表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

178/1049

46話

 

「バラルァ!」


「ッぶねっ」


 鞭打つ尻尾を屈んで躱し、低姿勢で突貫。

 振り抜かれる前足に手を掛け、飛び上がった。


 瞬間、


「――ッ」


 瞬きの間に首を持ち上げたワニが、大きく口を開き左右から顎を閉じた。


 一本一本が(のこぎり)状の鋭利な歯は、触れただけでも肉を削ぎ落す。加えて魔力を纏うそれは、生半可な身体強化では豆腐の様に切り裂かれてしまうだろう。


「何だよ、強ぇのもいんじゃねぇか」


 両腕を開き押し止める東条が、この地一帯にそぐわない殺傷力の高さに乾いた笑いを浮かべる。


 衝撃波を放ち脱出を試みようとした途端、今度は景色が逆転した。


「なっ、お⁉」


「バラララララッ‼」


 道路が剥げ、近隣のガラスが砕け散り、建物が吹き飛ぶ。


 ワニ特有の絶技。自らの身体を高速で回転させ、肉を食い千切って殺す、デスロールと呼ばれる技だ。


 只でさえ強力無比なこの技を、モンスターの力で行えば、それは最早災害である。


 一分間ワニが暴れ転がった跡には瓦礫すら残らず、ただ汚れた水が揺れるだけであった。


「バフシュルルル」


 ワニは荒く鼻息を立て、ズタズタになったであろう口に挟まった獲物を咀嚼しようとする。


 しかし、顎が動かない。

 開くことが出来ない。

 焦り頭を振っている途中、聞こえてくる笑い声にビクリ、と固まった。


「いや~ビシャビシャになるとこだった」


 水に叩きつけられる寸前で全身武装した東条は、首を鳴らし、再度腕と脚に漆黒を集結させる。


「おぅおぅ暴れんな」


「バっ⁉」


 東条は一番太い牙を引っ掴み、ワニを強引に上に持ち上げた。


 重量差が逆になり、彼が地に落ちると同時にワニの半身が持ち上がる。


「今度はぁ、俺の番ッ‼」


 天に向けて伸ばした両腕を、思いっ切り振り下ろす。


 轟音と共に水が割れ、衝撃のあまりワニの鱗に罅が入った。


「まだまだァッ‼ハハハハハッ――」


 身動きの取れない敵を、滅茶苦茶に振り回し、叩きつける。


 撒き散らされる破壊の痕跡は、デスロールの比ではない。

 衝撃に耐え切れなくなり、ビルが一つ倒壊した。


 全身の鱗が砕け血が吹き出すのを確認し、


「オウルァッ‼」


「バファっ」


 最後に民家にぶん投げ生き埋めにした。


 濛々と立つ土埃を背に、東条は腕を回しノエルにピースする。


「どうだ!いい絵撮れたろ!」


「最高!」


 ニパっ、といい笑顔で笑い合い、ノエルを回収しに行こうと脚に力を込めた。その時、


「バララァアッッ‼」


 満身創痍のワニが最後の力を振り絞り、豪速で東条に飛び掛かり顎で挟んだ。


 しかし東条は身体を捻ろうとするワニの牙を瞬時に掴み、


「ふんッ‼」


 回転と同時に逆方向にぶん回す。


 結果は明白。

 自重と馬鹿力に挟まれたワニの首は、悲鳴ともとれぬ音を上げ千切れ飛んだ。



東条の戦い方、ハルクを意識してたけどこれ違うわ。ヴェノムだわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ