表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/1049

18話

 


「ギェェェェエエエッ‼」



「ひっ」


「逃げろぉッ‼」


 バカデカい鳥型のモンスターが男達に突っ込み、同時に待機していた中型の鳥が一斉に屋上へ降り立った。


「……は?」「ぎゃぁぁっ」「いやぁッ‼来ないでぇっ」「ギェェエッ‼」「ギエッ」「グゲェッ‼」「来るなぁッ‼」「助けてぇッ‼」


 一瞬何が起こったのか分からなかった人間達は、デカい鳥に隣の同族が食われる様を見て我に返る。

 寝起きドッキリも(はなは)だしい。


「ッ‼」


 ライトのスイッチの下で寝ていた佐藤は、急いで全てオンにした。


 ライトアップされた目の前に現れたのは、恐ろしい速度で広がっていく地獄だ。


「佐藤ッ‼」


 彼と同時に起き、明かりがつくのを待っていた葵獅が叫ぶ。


「後ろを頼むッ‼凛ッ、絶対離れるなッ‼」


「うんっ‼」


「分かりましたっ‼」


 顔を歪め周りを見回す葵獅は、すぐに少女の姿を見つけた。


「池に向かうッ」


「うんっ」「はいっ‼」


 葵獅が先頭に立ち、凜が二人の背中の服を掴み、佐藤が後ろ向きに立つ。


「速足で行くぞっ」


「佐藤さんっ脚を大きく上げながら、転んじゃう、」


「はいっ」


 葵獅は襲ってくる黒鳥を両腕の炎で迎撃しながら。


 凜は後ろの見えない佐藤に指示を出しながら。


 佐藤はぎこちない後ろ走りで、襲ってくる黒鳥を迎撃し、尚且つ近場の人を襲っている黒鳥を吹き飛ばしながら。


 目的の少女まであと少しの所に迫る。


「紗命ッ‼」


「ッ‼皆はんっ‼」


 十数人を背に、池の水を操り大きな天蓋(てんがい)を作って空と地、両方の敵の侵入を阻んでいる。


 天蓋は回転し、黒鳥が体当たりしても流し押し返している。


 紗命の近くにいる黒鳥を燃やし殴り飛ばし、天蓋を挟んで紗命を中心に葵獅と佐藤が並んだ。


「頼む」


「はぁい」


 天蓋に穴が開き、凜が飛び込む。すぐに再び穴が閉じた。


「葵っ、頑張ってっ‼」


「あぁッ」


 大きな背中にありったけのエールを送る。


「ふふっ、佐藤はんもおきばりやす」


「応援っ、痛み入りますっ‼」


 笑う紗命の額には、玉の汗が浮かんでいた。



「走れる奴はこっちへ来いッ‼」


「こちらへ逃げてきて下さいッ‼」


 外の二人が黒鳥を蹴散らしながら大声で叫ぶ。


 真ん中に道を作り、逃げてきた人を素早く中に入れる。


「見せてくださいっ」


 凜が傷を負った人に呼びかけ、コートを脱ぎ、自分の服を引き裂き止血を試みる。


 突然のことに怯えていた人達も、四人の勇姿に恐怖を溶かされ、力になろうと自分の服を引き裂いて包帯代わりにしたり、守ってくれている三人に口々にエールを飛ばし始めた。




「ふんッ‼」


「ぶギィッ」「グェッ」


 空中から飛びかかってくる黒鳥の足をひっつかみ、


 目の前から突っ込んできたもう一匹に叩きつける。


 そのまま右から来る一匹を炎上した鳥で殴りつけ、


 左から来る一匹へぶん投げた。


 鍛え上げられた肉体と、燃え盛る炎を両手に、獅子奮迅の戦いをする益荒男。


 上気した筋肉は荒々しい輝きを放ち、唸る焔は美しき残像を描く。


 荘厳ささえ感じる武闘は、敵味方問わずその心を燃やす。


 葵獅の周りには、既に十五匹の焼き鳥が香ばしい香りを上げていた。


両手に炎を纏う鬼。

風を操る眼鏡。

水のドームを作る少女。


そして1匹の巨鳥と黒鳥の群れ。


彼らは生き延びることが出来るのか。


面白いと感じたら、評価とブックマークをお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 伸びろおぉぉーー!! 毎日楽しく読ませてもらってます! これからも毎日投稿よろしくね☆
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ