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Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
第3巻 1章

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11話

 


 ――「まさかお二人が発電所に向かおうとしていたとは、驚きでした」


「私も藜組の方々がそこを守っているとは思いませんでしたよ」


 皇居前発電所は、皇居に隣接する最新型ソーラーパネルを設備した超大型発電所である。

 山手線範囲内を賄えるだけの電力を、この場所だけで供給している。


 現代人の一人として、それ以上に、この中でサバイバルを生き残った者として、電気の存在が途轍もない助けになったのは言うまでもない。


 勿論この場所に来るまでに、断線し暗闇に呑まれた場所は幾度も見た。

 トレントの枝葉がうまい具合に電線と接触せず、電気が東条の元まで届いたのは運によるものだ。

 一部を除き、モンスターが公共施設に興味を示すことが無かったのも大きい。


 しかしもしこの場所を守っている人間がいるのなら、自分は必ず礼を言うべきだ。


 東条は予てから、その思いをずっと胸に抱いていた。


「そこはその方がお一人で?」


「そうですね。戦闘は姉御、幹部がほぼ一人で請け負っていますね。というよりも、私達下の者では彼女の邪魔になりますから」


 康は彼女の恐ろしさを思い出し、カラカラと笑う。


 本部が別にあるとすると、その女性は一人でライフラインを任されていることになる。


 察するに、相当の実力者なのだろう。


「いったいどんな力を使うのか、とても気になりますね」


「はははっ。流石にカメラの前では、それも私の口から言うのは憚られますね」


「それもそうですね。申し訳ない」




 ――三人で雑談を交わしながら、西に向かってひた進む。


「そういえば平塚さんも、よく私を見つけられましたね。迷わずこちらに向かわれてたようですし」


「いえいえ、偶然ですよ。あれだけ大きな音を立てれば、誰でも気になりますって」


「ハハハ、確かにはしゃぎ過ぎました。……平塚さんはよくここの見張りを?」


「……えぇ。怖い上司に無理矢理、ですかね」


 康はやれやれと言ったジェスチャーをつけ、笑顔で答える。


「それにしてはモンスターから全力で逃げていましたけど、いつものことなんですか?」


「まさか。私は遠くから、発電所に近づくモンスターがいないか見る役目です。これで」


 そう言いポケットから出したのは、市販の双眼鏡。


「……組織って大変なんですね」


「まったくですよ」


 警戒するのもめんどくさくなってきた東条は、元より自分の柄ではない、と探りを入れるのを止めた。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] >皇居前発電所は、皇居に隣接する最新型ソーラーパネルを設備した超大型発電所である。 山手線範囲内を賄えるだけの電力を、この場所だけで供給している。 いくら技術あろうがありえないです …
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