side talk2

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　その夜、話題の動画サイトに新しい動画がアップされた。

　今か今かと待ち続けていた視聴者達は、迷わず再生をクリックする。

『……ここ本当に日本かよ』

　　　　　　　　　　　　　　　　『この情報、国中が荒れるぞ』

『やべぇ、自分が冒険してるみたいに感じる。楽しすぎる』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『ちょっとコーラとポテチ取ってくるわ』

『てかこの黒いのなんだ？乗ってんの洗濯機だよな？』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『こいつの魔法じゃね？でも黒なんてあったか？』

『もう何でもありだな』

　――『おいおい、二人が強すぎるせいでモンスター出てこないらしいぞ』

　『なんだよそれ、「怯えてる」とか俺も一回言ってみてぇよ！』

『あ？何だあれ。後ろ二体はゴブリンだけど、手前の初見じゃね？』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『解析班‼』

『形状からして、ホブゴブリンかと。ゴブリンの上位個体』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『初戦闘！初戦闘！』

『お前の力を見せてみろ！』

　――『……え』

　　　　　　　　　　　　　　　　　『……え？』

『……え』　

　　　　　　　　　　　　　　　　　『……ふぇぇ』

『やっば』

　　　　　　　　　　　　　　　　　『やべぇやべぇやべぇ‼』

『最早アニメだろこれ‼』

　　　　　　　　　　　　　　　　　『見えなかったんだが』

『これスロー解析』

　　　　　　　　　　　　　　　　　『……強すぎる』

『中の人って皆こんななの？』

　　　　　　　　　　　　　　　　　『生存者って括りなら、ありえる話』

『国が見捨てた地で生き残った人間』

　　　　　　　　　　　　　　　　　『悲劇が産んだ怪物』

『荒れるぞこれは』

　　　　　　　　　　　　　　　　　『……この方は、敬意を表してカオナシさんと呼ぼう』

　『賛成』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『異議なし』

　『ノエルちゃんの隣にいる権利、一応認めよう』

　――『おい、水族館にはしゃぐノエルちゃん可愛すぎだろ』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『尊すぎて涙出てきた』

　『ティッシュティッシュ』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『おい、そいつを捕まえろ』

　『はっ』

　　　　　　　　『なっ、やめろ！俺も涙を拭くだけだ！決して疚しいことなどぐふぅ……』

　『悪鬼滅殺』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『おい、そんなことより……生存者だ』

　『向こうもビックリしてるな』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『綺麗すぎると思ったが、やっぱいたんだな』

　――『……生々しい話だな』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『俺らもこうなってたかもしれないんだよな』

『やっぱ、こいつらすげぇんだな』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『犬頭？解析班！』

『コボルトかと』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『わ、爪痕』

　――『ニモの話ニモ驚いたが……それよりも』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『……』

『あぁ、そんな大規模な水魔法聞いたことがない。解析班！』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『上がっている動画を調べたが、どれも一致しない』

　『……見たいな』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『あぁ』

　――『残るって、凄い覚悟だな』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『かっけぇ』

　『マジかよ……』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『踏まれたい』

　『殴られたい』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『罵ってもらいたい』

　『おい！邪教徒が増殖してるぞ‼』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『悪鬼滅殺。悪鬼滅殺』

　――『あ、鳥』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　『ホブとかに比べると、なんか弱そうだな』

『うおっ』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　『すっげ』

『綺麗』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　『これが本物の魔法かよ……』

『もうX tubeに上がってる雑魚魔法見れないわ』

　――『……いや、凄かったな』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『避難組も元はあの場にいたんだよな』

『詳しい情報も出回らないし、絶対になんかあるだろ』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『マジで国動くぞこれ』

『国だけじゃねぇ。世界が動くよ』

　最早娯楽の域を超えた彼等の動画は、一夜にして国中に激震を走らせた。

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