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Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
2章

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34話

 

 三人は早速東条とノエルを連れ明海大学に向かう、


 のではなく、予定とは大きく外れ現在竹下通りを歩いていた。


 それもこれも、全ては先頭をウキウキと歩く少女のせいだ。


「まさ!これ何?」


「綿あめ機だな。ふわふわの菓子作るやつ」


「作りたい!」


 言うが早いか、彼女は早速機械の後ろを漁り出した。


「動いた。どやって作るの?」


「ザラメぶち込んで、中で棒ぐるぐるすんじゃなかったかな」


「ここ?」


「そこそこ」


 精一杯背伸びして中心にザラメを注ぐ彼女を見て、東条は近場から適当に瓦礫を引き摺ってくる。その途中、


「先行ってて大丈夫だぜ?場所分かるし」


 依然周りを警戒してソワソワしている三人に、笑って話しかける。


「い、いや、ちょっと驚いたけど、楽しんでるよ」


「本当か?」


「ああ。……何というか、彼女は見ているだけで癒される。視聴者に好かれる理由が分かるよ」


「只の我儘ロリだけどな。どうせだしあんたらも楽しみな。絵は明るい方が良い」


「っ⁉なんか白いの出てきた!まさ!」


「はいはい。棒は?」


「ある!」


 急かされた東条はノエルを持ち上げ、瓦礫を置き、その上にノエルを置く。


 そんな父と子の様な微笑ましい光景を見て、彼等も肩の力を抜いた。


「まさもああ言ってるし、気楽に行こう」


「はいっ、私も綿あめ作りたいです!」


「……てかどうやって瓦礫運んでたんだよ」


 三人は思う。まさとノエルに勝てない敵が来たなら、警戒など無意味に自分達は殺されるだろう。


 今さっき会ったばかりだが、視聴者の一人として、彼等の存在はとても心強く感じた。



 ――「うー。難しい」


 ノエルは次々に出来上がる歪な物体を、見ている東条と嶺二と新に渡していく。

 体のいい処理係だ。


「ノエルさんっ、次私の番です。私もやりたいです」


「胡桃うまいからやだ」


「そんなぁ」


 張り合う二人を、男衆は綿あめをもしゃりながら見学する。


「眼福眼福」


「……人の女をあまり凝視しないでくれるかな?」


「あ?お前等付き合ってんのかよ⁉滅びろっ」


「酷い言い様だな」


「……カップルと行動させられる、俺の身にもなれってんだ」


「同情するぜ。もしゃもしゃ」


「もしゃもしゃ」


「もしゃもしゃ」




 ――自分の顔の五倍はある、熱の時に見る夢の様な色の綿あめを頬張りながら、ノエルは上機嫌に歩みを進める。


「ノエルの方がデカい。ノエルの勝ち」


「私の方が綺麗です。あ、お口ついてますよ」


「ん」


 彼女達は満足のいく作品を作れたようだが、その途中に出た失敗作を持ち運ぶ身にもなってほしい。……まぁ、自分から言い出たのだが。


 食べ物を捨てるのは気が進まないということで、大学にいる子供達にあげることにしたのだ。


 そんな東条の両手は、大量の綿あめで塞がっている。


「やっぱ俺も持とうか?モンスターが出たらマズい」


「いや、お前等の力も見たいし、万が一の時は頼んだ」


「あー?じゃあカオナシのも見せろよ」


「動画で見てんだろ」


「よく分かんねぇんだよあれ」


「じゃあ素直に諦めな」


「ちぇっ」


 東条から見て、三人はあまり能力の隠蔽に執着がない。この際だから普通に見せて貰おうと考えていると、


「まさ!アイス沢山並んでる!食べたい!」


 ノエルがケースに顔を張り付け叫ぶ。


「食え食え、腹壊すなよー」


「ん。胡桃何味がいい?」


「苺がいいです!」


「分かった。はいバニラ」


「何でですか⁉」


 カップにアイスの球を重ねまくるノエルと、おろおろする胡桃。


 そんな平和な光景に浸りながら、東条は温かな日差しを仰ぎ見た。


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