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Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
第3巻 1章

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14話

 


「本部って……」


 到着した場所を見上げ、東条は一人ごちる。


「驚いたか?」


「えぇ、まぁ」


 彼が驚くのも無理はない。


 何せその場所は、日本の防衛施設の要、防衛省に他ならない。今では旧防衛省と言った方が正しいのかもしれないが。


「ここからは私が案内する。お前は戻って私の部屋の掃除を続けろ。呼んだら来い」


 部下にコートを脱がせる紅が、康に向けて言い放つ。


「……はぁ、分かりました」


「何だその溜息は」


「な、何でもないです!。ではっ」


 うっかり漏らした溜息のせいでうっかり殺されるのは御免だと、康はハンドルを切り一目散で去って行った。


 まざまざと見せられた覆ることのない上下関係に、二人も同情を禁じ得なかった。




 ――「お疲れ様です!」「お疲れ様です!」


 一歩進む毎に聞こえてくる定型文。

 お疲れ様のゲシュタルト崩壊。


 東条とノエルは、何度目かの挨拶にうんざりを通り越して関心すら湧いてきていた。


 幹部である紅に向けられる挨拶は、入口を潜った直後から途切れずに続いている。


 当の彼女はそれに返事すらしないため、自分達がどういうムーブをすれば良いのか全く分からない。


 部下達に見送られエレベーターに乗り、ようやく静かな空間が戻ってきた。


「もうすぐだ」


「はい」


 ベルが到着を報せ、そこから目的の部屋までもう少し歩く。


 どんな人が待っているのか。

 ヤクザのボスなのだから、ムキムキのスキンヘッドなのだろうか。

 そんなことを考えていた、



 直後、二人の肌を粟立つ感覚が襲った。



 ……目の前にあるのは、一つの扉。


「ここだ」


「「……」」


 二人を一瞥した紅は、遠慮なく扉を開け放つ。


「ボス、今帰ったよ」


「……はぁ、見ればわかるよ。男の子の部屋はノックしましょうって教えたよね?」


 もう何度同じことを言ったか。藜が突っ伏し顔を覆った。


「別にいいだろう。その年で自慰している訳じゃあるまいに」


 悪びれた様子もない紅が、澄ました顔で自分の後ろに付いたことで、これ以上言っても無駄か、と藜も諦める。いつものことだ。


 そして、彼は未だ部屋に入ろうとしない二人に目を向ける。


「どうした?茶と菓子も用意している。早速話し合おう」


 濁り切った瞳で、見定める様な笑みをその顔に張り付けるのだった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 楽しみで楽しみでついつい今日修学旅行なのにページ開いちゃう [気になる点] 下のかた俺達は読者だからこれからの展開の可能性を否定するのはおこがましいぜ。
[良い点] 楽しみで楽しみでついつい今日修学旅行なのにページ開いちゃう [気になる点] 下のかた、達は読者だからこれからの展開の可能性を否定するのはおこがましいぜ。
[一言] ヤクザとかいうゴミ集団を美化するのだけはやめて欲しいわ
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