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59話 内政② 畑を作ろう

モータルコンバット実写映画になってたんだな。知らんかったよ。

―――ハートランド ソングⅡ―――

「あっちは?」

「あっちの方にはロンドのワルシャがあるかなあ。人口少ないけど、もし当たっちゃったら悲しいからダメ」

「じゃあこっちは?」

「こっちからはカクラだねえ。ま、うちは土地が余りまくってるから、この方向だったらほぼほぼ荒野に着弾するんじゃないかな」


 じゃ、こっちに飛ばしてやるか。


「もしくは、逆方向。ハートランドの奥地にぶん投げるって手もあるぞ。ただ、何がどうなるかは全く予想ができないが」


 ふむ。

 もぐもぐもぐもぐ。

 

「ハートランドの奥地ねえ。たしか、ダイダラボッチがいるってリイから聞いたが」

「ダイダラボッチもいるし、吸血鬼もいるし。ビートルバムと同じくらいの領土が手つかずで残ってるよ」


 そりゃあファンタジーのワンダーランドだ。

 絶対行かねえと。


「行くのはいいが、ジャングルを突破する必要があるぞ。それに、ハートランドの奥地、サブ・ハートランドは卑怯過ぎて種族同士の交流もほとんどない」


 むしゃむしゃむしゃむしゃ。


「っていうか、ユキノ。えらくそれ気に入ってるねえ」

「ほぇ?」


 お昼になったので家に引っ込み、午後からのスケジュールを確認しつつのランチタイム。

 食材はリイとヒータンが取ってきた肉と山菜。

 リイに指摘されるまで自分じゃ気づかなかった。


「一回つまみ食いしてから、ずっと食べてるよ。そのキノコってそんなに気に入った?」

「え、てか生じゃん。ユキノ、キノコ生で食べておいしいわけ?」


 まだメインディッシュである鹿的な動物が焼きあがってないため、食事は始まってないが、俺はすでにカゴに盛られたキノコを貪り食っていた。

 派手な色のキノコだ。

 未調理のキノコを魔力で器用に持ち上げ俺は口に運んでいた。


「あん?いや、なんでだろう、言われてみればそんなに美味しくねえ。あれかな、節分の豆をふと気づいたら一袋食べていた、みたいな感覚かな」

「節分……豆……」

「ん、ちょっと待て貴様」


 俺のかじっていたキノコをソコルルが奪い取る。


「これ有毒だぞ」


 マジで。


「うっそ、これは食べれるやつじゃないの!?赤色に白の斑点だから」


 珍しくリイが大きな声を出す。

 その同様っぷりから、善意無過失だ。


「逆だ。白に赤の斑点が、裂いて焼くと美味しい。ただこっちは一口食ったら、下痢、嘔吐、発熱」

「体調不良のオンパレードじゃん」

「最悪の場合死に至る」


 死ぬの!?


「え、俺死ぬの?」

「ユキノ、いやだよ!死なないで」

「気を確かに持ってください。まだ道はあるはずです」


 セーレとニコがこの世の終わりみたいに取り乱している。

 リイは叫びこそしないが、目を見開いて俺のことを見つめている。


「でも平気だけど、別に腹も痛くなってねえし」

「うむ、不思議だな。何より、好んで食べていたのが不思議だ」

「ごめん。私が勘違いしたから」

「いいよ、死んでねえし」


 【ヒーリングファクター】は毒にも効くのか?


 小一時間後。


「結論、こっちに投げるんですね」

「ああ、どこに投げても誰に当たるか心配しちまうなら」

「いっそ当てたいやつを狙えってね、ナイスアイデア」


 ニコが作った特大クロスボウ。

 そこに凍結したユンクァンをセットする。

 ご丁寧に再冷凍して表面を円錐に近づけた。


「じゃ、ユンクァン。大好きなビートルバムに帰る時間だ」

「うがーーーーーーっ!!」


 ヒータンが弦を咥えて思いっきり引っ張る。

 限界までしなったところで、全員で魔力のダメ押し。


 氷ったユンクァンはすさまじい速度で射出され、結構な速さで空の点になった。


 二度と帰って来るな。


「さて、と。話は変わって、温泉を作るんだから水を引いてこないとな」

「あっさりしすぎだろ!今更とはいえ形式上、ソングⅡがビートル人に喧嘩売ったんだぞ」

「あー、確かに」


 ソコルルに言われて初めて気が付いた。

 いわば俺のしたことは他国の領土にミサイルを撃ち込んだに等しいのか。

意図せず北の将軍になってしまった。


「でもま、そんなことより。内政といえば、飯のよく採れる畑だろ。民たちの胃袋を満たしてこそ王様ってもんよ。だからさ、温泉ついでに畑も作ろうぜ」

「実は川の近くに区画だけ作ってあります」


 みんなで少し歩くと、草が刈り取られて土が掘り返された四角い区画があった。

 昨日温泉作りを依頼したときに拡大してと頼まれた領土の一部に、グラウンドくらいの畑があった。


「「「「おぉ~~」」」」

「……実は個人的な趣味のためにこっそり作ったのですが」

「ああそっか。菜園、好きだもんな。これは、趣味の域超えてる気がするけど」

「もうニコが王様になればいいんじゃないかしら」


 リイがしれっとそんなことを呟いた気がするが、聞かなかったことにしよう。


「ですが……」


 畑を前に明るい顔をした俺たちに比べ、ニコの顔は浮かない。


「種がありません。ファクトリーから出てくるときにポッケに入れていたこれだけしか」


 ニコが服のポケットから種を取り出して見せてくる。

 片手に数個。


「あらら、だいぶ少ないねえ。ハートランドに生えてる植物って何があったかなあ。言ってくれたら狩りの時ちぎってきたのに」

「あぁう……ぐうの音も出ません」


 お、この流れは。

 異世界らしい食べ物を育てていくスローライフか。

 いいねえ。今までグラタンとかディストピア飯みたいなもんしか食ってきてなかったし。


「だが、フルーツはビートルバムでしか栽培してないぞ」

「あー……それ。イチゴが食べたいなあ」

「私はもも」

「え?」


 ソコルルが意外な事実を口にする。

 しかもセーレとリイから現代日本の果物名が出てきたし。


「どういうことだ?」

「イチゴやマンゴーっていうフルーツがビートル人の世界にはあるんだろう。召喚されたビートル人が色々なフルーツもってきて、ビートルバムの膨張とともに世界に広がった」

「え、ひょっとしてマンゴーも!?」

「あー!あったあった!!あいつら私たちには育て方教えずに、自分たちだけで独占しててさー」


 ヒータンから出たマンゴーに、セーレとリイが同時に嬉しそうな声を上げる。

 最後の方にビートル人への文句が出たが。

 王族である2人がこれだけ喜ぶくらいなんだから、かなりの高級品として扱われていたんだろう。

 現代日本じゃ500円出せば一個買えるが。

 

「商品は売るが作り方は独占するって、いかにも現代日本らしい……いや、近代イギリス?フランス?」

「とにかくユキノ、私たちはフルーツが食べたいの!」

「わかったけど、ビートルバムのどこで栽培されてるんだ?」

「タオユエン!カクラ帝国の都市よ!」


いかがでしたか。

おもしろかった・続きが気になるという方は、よろしければページ下部の評価、またはブックマーク等していただければと思います。


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