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53話 Time Flies......

「思いつく例えがどうやっても不謹慎になっちまう」

「そんな体になって言うことがそれか」


 ユンクァンが俺を見下ろしながら呆れたように呟く。

 ただでさえ口数の少なそうなユンクァンからしてみれば、四肢を切られても喋りつづけてる俺が理解できないんだろう。


「最近ってポリティカルにコレクトネスじゃないと叩かれるじゃん?有名になるなら多少の炎上も覚悟してブラックジョーク的なこと言わないといけないのもわかるんだけどさ」

「……ああ、まだ流行ってんのかツイッター」

「今の流行はTik Tokなんですよ、オモニ」


 ユンクァンの知識が10年弱前で止まってることを理解しつつ、俺は魔力を放出してユンクァンの靴裏から逃げる。

 ひどい。

 五体不満足の俺にストンピングするなんて。


「そうかそうか、お前もう10年近くこっちの世界にいるのか。そりゃわかんねえわな。あ、そだ、元号変わったよ」

「魔法だけは器用だ。褒めてもいい」


 芋虫とペプシマンの鬼ごっこ。

 ユンクァンはわざとかっていうくらい攻撃を絶妙に外している。

 左腕は二の腕が残ってるから、それで何とか体勢を立て直して立ち上がる。

 右脚も左脚も右腕も、それと両耳も。

 全然回復しねえ


「おかげさまで。痛みと魔力の使い方だけは上手くなってね」

「チートがなければ既に殺されていたということか」


 セーレたちと出会ったおかげだ、って反論しようとして、止めた。

 俺の腕とか足、よく見れば回復はしてきている。斬られた断面の肉が徐々に盛り上がって、おそらく新しい腕が生えてくるんだろう。

 ただ傷が塞がるのに比べりゃ、長い時間がかかる。

 なら、時間稼ぎをしないと。

 時間稼ぎ、時間稼ぎ、俺の闘い方ってこればっかだな。


「ところで、帰ったやついねえの?こっちから現代日本にさ」

「いない。帰る必要などない」

「そりゃお前はそうだけどさ。みんな召喚されたんだろ?だったら帰りたがってるやつもいると思うけど。みんながみんな異世界転移ものを現代日本で好んで読んでたってわけじゃないだろ」

「繰り返させるな、いないと言っているだろう。ここへ来た時点でみな我々の同胞だ」


 同調圧力が凄いなビートルバム。どっちが現代日本だかわかりゃしねえ。

 せっかく相手の思想が垣間見えた瞬間だってのに、ユンクァンの顔が逆光で見えない。

 ハートランドの砂はあっつい。

 背中が火傷しそうだ。


「同胞ねえ。ビートルバムが出来て何年たつのか知らんけど、そろそろ跳ねっかえる奴が出てきてもおかしくねえよ。それこそ俺みたいにな」

「お前と話すと調子が狂う。そろそろ黙る気になったか」


 ユンクァンの右腕が鉈に代わる。

牛も一太刀で真っ二つに出来そうなでっけえ鉈。


「もうっちょっとだけ付き合ってくれねえ?多分俺、首チョンパされても生きてるし喋りつづけると思うぜ」

「お仲間の裏工作が整うまでか?」


 反射的に乾いた笑いが出た。


「気づいてましたか」

「プランと呼ぶ以前の問題だろ」


 マズったな。せっかく位置を移動したのに。



―――ハートランド 崖の上―――

「ねえ!ユキノがバラバラにされちゃう!!」

「あれは流石に要介護かな」


 叫ぶセーレと冷たい感じのリイ。

 対照的に見えてもどっちもユキノを心配している、とソコルルは思う。

 リイが感情を出さないのは、グループ全体がパニックにならないよう気を使っているからだ。


「はい、そこのソコルル。なんか一歩引いてないで、早く砂作って」

「冷静に分析する俺かっけーってやつですか」

「それはお前も同じだろう」


 このニコという少女の頭の中にしか、計画の全貌はない。

 いったいどうして俺たちは崖の淵に立っているのかもソコルルは知らされていない。

 どうしてセーレの鎖を等間隔で地面に突き刺したのか。

 その鎖をヒータンに咥えさせているのはどうしてか。

 そして何より。


 リイの魔力で熱せられた砂がもはや溶け始めており、その熱気にソコルルは倒れそうだった。


「ユキノの野郎、女の子にこんな過酷な労働をさせるじゃない」

「早くしないと、ユンクァンが!」




―――ハートランド 崖下―――

 ただ、侮られてるんならむしろチャンスだ。


「この状況下でお前を生贄に俺を倒す算段を整えている、そう解釈したとしていったいどんな手がある?」

「ふふふっ」

「何がおかしい。諦めたのか」

「プラン以前って、まったくその通り。打ち合わせも何もしてねえよ。ただ、信じてただけ。飛んでったあいつらが逃げたわけじゃないって。なんかしてるだろうってな」

「何を言っている?」

「つまりは俺も、あいつらが何をする気なのかは全く分からん」

 

 とりあえず、ドラゴンたちからお前を遠ざけるように動いてただけだ。

 ただ一つ、失敗したことがあるとすれば。


「何をしてくるにしても、もう遅い」

 

 ユンクァンが鉈を振り上げる。

 あれが振り下ろされたらいよいよ終わる。

 やっぱりセブンの1人は強かったな。


 ああ、死の直前なせいか。

 ユンクァンの動きがとてもゆっくりに見えて、まるで止まってるみたいだ……。



 ユンクァンの腕を誰かが掴んでいた。

 いつの間にかそいつは俺とユンクァンの間に割り込んでいて、ユンクァンの攻撃を片手で防いでいた。

 ついでに俺は踏まれていた。

 え。

 誰。


「お前の出る幕ではない」

「はいはい、水差しちゃってごめんね。でも俺にだって都合あるんだよ」


 1つわかった。

 ユンクァンとこいつは顔見知りで、多分仲が悪い。


「お前もビートル人か」

「おっ、話が早い。楽出来るな」


 振り向いた新キャラを一言で表すなら。

 小綺麗な大学生だ。


 夜中駅前でゲロ吐いてそうな、いや吐いてる友達を率先して介抱してそうな優しそうな兄ちゃんだ。


 あ、靴がブランドのランニングシューズ。

 

「どうも。コミュニケーションには自信があってね。せっかくゆっくりできるんだし、まずは互いの自己紹介から始めましょうか」

「俺はカジマ、趣味はランニング。って、言ってる場合じゃないでしょ。そろそろ指が疲れてきてん」

「待て!カジマ!俺を締め出すな!」


 ユンクァンが焦った!

 俺と闘ってる時は余裕の鉄面皮を崩さなかったユンクァンが、カジマから離れるの嫌がって額に汗を浮かべている。

 そんなにもカジマの手から離れるのが嫌なのか?


「悪いけど、ユキノと2人にさせてもらうよ」


 だが、カジマはユンクァンの鉈に触れていた指から手を離す。

 その瞬間。

 ユンクァンが動かなくなった。

 まるで凍り付いたみたいに、鉈の腕を振り下ろす途中の体勢で動かなくなった。

 このカジマの能力、それは。


「時間……停止…‥」

「0.01秒。それだけあれば十分だ」

いかがでしたか。

おもしろかった・続きが気になるという方はブックマーク・評価、切り抜き動画の作成等お願いします。

あれ、なろうってスパチャ機能とかなかったっけ?ねえの?失望しました、カクヨムいきます。


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