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Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
4章

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198/1049

66

 

 案内された場所は、元は金持ちの家だったのか、庭付きの豪邸であった。


 突っかかってきた見張り数人の膝を折り、玄関の扉を開く。


「っ……」


「くさ」


 途端に漂ってくる、どこか甘ったるく生臭い臭気。東条は諦念を抱き、廊下に足を踏み入れた。


 リビングまで進み、すりガラスのドアの向こう。身を寄せ合う何かが此方を見ている。


 彼は引き摺ってきた者共を玄関に投げ捨て、ドアノブに手を掛けた。


「……ノエル、カメラ下ろせ」


「何で」


「いいから、……下ろせ」


「……ん」


 有無を言わさぬその口調に、ノエルは素直に従った。


 東条はドアを押し、室内に一歩を踏み入れる。


「ひっ」


 誰ともつかない、そんな怯えの声が、二人の耳を打った。


 簡素な服を着せられただけの、心身ともに疲弊した二十人余りの女性。二人を映す彼女達の瞳は、今にも壊れてしまいそうな程恐怖に歪んでいた。


「……はぁ」


「「「(ビクッ)」」」


 東条の溜息一つで、女性達の肩が震える。


 ――血が飛び交い、肉が弾ける、秩序の無くなった世界。

 生物が欲のままに自由を手に入れる反面、その犠牲となるモノが出てくるのは自明の理だ。


 力ある者が喰い、力なき者が喰われる。

 傲慢に、強欲に、憤怒に、嫉妬に、怠惰に、暴食に、そして色欲に。強者の些細な、されど圧倒的な罪一つで、弱者は蹂躙される。


(……あぁそうだ)


 改めて思い出す。


 ここは血沸き肉躍る、最低最悪で、



 最高な世界だった。



 ノエルが黙ったまま動かない東条のコートを引っ張る。


「……まさ、」


「ん?どした」


「怒ってる?」


「怒ってる、のかな。……正直、この状況に納得してる自分が、恐ろしいよ」


 世界が変わる前の自分なら、少しは取り乱したり、義憤に燃えたりしたのだろうか?


「ノエルは?」


「何が?」


「何か感じるものは?」


 透き通った紫の瞳が、もう一度彼女達を射抜く。


「……何も。弱肉強食。子孫繁栄。普通の事」


「ハハっ、普通の事、か。……人間ってのはそうやって割り切れる程、簡単な構造してないんだぜ?」


「……心にもない事を」


 自分を見透かす彼女の紫眼に、乾いた笑みが漏れる。



「……だから俺は、それを確かめながら生きてかなきゃならんのさ」



 東条は怯える女性達に近づき、膝を曲げ目線を合わせた。


「大丈夫ですよ。私達は貴女方を助けに来たんです」


 勤めて優しく、穏やかに話しかける。


 恐怖から疑念。疑念から希望。数秒の後、一人の女性が口を開いた。


「……ほ、本当ですか?」


「ええ。特区の外とまではいきませんが、こんな場所よりも安全で、快適な場所へ連れて行ってあげれます」


「……特区?」


「……、今世界中にモンスター、化物が現れているのは知ってますか?」


「はい」


「ここ、山手線の内側は、その中でも特別危険な場所。特区と呼ばれているんです」


 今まで情報を奪われていた彼女達の間で、動揺が広がる。


「安心してください。ここ近辺に強力なモンスターはいませんし、近くに避難民達が協力して作り上げたコロニーがあります。そこの人達は皆優しいですし、何より強いです。外からの助けが来るまで、安全に過ごせると思いますよ」


 優しい声かけに、徐々に警戒を解いていく彼女達。降って湧いた希望の光に、一人、また一人と立ち上がっていった。


 今まで話していた女性が、東条を真っすぐ見つめ、頭を下げる。


「私達を、助けて下さいっ」


 次々に頭を下げる弱き者達に、東条は優しく笑った。


「勿論です」


東京幻想先生の作品展行ってきた。いつかデビューしたら依頼するので待っていて下さいって言ってきた。5万の原画買って破産した。ᕕ( ᐛ )ᕗ

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― 新着の感想 ―
[気になる点] クソアマ主人公はこのハゲたちをどうするだろ?そもそも特区は無法地帯だからいくら人殺しても証拠なんて集めようがないからな。まともな(この世界に順応した)人間ならさっさと殺すんだろうけど、…
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