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Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
第2章

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19話

 

 ――佐藤の戦いはとても静かに行われていた。


 あれから彼はほとんど動いていない。


 風魔法の強みは半不可視の長距離攻撃。


 練習の段階で、ならば天蓋の中から攻撃すればという案が出たが、そうすると何故か水も風も操作ができなくなる。


 これは魔力操作が未熟なせいで、お互いの魔力が衝突することによって起きる現象なのだが、そのことに彼らが気付くのはまだ先である。


 普段ひ弱そうに見える彼だが、誰も心配はしなかった。


 天蓋に守られていなくても、佐藤は充分に戦えるのだ。


 しかし今や、その顔には大量の脂汗が走っていた。


「すぅぅ~~~、ふぅ~~~――」


 深く深呼吸をして、精神を集中させる。


 ザシュッ「ギェッ」ザシュッ「ギュッ」ザシュッ「グッ」ザシュッ「グィッ」


 狙った敵の首が半不可視の刃に切り裂かれ血を吹き出す。


 途中までは風の塊をぶつけ敵を飛ばしていた。


 しかしそれだと良くて気絶、悪いと再び向かってきてしまう。


 大勢の敵に囲まれ、危機的状況へと追い込まれた集中力が、敵を殺すために最も合理的な魔力操作を可能にした。


 それからはただ淡々と、眼鏡をかけたギロチンとして敵の命を刈り取っている。


 彼の周りには(おびただ)しい血と死体が転がり、処刑された罪人の数は二十五を超えている。


 断頭台は痛む頭に顔を(しか)め、次の罪人へと刃を伸ばした。




 ――ギョロリと赤い目を動かし、辺りの惨状を見渡した。


 (くちばし)で捕まえた一匹は丸呑みにし、右足で踏み潰した一匹を(ついば)みがてら、左足の下で(うめ)く一匹を爪で串刺しにする。


 狩りは順調だ。


 子供達も食事にありつけている。


 ここら周辺の生物は弱くて助かる。


 身を守る術を持つ者もいるみたいだが、時間の問題だろう。


 ――それらの元へ、子供達を向かわせた。



 ――しぶとい。


 既に半数の子供達が殺されている。


 逃げ惑う人間はもういない。


 大方食い尽くし、残るは固まる集団だけ。


 しかし、どうしても崩せない。


 生意気にも奴らは死に物狂いで足掻き続けている。


 これ以上大切な我が子達を殺されるわけにはいかない。


 血に濡れた鉤爪が、その腰を持ち上げた。



風の刃。鎌鼬。呼び名は色々あれど、原理を深く考えてはダメですよ?


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― 新着の感想 ―
[気になる点] どういう理屈で風でギロチンとか刃ができるのか気になります。
[一言] 主人公が一番弱いだと?! 群像劇は難しい
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