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75話 まるで地球儀を回すような手順通りの奇跡

女性の権利向上のために闘うルナは現代日本にいた頃、校長を女性に変更するため生徒会選挙に立候補し、落選したことがあります。

「ここはコロアネデパート。このタオユエンのシンボル。中心にあるからタオユエンが一望できる。今は上層階がビートル人の統治政府になってるけど」


 リイに俺たちが今いる場所について教えてもらう。

 なるほど。ここは敵陣のど真ん中ってことか。


「とんだ場所に降りちまったな。しかも現在、大げんか中。しかもフルーツは燃えてる」


 市街地周囲の果樹園には火がつけられていて、どんどん延焼している。


「……なんだ、いったい誰だ……ドラゴンに、リヴァイアサン……!」


 下のほうで群衆がどよめいている。

 どいつもこいつも傷だらけで、タオユエン反乱軍が壊滅寸前なことがわかる。

 とにかく、ファーストインプレッションは大成功だ。


「よし、リイ。手を振ってくれ」

「はいよ。みんなに無事を見せないと」


 リイもその気があったようで、すぐさまヒータンに騎乗して街中に降りて行った。


「「「「「「「「うおおおおおお、リイ皇女おおおおおおお!!!」」」」」」」」

「みんなー!!助けに来たよーーーーーー!!」


 カクラ皇家っていい政治していたんだな。

 姫様が手を振っただけでみんなの目に活気が戻った。

 

 タイミングを見計らって、俺は長い棒にあるものを括りつけてデパートの屋上にぶっ刺した。


「ばばーん!どうだ、ソングⅡの国旗だ」

「国旗じゃなくてそれ、ファクトリーの新工場旗。そんなの隠し持ってたの」


 しょうがないだろ。デザイナーいないんだから。

 それにファクトリーもソングⅡもビートル人に反旗を翻すのは一緒だ。

 だからこの、バラと龍がソングⅡの国旗だ。


「おい!!!コロアネデパートを見ろ!!」

「カクラとロンドの紋章が一緒に?」

「「「「「リイ皇女、どういうことですか!!!!!」」」」」


 群衆たちに質問攻めにあっているリイだが、曖昧に笑っている。

 その時。


「仔細はわからんが、お前らは俺たちの敵ということだな」


 氷の壁から助走なしのジャンプでやってきた何者かが、そのまま旗の上に立つ。


「あ、てめえ!イタミか!」

「む!お前はNo.49。やはり生きていたのか……」


 忘れるわけがない。

最初に異世界転移して出会った現代日本人の1人。そして絶対にぶっ飛ばすと決めたやつの1人。

 俺を認識したイタミがまずしたのは、スマホで写真を撮ることだった。


「は!?お前、スマホ!!何で持ってんだよ!!?ビートル人の特権か!!」


 俺は久しぶりに見た現代日本というか現代世界の最新技術に釘付けになった。

 ご丁寧にリンゴのロゴまで付いてる。

 フルーツ欲しさに来た俺たちへの当てつけか。


「ビートル人でもないお前がそんなこと聞いてどうする」


 言葉が耳に届くの同時に、イタミが眼前に現れる。

 ヤクザキックが俺のどてっぱらに突き刺さる。


「……ユンクァン以下だな」

「なんだ、と!?」


 俺の感想がよほど癇に障ったのか、眉間に深いしわが刻まれ憤怒に変わる。


「何が劣ってるっていつまでも片足立ちなことだよ。素人高校生が」


 相手に足首掴まれた状態が危険だと判断できないなんてスパーリングでもダメだろ。


「ほざけ、不良品が。チートもないくせに」


 イタミの身体が膨張する。

 なるほど、筋肉操作か。


「シンプルこそ至高!!小細工無しのパワーこそ正義!!」


 現代日本じゃステロイドでしかたどり着けない領域にイタミは突入する。


「パワーだけならユンクァンの下位互換だろ。何やってんだよ、しっかりしろよ」

「ほざけ!脚の筋肉をバネに!!文字通りスプリンターだ!!」


 なるほど。さっき氷から旗までのジャンプだったり、今の高速反復横跳びの秘密はそれか。


「見えるか?」

「正直言って全くだ。だから貴様の余裕が理解できないぞ」

「そうか。俺は見えてるから」


 セーレはおろかソコルルもニコもイタミの姿を見失っている。

俺の目は何回か潰して回復させたおかげで強化されたらしい。


「戦闘中におしゃべりして、どっちが素人だ」


 血走った目のイタミが渾身の拳を俺のこめかみにブチ当ててきた。

 だが。


「………………………………う”おおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」


 地面を七転八倒しているのはイタミのほうだった。

 涙と脂汗を振りまいて雪の日の柴犬みたいに転げまわる。

 股間を押さえながら。


「そこは筋肉ないだろ。だから思いっきり蹴り入れた」


 恨めしそうな悲しそうな目で俺を睨むイタミをセーレの鎖で縛り上げる。


「貴様やっぱり、えげつないな」

「やっぱ男からは非難されるよな。ルール違反だもん」

「は?何を言ってる。私は女だぞ」


 え?



「リイ皇女、だと?」


 遠くのほうで聞こえる歓喜の声にロウセェネは耳を疑った。

 リイ皇女が生きている?

 力を振り絞って顔を上げる。

 そこに映ったのは、ドラゴンに乗るリイ皇女と、バラと龍の旗。

 ロンドとカクラの紋章が並んだ旗。


「アキナ!アキナ!!無事か!」


 身体の痛みも吹き飛んだロウセェネは、瓦礫をかき分けてアキナを探す。


「ロウセェネ!私は無事さ!瓦礫の隙間に逃げ込んだからな!」

「それはよかった!!今日のカクラは、ツイてるぞ……!」


 ロウセェネに抱えあげられたアキナは、目の前の光景を理解する。

そして涙があふれてきた。

 ロウセェネも泣いていた。

 嗚咽を押さえながらアキナは、思いっきり叫ぶ。


「お姉ええええええちゃああああああああん!!!」



 その声を聴いた瞬間、リイは居ても立ってもいられなくなった。

 二度と聞けるかどうかわからないと思っていた声が突如耳に届いたからだ。

 声のした方を見れば、確かに妹がいた。

 それも少し大きくなって。


「ヒータン!急いで!!」

「ガウガウ!!」


 コロアネデパートから延びる目抜き通りを滑るように飛んで、ヒータンはアキナの元へと急ぐ。

 アキナはロウセェネに抱えられていて、波の被害にはあってないものの全身ボロボロだ。


「ガウガウ?」

「そうなの。私の妹。まさかこんなところで会えるなんて、奇跡みたい……」


 ヒータンがビルの脇をスーッと通過して、感無量のリイがそんな言葉を呟いたその時。


「【動くな】!!!」

 

 ヒータンとリイが突如空中で完全停止。

 突然のことに何が起きたかユキノたちは理解できない。

 そんなヒータンの背中にルナが飛び乗って。


「本当に奇跡的だわ。一気にカクラを滅亡させるチャンスなのだから」


 リイにヒールのカカトを突き刺した。


「おいどうした!リイ!!刺されたんじゃねえのか!?おい!」

「あれって、ルナ……!」

「ユキノさん!!旗が!!」


 ニコが指さす先。

 さっき立てた旗が、何者かによって撃ち抜かれて燃えていた。

いかがでしたか。

おもしろかった・続きが気になるという方は、ページ下部のほうにある☆をクリックしてくださるとありがたいです。☆1でも5でも構いません。

私たまたま読みに来ただけですねんという方は、気が向いたらまた来てください。

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