かったのか…… 同士よ!俺編集者目指すわ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ