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69話 カクラ・アキナ

タオユエンやジブラルタ、ファクトリーなどビートルバムの直接支配している都市は現代的な設備が整ってます。

―ビートルバム 元カクラ帝国都市タオユエン―


「いたぞ!!ビートル人だ!!相手は女一人!!やっちまえ!!」

「ひゃーはっはっはっは!!フェンリルは無理でもあれくらいの女一匹、俺たちの手にかかれば楽勝よ!!手足を潰して楽しもうぜ!!」


 そう叫んだタオユエンの反乱軍たちがターゲットにしたのは、燃える戦場には不釣り合いな黒服を着た少女。

 高飛車そうなその少女も雄たけびを上げた軍勢の方を向く。

 その顔は思いっきり眉間にしわを寄せ、侮蔑の表情を浮かべていた。


「【動くな】!!!!!!!!!!!!」


 その細い体から発せられたとは思えない大声が反乱軍たちを驚かせた。


「けっ!なんだてめえ!でけえ声出しやがって!戦場じゃ、大声なんてクソの役にもたちゃし……」


 そこまで喋って反乱軍たちは違和感に気づいた。

 まるで凍ったみたいに自分の身体が指一本動かせない。


「おい!どうなってやがる!!か、身体が動かねえ!!」

「わ、わかんねえよ!あのアマの大声を聞いた瞬間、身体が石みたいに」

「私に触れたいなら100億課金しやがれ」


 イラついた様子でそう吐き捨てたルナは、耳のピアスを触りながら声の届いた範囲を確認する。ルナを中心に半径30mの範囲にいた反乱軍が一切停止していた。

 ルナの【ソニョシデ】は、その声を聴いた対象を自分の言葉に強制させることができるチート。


「死ねって言ってもよかったが、さすがにこうも周りが五月蝿いと格下でもキツイな。群れてばっかのザコオスどもが……」


 反乱軍の下っ端はビートルバムの圧政にあえぐ貧民が多かったので、ルナは一秒も視界に入れたくなかった。もっともルナのお気に召す港区エリートのような異世界人は貴族ぐらいのものだが。


「【這いつくばれ】!!!!!!」


 ルナがそう呟くと固まっていた反乱軍たちが一斉に倒れ伏す。

 土下寝した男たちの間を悠々と歩きながら、ルナはその場を立ち去った。


「おい、てめえ!!どこいきやがんだ!!俺たちを解放しろ!!このままだと燃えちまう!!!」

「あー、あー。ん”んっん”っ」


 這いつくばる反乱軍の周りに火の手が迫る。

 反乱軍の叫びがルナの耳に届いたかどうかはわからない。

 ただルナはチートを使ったことによる喉のダメージを気にしていた。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「はい、はい。わかりました。AWLさんに連絡しておきます」

「グループメッセージの話?今日中に終わらないなんてダルいネ~」


 想定外の事態が起きたので今日中の鎮圧は無理そう。

 ルナからの報告をヤマナミはAWLへ伝える。


「想定外ってナニかな?100万人くらいの反乱初めてじゃないよ。ルナとリッカちゃんがいてどうして?」

「ルナさん曰く、撃たれた、と」

「?」

「タオユエンの反乱軍に、カクラ・アキナがいるそうです」


 それを聞いた瞬間、ウララが深刻な表情になる。

 名前からカクラの王家の人間だということはヤマナミもわかったが、どんな人物なのかは知らない。

 それでもウララの急変した態度からただ者でないことは分かった。

 持っていたグラスをテーブルにおき頬杖をついて、夕焼けに沈むタオユエンを睥睨する。

 焦土と化した街に、何本もそびえるリッカの氷柱。地面を削り取ったネルの風。


「アララ……それはそれは。フマさん呼んだ方がよかったかも」

「え……ナンバーワンを、ですか……」

「そだヨ。カクラの残党。世界征服はまだ終わってない」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「だあ!疲れたでほんま!まっさか今日中に終わらんとは思えへんかった!!」


 コロアネアパート、8階。寝具とくつろぎのフロア。

 陳列されたキングサイズのベッドにケンがダイブする。


「どんだけ吹っ飛ばしても次から次へと湧いてきてからにほんま!」

「ふぇ~、せっかく後輩君たちの前でいい所見せたかったのにね~」


 毒づくケンから少し離れたふかふかのソファにリッカが寝転がる。


「いえ、今回の闘いはとても勉強になりました。ウララさんにも直接お会いしたくらいです」

「会ったことないんけ?恋すんなよ。メロメロになんなよ」


 恋という単語に首をかしげながらイタミも好きなようにくつろぐ。

 ルナがグループに送ったメッセージにしたがい各自戦闘を切り上げ、拠点であるコロアネデパートに集合していた。


「ルナぴょんの連絡はつまり、今日はもう羽を休めて明日からまた闘いましょかってなもんや。ほいでルナは?」


 その時。エレベーターが到着した。

 タイミングよく来たかとケンが目を向けるが出てきたのはアキヅキだった。


「おうお疲れ。お前どうやってん?ジブラルタとは違ったか?」

「はい。2回目は学びが多くてお得だったんで」

「ふ~ん。えらいマジメやな」

「ははは。それで、ルナさんは?」


 言い出しっぺが一番最後だという状況がアキヅキは疑問だった。

 人を集めたやつが何で遅刻してんだ?

 それに拠点としたコロアネデパートにいた反乱の首謀者に自分だけが気付いたことも疑問だった。

 そもそもあんだけ余裕ぶっといて、1日で終わらなかったのだ。


 微笑みの下に不信をためていたアキヅキ。

 そんな時にエレベーターが到着した。

 開いて出てきたのは、ルナ。

 疲れの見えない歩きでこちらに近づいて来ているが。

 その右側頭部からは血が流れていた。


「おい!ルナ!回復は!」

「もちろんしてるわよ。ハンカチがなかったから拭いてないだけ」


 いらだった口調でその辺に陳列しているシーツをちぎって顔の血を拭う。


「完全に予想外。あのアマがいるなんて聞いてない!!」

「なにがあったんや」

「アキナよ!カクラ・アキナ!あのクソが私の顔に傷を!!!!!!」


 ルナの怒号はコロアネデパートが揺れるくらいだった。

 その剣幕に自分のことでもないのにイタミが姿勢を正して縮こまる。

 だが他の上位ナンバーは。


「おい、ほんまかそれ!リッカ!!」

「もうやったよぉ。デパートを囲む氷の高さと厚さを倍。ここにいることはバレちゃってるもんねえ」


 それまでのくつろぎ体勢から一転して戦闘態勢に移る。

 その空気に戸惑うイタミに、空気を読んでるのか読んでないのかわからない顔のアキヅキが囁く。


「アキナって強敵がいるんだってさ」

「それくらい分かってる。難しい戦局になるんだろう」

「きっともっと難しくなるよ」


 急に話しかけてきて説明不足過ぎるだろと見つめ返したイタミの視線を、アキヅキは爽やかな笑みで受け止めていた。

いかがでしたか。

おもしろかった・続きが気になるという方はよろしければページ下部の☆で評価お願いします。☆1でも☆5でも構いません。

私たまたま来ただけですねんという方は、気が向いたらまた読みに来てください。

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