表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

115/1049

39話

 §





「「「――ッ⁉」」」


「な、なんだ⁉」


 警戒に警戒を重ね目的地を目指していた四人の男女。


 何かの破裂音の直後、民家をぶち抜いてきた、瓦礫に埋もれるそれに驚愕する。


「……死、んでる?」


 見たことのないモンスターの首なし死体は、当然かなピクリとも動かない。


「い、一旦隠れましょうっ。音に集まってくるかもしれません」


 中年の指示に従い、四人は恐怖に固まった筋肉を叱咤して近くの民家に息を潜めた。




 ――暫く外の様子を窺っていると、複数の足音が聞こえてきた。


 さっ、と窓の下にしゃがみ、近づいてくる音をやり過ごすべく息を殺し耳を澄ます。



 心臓の音がうるさく響き、口の中が乾いていく。


 死への覚悟など、そうそう出来るものではない。


 今まで生き残って来たからと言って、今日死ぬかも分からない。

 恐怖と懇願に、震える拳を握りしめた彼等は、


 徐々に響いてくる話声に目を見合わせた。





 §





 ――「……できたか?」


「あとちょい」


 東条の背中でパソコンを弄るノエルは、先程思いついた案をプログラミングに書き込んでいく。


 というのも、


「バトルシーンだけ有料化するっつっても、俺ら金保存する場所なくね?」


「ダイジョブ。ポイント化して後で換金できるようにする」


「はー。そんなことも出来んのか」


 彼女が考えたのは、よくあるプレミア会員制度の導入。


 モンスターの特徴や戦闘方法など、羽振りのよさそうな連中が欲しがりそうな情報の大体が、バトルシーンに集約されてしまう。


 しかしだからと言って一切の情報を秘匿してしまうと、相手方が此方に要求する際、欲しい情報を明確にできない。


 ならばいっそ、バトルシーンはそれとして全国民から金を毟り取ればいいと考えたのだ。


 会話でも、バトルでも、これはマジで売れると思える箇所だけ、適当に切り抜いてしまえばいい。


 彼女の労力は多少増えるが、ノエルにとってもこれくらいなら許容範囲内であった。


「モザイク処理とかは?」


「めんどくさいし、多分そーゆーの欲しがる人間はモザイク剥がす技術持ってる」


「なるほど」


 機械面で何も分からない東条は、動画関連の全てをノエルに任せている。


 彼女のやる事は間違いないと信じているし、正直ミスしても間違っていても別にいい。


 自分は楽しく冒険できて金が稼げればいい。


 彼女のやりたいことなのだ。彼女が楽しければそれでいい。


「まさの名前のとこは全部切り取ってるから」


「ありがとな」


 他意のない思いやりに身じろぎするように、ノエルを背負い直す。


「じゃあ今回のcellは切り取んのか?」


「取らない。何だこれって思わせて、知識欲を擽る」


「おー流石」


「でも能力の詳細は聞かれても明言しない。他人のはどうでもいいけど。


 交渉する相手として、ノエル達は脅威であるべき」


 彼女の合理的発想に東条は納得する。


 自分達の生き方的にも、武力は一番の脅しになる。


 別に隠す気も無いので、バレたらバレたで割り切れるが、『確証がない』というだけで手綱の握りやすさには天と地程の差ができる。


「……よし。終わた」


 彼は背負っていたノエルを降ろす為しゃがみ、


 ……そこでどうしてかノエルが止まる。


「まさ、あれ」


「あ?……人じゃん」


 彼女の指さす先には、民家から恐る恐る出てくる四人の男女がいた。


秋だなー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] うぇへへへへへへへ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ