表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/170

57話 内政① 家を作ろう

家は間取りより立地よ。

「魔力って目に見えないから、想像で補うの。自分の魔力がこう流れて対象にこう作用してっていうのを、頭の中に隅から隅まで描く」

「……俺の魔力はフォークリフトだ。目の前の材木を持ち上げて、あっちまで運ぶことができる」


 自分の魔力が二又のフォークになって、積みあがった材木を持ち上げるイメージを頭に描く。

 見える範囲の材木は浮き上がったが、陰に隠れた木がぼろぼろとこぼれ落ちてしまった。


「ヨシ!」

「何がヨシなのよ!運ぶだけなんだから、具体的な乗り物じゃなくて何となく手のイメージでよかったのに」


 セーレが散らかった材木に手をかざす。

 すると材木が散らかったまま持ち上がる。

 セーレが手を指揮者のように動かすと、空中に浮かんだ材木がジェンガみたいに整然と並ぶ。


「はい、どうぞ」

「あ、ありがとうございます。そこ置いといてください」


 現場監督であるニコの指示に従い、セーレはお風呂の材料を所定の位置に置く。


「腕の代わりに使おうと思ったが、魔法むずいな」


 そういって前腕まで回復してきた左腕を見る。

 【ヒーリングファクター】は、俺の意志である程度制御できるらしい。利き手である左を早く生やしたいと念じていたら、左腕の方が回復が早い。


「温泉に入ればきっと回復するわよ」

「リウマチとかによく効くよね」


 あの後。

 レッドドラゴンさんに正式にソングⅡの建国を承認してもらった。

 申請書の類なんて一切なく、代わりにレッドドラゴンさんの鱗を一枚貰った。

 それがドラゴンとのつながりの証明になるんだそうだ。


「じゃあこれ、玄関に貼る感じで」

「はい。図面に書いといてください」


 セーレの置いた材木を抱えて、ニコがそばを通って来てそう言った。

 人が寝れるくらいに太い木をフランクに肩に担ぎ上げていた。


「おぉ!相変わらず、その、強い女性っていうか」

「別に、力強いねって言っていいですよ」


 力強いね。


「はい、ではセーレさん。この図のとおりに鎖を張り巡らせてください」

「はーい。えーっと、結構複雑ね」


 材木もこっちに四角、あっちに三角。レンガが並べてあったりして、いったい何が建つのかわからない。

完成図はニコの頭の中にしかない。


「できたわ」

「では、せーので魔力を流しましょう」

「「せーのっ!」」


 イルミネーションみたいな、宇宙人へのメッセージみたいな幾何学模様の光が瞬いた後。

 目の前に家が出現していた。



「ただいまー。お、だいぶ進んだねえ」


 リイとヒータンが帰ってきた。

 

「お疲れ。おー、すげー収穫」


 今日の昼飯を獲得すべく森に入っていたリイとヒータン組。

 ヒータンの背中には角の生えた鹿っぽい生き物が載せられていた。


「いやー、リイちゃんが睨んだらみんな動かなくなるんだもん、楽勝だったよ!!」


 ヒータンがテンションを上げて狩りの様子を説明してくれる。

 魔眼えげつないな。


「楽勝過ぎて普段は使わないんだよね、家族で狩り勝負するときも禁止って言われたし。ってか、すごい家ですな」


 ヒータンの鹿と自分が背負ってきた木の実を下ろしながら、ニコの建築を称賛するリイ。

 

「はい、青りんご」

「わーい、ありがとうございます」


 そのまま荷物から果物を取り出して、ニコに渡す。


「む、待たせてしまったかな。すまない」

「別に待ってないが」

「待ってろよ!」


 だが、ナイスタイミングでソコルルが帰ってきた。


「それで、どうだった?」

「ああ、ドラゴンの魔力まで加わっているんだ、すぐ溶けたりはしないさ。それでレッドアイズさんにも伝えてきた。ソングⅡの敷地内に移動させるってな」


 と、そのとき俺たちの背後から影が落ちてきた。

 振り返ると、二足歩行のドラゴンがこちらに長い首をもたげていた。

 レッドアイズさんとは異なり、その身体は純白だった。

手には、ジャコメッティもとい凍結されたユンクァンが握られている。


「すまないな。ビートルバムとの面倒ごとを押しつけるかたちになってしまって」

「いいってことよ」

「あー、ルーツさん。来てくれたんだ!里のみんなによろしく言っといてね」


 ゴジラみたいないかつい顔したドラゴンことルーツさんは短い謝罪を口にして、ユンクァンを家から少し離れたところに置き、帰って行った。

 ユンクァンは天に手を伸ばした状態で凍っている。その姿は地獄から脱出しようとしているようで、見ていると息が詰まる。

 早く捨てよう、このオブジェ。なんか運気が下がりそうだ。



「お昼からはいよいよ温泉を作りますよ。細かいリクエストがあればどうぞ」


 リンゴを食べながら、ニコが家の中の案内をしてくれた。

 入り口がどうしてこんなに大きいのかと思ったら、ヒータンも中に入れるようにということだった。


「といっても、ヒータンはここまでしか来れません。一緒にご飯を食べる時は一度、外から回ってキッチンに来てください」

「りょ!お気遣いありがとう!」


 ニコとヒータンの言葉を通訳して伝える。

 ヒータンが入って来れるよう入口と玄関が大きい以外は、普通の洋館だ。

 いや、俺普通の洋館知らねえけど。

生まれ育ったの日本の郊外のニュータウンだし。

 でも、2階に個人の部屋が並んでて、一階に風呂とか倉庫とかキッチンがあって、階段が、家の真ん中にデーンと置いてあるのって、イメージの洋館の典型じゃないかな。

 

 まだ家具や内装はないから、すごく広く感じる。

 それでも、このいかにもナーロッパ的な雰囲気の家に入って、俺は改めて異世界に転移してきたって実感がわいた。

 2階の各自の部屋を決める。


「ニコちゃん、2階は部屋4つしかないよ?」

「セーレ、それはもしかして僕の部屋がないという意味か?僕はドラゴニュートの里に家があるぞ」

「あ、そっか」

「ということで、ソコルルさんは一階の応接間で過ごしてください」


 さて。


「はて、ぶん投げるといってもな」


 このジャコメッティ、どうしたものか。

最後まで読んでくれてありがとうございます。

いかがだったでしょうか。

おもしろかった・まあいいんじゃね?と思った方はよろしければ、ページ下部の評価ボタンを押してください。

僕も押します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ