表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/170

51話 死ぬかと思った

 夏休みに連れと海に行って砂浜に埋められたことがある。

 まだ現代日本の高校生で【ヒーリングファクター】もなかったから、顔は出てたしちょっと動けば体の砂も崩せるくらいのお遊びだった。

 埋められた方はやることないし、何より砂が熱すぎてすぐでちまったけど。


 そんな思い出がソコルルの砂の中でフラッシュバックする。

 ポンペイの被災者みたいに指一本動かせない状態だからか、頭がよく回る。

 ポンペイほど熱くはないのが救いだ。

 しかし。


 俺を砂に埋めた連れの顔が思い出せない。転移直後なら余裕で思い出せたはずなのに。

 まさか、転移すると転移前の記憶はどんどん消えていくのか……。

 ソフトカバーの異世界転移小説は人並みに読んだことあるが、そんな設定あったかな。



「ふんっ!!」


 砂の山からようやく出せた手を掴んで引っ張り出してくれたのはソコルルだった。


「まったく!何が大丈夫だ!」

「命に別状はないんだぜ。ただ、出られなかっただけだ」


 砂って重いんだな。

 足掻けば何とか脱出できると考えていた俺が浅はかでした。


「それだけじゃないさ。そのまま埋まっていたら干物になっていたぞ」

「ああ、なるほど。渇くのか」


 ハートランドの陽射しで熱せられた砂に水分を奪われちまう。

 ミイラになっちまったとして、俺は死ぬのかな。

 【ヒーリングファクター】がどう発動するかによるが、試したいような試したくないような。

 

「ってか、お前。このえげつない攻撃を俺に対して使わなかったんだな」

「ふんっ……正直言ってあの時は、君が悪人かどうか、ユンクァンと同じ人種か、わからなくなっていた……」

「やったぜ。俺の話術のおかげだ」

「そうじゃない。人間は会って話をしないとわからないということだ」


 服や髪の毛に入った砂を落として、ソコルルと一緒に砂山を見る。


「それで、ユンクァンは?俺、途中までは掴んでたんだけど」

「並の人間ならひとたまりもないさ」


 並の人間ならな。

 ただ、あいつは全身液体金属人間だ。


「それにセブンだ」

「セブン、ロンドを滅ぼした7人のビートル人の1人ねえ。それそんな有名なんだ」

「なにせ、ロンドが滅んだからな」


 トートロジーかな?


「ロンドが滅んだことがそんなに衝撃なのか」

「亜人からすると、人間といえばカクラ人なんだ。人口も戦闘力も圧倒的だったから」

「じゃあ、カクラが滅んだ時のが衝撃のような」

「そのカクラと渡り合える唯一の国がロンドだったんだぞ。亜人たちのように自然環境に守られてるわけでもない、正面切って国境を接してるのにずーっとカクラの侵略を退け続けていた」

「なんか必殺技でも持ってたのか?」

「まさしく。ロンドの王に代々受け継がれる必殺技がある。というか、その技を受け継いだ者が代々王となっていた」


 へえ。今度セーレに聞いてみよ。


「全く貴様というやつは……、自分から言ってないということは少なくとも顕現してないということだろう。貴様は彼女のことをちょっとアホな女だと見くびってる節がある」

「そんな人聞きの悪い。してない、してないよ」

「どうだか。で、そんなロンドの魔法技術の粋を集めたのが異世界召喚だった。それが、世界をこんな風に変えちまうなんて」

「でも、セーレパパはなして異世界召喚なんかしたんだ?」


 強敵と書いて親友と読むような関係だった両国の片方が、何で異世界召喚なんていわば反則を使ったのか。


「今となっては闇の中だ」


 直後、ソコルルが俺の土手っ腹に蹴りを入れた。

 いってえ!

ドラゴンの脚力で蹴りやがった!!

ついに裏切ったかと、空中で体勢を立て直しソコルルを睨む。

俺のいたところに銀色の槍がぶっ刺さっていた。


「いや違う...地面から出てるのか!」

「思ったより吹き飛ばなかった。ユキノ!備えろ!」


 指示が抽象的過ぎるだろ。

 だが言ってることはわかる。


「やっぱ死んでなかったか!ユンクァン!!」


 瞬間、ソコルルの足元から銀色の槍が飛び出して、ソコルルのくるぶしを貫く。

 貫かれた瞬間、ソコルルが羽ばたいて空中に避難する。

ユンクァンの腕か脚かわからん銀色の液体は、ばしゃっと撒かれて砂に吸収された。


「不覚っ!!機動力を削がれた……!」


 結構ヤバいぞ。

 向こうは形状自在の液体金属だ。

 隙間さえあればどこからでも攻撃できる。


「音、か」


 地中にいるユンクァンが何を頼りに俺たちを探しているのか。

 俺たちの出す音だ。

 俺じゃなくてソコルルが先に狙われたのはおそらく近かったからだ。


 ってことは。


 思考が遅かった。

 背中から左肺を貫かれた。


「ぐふっ…‥‥くっそ、一手遅れた……」

「二手だ」


 もう一発。今度は右腰に銀の針が突き刺さる。

 身動きできなくなった俺の目の前で、砂が盛り上がっていく。そしてペプシマンが現れたと思ったら、徐々にユンクァンの形になっていく。

 

「やっぱアメリカのもんが好きなんだな。人種のるつぼだもんな」

「ラクがお前の頭だけには手を出さなかったのは、もしそれで死んだ場合取り返しがつかないからだ」


 俺を単に殺しちゃダメだってのか?


「【ヒーリングファクター】が消失することを懸念している」

「俺が、というより俺のチートがお前らにとっては重要らしいな」


 思い返せば、ラクも俺の【ヒーリングファクター】見てテンション上がってたな。

 そんなに羨ましいか?この【ヒーリングファクター】。


「治りはするけど痛いは痛いぞ」

「そんなものを求めてはいないが、まだ完全に能力を引き出せてはいないらしい。未熟なものが身に付けてもその身を滅ぼすのがチートだ」


 そんなものを求めていないって、全ビートル人が怪我しないようにする以上の目的があるのか?

 それに、何の話だ?

 

「お前の全力を見せてみろ」


 ユンクァンが右腕も銀色の刃に換える。

 あ、ってことは俺を刺してるこの2本の針はどっから出てる?


「もしかして、この俺を貫いてるのってお前の足の指か?おい、答えろよ。だとしたらなんか急に汚い気がしてきた」


 手のひらから魔力を放出して、その反動で銀の槍2本を強制的に引っこ抜く。


「オラァ!」


 勢いそのままにユンクァンを殴りつける。

 メイド・イン・ニコのメリケンサック付きだ。


「芸の無いやつだ。俺に物理攻撃は一切効かんといっただろう」


 拳の形に左頬が吹き飛んでも、ユンクァンは平然としゃべり続ける。

 正直言って、こいつの倒し方が分からん。

いかがでしたか。

今回は、なろう小説を実際に読んでみました。

面白かった、続きが気になるという方もいるみたいです!ブックマーク、評価等してみるのもアリかも。

今後の執筆に期待ですね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ