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73話 包囲される反乱軍とすごい速度の神

 イタミが投げた氷塊は、アキナたちのいる場所に性格に墜落しようとしている。

 それに対峙したロウセェネが抜刀。

 本来一般的な剣士が両手で持つ大剣をさらに大きくした超大剣を片手で操る。


「せああああああ!!」


 縦に一閃。魔力を込めた分厚い斬撃が氷の隕石に衝突。

 山よりでかい氷が一刀両断された。


「ひゃっっっっほうううううう!!シャーベット!シャーベット!マンゴーシャーベット食べよー!!」


 降る雹を身体に受けながらアキナが歓喜する。

 

「す……すげぇ。あれがカクラ軍大将の実力……」

「あの斬撃なら龍をも倒せるに違いねえ……ってうぉっ!墜落の衝撃が!」


2つになった氷塊が墜落し、辺りに地震が発生。

 ロウセェネの強さに圧倒されていた部下たちが地面を転げまわる。


「……だが2等分だ……」

 

 アキナたちが陣取るところは無事だったが、その両隣の果樹園が押しつぶされてしまった。

 

「俺たちが、丸見えだ……!」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「へえ、現地民にも強い人いるねえ」


 真っ二つになった氷の塊が山の果樹園に墜落して周囲をなぎ倒す様を見ながら、アキヅキが嘆息する。


「ってあれ?ルナさん?」


 3つ目のビルから反乱軍を追い出して氷の塊を眺め終わったら、ルナは急に踵を変えて早歩きとなる。


「ここまで陣を崩せば、あいつらも出て来れるでしょう。悪いけれど、私はあの山に向かうわ。アキナはこの手で潰す」

「この手っていうか、口っすよね」

「それギャグのつもりかしら?だとしたらセンスないわよ」


 ルナに睨み付けられてもアキヅキは微笑みを崩さない。それどころか手を振って見送った。

 嫌な顔をしていたルナだったが、急に表情を変えて果樹園の方を向いてガードの体勢を取る。

 次の瞬間、斬撃が直撃。

 アキヅキの視界の端から端へと吹き飛んで行った。

 ルナに激突した斬撃は勢いそのまま、軌道上にあったオフィスビルを縦に切り裂いた。


「ルナさーん、大丈夫っすか~」

「どうってことないわ」


 瓦礫を弾き飛ばして立ち上がって再び果樹園の方に向かうルナ。


「おい、アキヅキ。あの斬撃も氷ぶった切ったんもロウセェネっちゅう、とてかい剣持ったおっさんや」

「もお~ルナちゃん、意地張って効いてないみたいな風してる」


 アキヅキとルナが反乱軍を削いだことで、ケンとリッカが出陣することができた。

 周囲の反乱軍が一切行動していないことを見たケンが思い出す。


「あっそっか。ちょっと電話せなあかんわ。なあヤマナミか。もう【ロック】解除してくれてええで。ってかだいぶ忙しそうやな、自分の身ぃ守んな。お疲れさん、まいど」

「あ~、忘れてましたね。怒ってたりして」

「おん?別に。まあウララがおるから万が一はないやろ。じゃ、俺とリッカは海行くさかい」

「え、バカンスですか?」

「なんでや!ネルの風とリッカの氷で海上封鎖すんねん。そしたらあいつら逃げれやんやろ」

「なるほどぉ。昨日やっとけばよかったっすね」

「ぐっ、痛いこと言うな自分」

 

 わざとらしく胸を押さえながらリッカをネルの背に乗せてケンは海の方へとかけていった。



「アー、アイシー。ネルちゃんとリッカちゃん、海に向かってル」

「は、はい、そのようです。ど、どういうことでしょうか」


 ヤマナミの【マップ】を覗いたウララは仲間の行動の意図を理解した。

 彼らは反乱軍の退路を断とうしている。

 ヤマナミの方は朝シャンしたウララの髪の毛がいい匂い過ぎてクラクラしていた。


「私は果樹園の裏を燃やせってコト。【リンダリンダ】発射!」


 空に浮かんでいた火の矢の大群が一斉に街の外へと放射される。

 まるで火のドームだ。


「ヤマナミちゃんのスマホあると狙いつけやすいネ。うふふ」

「ぴゃあ!?ひゃ、ひゃい」


 首をかしげて微笑んだウララは可愛さと美しさのハイブリッド。

 なびいた髪の芳香もあいまって、不意打ちで魅了されたヤマナミは変な声を出した。


(これが無課金ってヤバ……)


 なんて他所事を考えつつ、【マップ】で人の動きを追う。

 ウララの火と海上封鎖によってタオユエンの反乱軍がまちの中心へと集まっている。


(あれ?)


 タオユエンの全体を見るためにズームアウトしてみたら、海の遠くに変な点があることに気づいた。

 1、2、3……7つ。

 とてつもない速度でこちらに向かってきている。


(え、嘘。先頭の1つ、めちゃくちゃ大きい……)


 他の丸もビートル人に匹敵するくらい大きいが、 先頭、おそらくこの集団のリーダーはルナより大きい。


(ルナさんより強いなんて、それこそ神獣クラス……)


「ドシタノ?なんかあった?」

「いえ、これ。なんていうか、その、神獣が仲間を引き連れてやってきます」

「ドユコト?」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「一生の不覚ですわ!一生の不覚ですわ!一生のぉ、不覚ですわあ!」

 

 360度見渡す限りの水平線。

 島ひとつ見えない海の上をリヴァイアサン・ミリゥが全力で駆け抜ける。

 

「いやー、さすがニコちゃん。寝心地のいいイカダだこと」

「よっぽど疲れてたんですねえ私たち」

「海水で顔って洗っていいの?」

「貴様ら、これから敵陣に乗り込もうってのにそんなリラックスしてて大丈夫か……」


 賢明な読者なら察しているかもしれないが、俺たちも寝坊した。

 いつ寝たかわからねえのが寝落ちの醍醐味だ。

 あの心地よさを味わいたいためにわざと二度寝したりもするが、今はする時ではない。


「イヤー、ユッキー。キュウケイノツモリダッタンダヨネー」

「10分だけ横になろうってイカダに降りたとこまでは覚えてるんだが」


 日光の暑さで最初に目を覚ましたのがリイ。悲鳴みたいな絶叫みたいな叫びで他の全員が起きて、寝落ちしたせいで沖に流されたことに気づいた。

 ミリゥがいなけりゃ完全なる遭難。


「こうなっては仕方ありませんわ!この辺りの海流を変えて超加速です!みなさん、しっかり掴まってくださいませ!」

「きゃあっ!!」

「ニコ!」


 ただでさえ超スピードだったのに海流を味方につけて一気に加速。それに吹き飛ばされそうになったニコをセーレが鎖でつなぎとめる。

 ヒータンも何とか食らいつくが、すさまじい速さだ。


「ひえーーー!これが海姫様の力!!世界怖えっす!」

「つーかこれ、周辺の海岸に影響出るよな?」


 カニ漁船がベーリング海で立ち向かうレベルの高波が周囲に巻き起こってる。

 この勢いでタオユエンの海岸に突撃するのは不味いような気がするが。

 あ、セーレたちのカヌーがジャンプした。


「きゃー!なんか楽しいねえ!」

「私吐きそう……」


 着水の衝撃で水しぶきがスプラッシュ。

 小さな虹がかかった。


「見えました!見えました!あれこそタオユエンの街ですわ!寝坊こそすれどこの速さで到着。迅速なリカバリー、リヴァイアサン・ミリゥ!!」

「ミリゥ様ミリゥ様!なんか港凍ってるすよ!!しかもバリ凍える風!!」


 失敗をフォローできてうれしそうなミリゥにヒータンが見える景色を報告すると、途端にミリゥの顔つきが険しくなる。


「何ですって!?海が凍って時化るなんて連絡が姫であるこの私に知らされないなんてあり得ません!きっとビートル人の仕業ですわ!許せません許せません許せません!破壊してやりますわ!!!」


 言うが早いかミリゥの周囲の海が一層荒れ始めた。

 波の上下がミリゥの怒りに呼応するように激しくなって、ついにはサーフィンしたら楽しそうなくらいの大波となった。

 いやちょっと待て、このレベルは津波だぞ。


「ユキノ!ちょっとこれどういうこと?何でこんな大波の上に私たちいるの!?」

「とにかく掴まってろ!ミリゥが激怒してんだ!!」


 さすがにイカダのセーレたちが心配になるが、あまりのミリゥの剣幕にソコルルも引いている。

 あの時一言挨拶してよかった。挨拶せずに適当に船出してたら今頃海の藻屑にされてたかもしれん。

 

「嘘だろ……ミリゥ王女はこのままタオユエンに突っ込むつもりだ……!」


 ソコルルが呟いた直後、ミリゥの大津波が氷が飲みこんで、セーレたちのカヌーが空に投げ出された。

いかがでしたか。

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私たまたま読みに来ただけですねんという方は、気が向いたらまた来てください。


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