62話 ウララ ウララ ウラウラで
美の化身ことウララさんは小6の時点で165cmもあったので、担任より背が高かったそうです。
21.6.9.ウララのチート名を修正。
「もう一人いる?」
AWLさんに地図を表示するよう言われたとき、コロアネデパート周辺の赤い点は7つだった。
実際あそこにいたビートル人は7人。
でもその後、確かにAWLさんは言った。
「ああ、8人だ」
と。
聞き間違いかと思ったけど、本当に8人いるんだ。
え、じゃあ後の1人は?
「コロアネデパートに、ビートル人がいるぞ!!!」
「氷の壁を破壊しろおおおおおおお!!」
ヤマナミの思考は群衆の叫びに中断させられる。
「あっ、居場所がバレた」
「群衆に、指向性が出来た」
「え、うそ」
イタミとアキヅキの声に導かれて、ヤマナミもタオユエンを見下ろす。
100万人がこちらに敵意むき出しだ。
「え、やば。私たちも闘わないと」
「せやで。お前ら降りぃ。俺とネルが先陣切っちゃるで」
ネルの背中から降ろされたヤマナミたち3人。
左右に振れるネルの尻尾越しに棒立ちする彼らに、ケンが。
「ほななっ」
「わおーーーーーーん」
そう言って、1人と一頭がデパートから飛び降りた。
群衆の中に白銀のオオカミと日焼けした青年が着地して。
直後、爆風が巻き起こった。
「氷のおかげでこっちに来る風は、涼しくていいわね。で、新人さん。そういうわけで、とっとと終わらせたいから私も行くわ」
「みんな、好きにやっていいからねえ~。でも、問題が起きたら連絡してよぉ~。ほーれんそーは仕事の基本。AWLのくちぐせぇ」
つづいて、ルナとリッカが出撃する。
「私も行こう。跳ねるぞ、離れてくれ」
取り残されたヤマナミたち3人のうち、すぐさま手を上げたのがイタミだった。
「跳ねる?跳ねるって?」
アキヅキが珍しくイタミに質問する。
他人に興味ありげな態度を見せたのは滅多にないことだった。
「そのままの意味だ」
そういうとイタミは桁外れのジャンプ力で群衆の中に消えていった。
「おおすげー……なるほど、筋力操作」
「そうそうそんな感じの能力なのよ、えっと私はとりあえず」
人数について、確認しなければならないと思ったヤマナミはAWLに電話をかけた。
5コールくらいかかってようやく出た。
「あ、あの。確認したいこ……」
「すまない。忘れていた」
ヤマナミの用件を、AWLはすべて聞く前に理解して。
すでにヤマナミの背後にワープしてきていた。
「おおっ!びっくりした」
「ほうれんそうは仕事の基本だというのに、私としたことが……。君に教えるべき人と場所がある」
AWLはもうすでにジャケットは着ておらずシャツの第二ボタンまで開けて、すっかりリラックスしていたらしいことがわかった。
仕事終わって速攻オフなんだなこの人、とヤマナミは思った。
ワープしたのはコロアネデパートどころか、タオユエンの街からも遠く離れた山の中だった。
正確には、山の中にあるポツンとした邸宅だった。
金持ちの別荘、だろうか。
「どこですか、ここ」
「タオユエンは、果物がよく取れる。カクラの時から国1つ食わせるくらいの農作地だったから、俺たちが現代日本の果物を育てるよう命令した」
「はあ」
「ここは、ミカン畑か。誰の畑かは知らないが」
AWLはその辺に生えている木からミカンをもいで、食べた。
現代日本でやったら、爺さんが飛び出てきてこん棒でぶん殴られるだろう。
AWLに手渡されたのでヤマナミも食べる。
現代日本で食べるミカンより甘かった。
「それで、ここはカクラの貴族の保養地だ。ウララは戦地から離れた方がいいから、今回ここにいる」
AWLは玄関に入らずそのまま裏手のコテージに回る。
「ウララ。少し遅れてすまない。ヤマナミを連れてきた」
「ハーイ、ウェルカム!ウェルカムだよー!」
えらい美人がそこにいた。
常夏の気候に快適だろうベリーダンスみたいな民族衣装を身にまとったエキゾチックな美女がビーチチェアから立ち上がり、プールサイドから早歩きで近づいてくる。
(腰、高ッ!)
目の前に立ったウララを見たヤマナミの感想がそれだった。と同時に、鼻腔をくすぐる甘美な香り。
香水なのかシャンプーなのか、あるいは本人から発せられるフェロモンか。
「ハジメマシテ、私ウララ。インドというかパキスタンというかバングラデシュというかネパールというか、ムガル帝国とのハーフだヨ!ねー、なんて呼んだらいい?」
初対面だというのに、ウララはヤマナミにフレンドリーだった。
15cm以上は身長差があるので、ウララが目線を合わせるために少しかがむ。
つややかな黒髪が運ぶ芳香とアーモンド色みたいな目に見つめられて。
それに何より豊かに実ったたわわな果実を2つ目の前に並べられて、なぜかヤマナミの心臓がどきどきする。
「あ!いや、ま、その、普通に!普通にヤマナミで」
「オッケー!ヤマナミちゃんは私と同じバックサポートタイプだから、今日はお山の上から見てるだけでラッキーだヨ」
まるでクラスのマドンナに話しかけられたオタクみたいにキョドってしまったが、ウララは嬉しそうにビーチチェアを自分の隣に用意する
はっきりとした目鼻立ちとオリーブ色の肌。それにこの日本人離れしたスタイル。
「あ、あの。ウララさん結局どことのハーフ……」
「ヤマナミちゃんも水着着る?」
「え”っ!!」
ビーチチェアをセッティングしたウララの手にトロピカルな水着が握られていた。
「仕事中だろ」
「そ、そうそう。仕事中ですよウララさん。仕事中に水着はちょっと、あれっていうか」
AWLの冷静なツッコミに同調するヤマナミ。
仕事を理由にしたが、フォトショみたいなスタイルの隣で水着なんか着たくなかったのが本音だった。
出るとこ出てて、締まるとこ締まっている。
細く艶やかな脚にはシミもムダ毛もない。
引き締まったお腹とおへその下にうっすら見える筋肉。
この人は神がくれた美貌に胡坐をかかず、努力している。
「えー。2人マジメすぎるヨ。リッカもサボってるヨ」
「あいつは、そうかもしれないが……。だが、真面目にやってるイタミは不利みたいだ」
AWLが山の下を親指で指さす
コテージからはタオユエンが一望できる。
風が群衆を吹き飛ばして氷が凍結させて、ケンとリッカの活躍が目立つ。
でも、イタミは数に圧倒されているみたいだ。
「イタミ、はヤマナミちゃんと同じ年?」
「え、あ、はい」
「じゃあ、年下の男の子だ」
気が付くと、ウララの手に弓が握られていた。
だが、矢がない。
それでもウララは弓をイタミがいるほうに向ける。
「ウララ、気を付けてくれ。万が一果樹園に延焼すると、食糧生産に支障が出る」
「オーケージー」
瞬間、ウララの目の前の空に火の矢が現れた。
別荘の空を覆いつくす数千本の火の矢がタオユエンの街を狙っていた。
「ヤマナミちゃん、あのね私の【リンダリンダ】は」
ウララが引き絞った弦を、
「火の雨を、降らせるヨ」
放した。
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