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41話 ドラゴンと会話してみた

「ドラゴンって何食うの?」

「雑食ぅ~」

「チャーハンとか食える?」

「え、知らん!何それ、動物?」


 真っ赤なドラゴンが興味ありげに首をひねって、肩に座っている俺の方を見てくる

 チャーハンを説明しなさいって難しいな。米を肉や野菜と一緒に炒めた料理ですっていっちまったら、玄米とセロリとクジラ肉をフライパンにぶち込まれても文句が言えない。


「実際作った方が早いわ」

「おぉー、着いてからの楽しみですなー」


 そういってヒータンは翼を上下させる。

 あたりに風がビュンビュン吹いて、巻きあがった土や木の葉がヒータンの背中に乗ってるセーレたちに降り注ぐ。


「きゃあっ!うぇー!ぺっ、ぺっ。ユキノ、いったい何言ったの!?」

「チャーハン!」

「聞いてもわかんなかったという。それドラゴン語?」


 会議後に眠った俺は、ミノと出会ったときのことを思い出していた。

 ビートル人はビートルバムでは日本語で会話していた。

 だからミノは俺がこの世界の言葉を喋ったことに驚いていた。

 俺のチート【全言語理解】。

 まだ知性のある動物には試したことなかった。


「話の通じるやつでよかったよ」

「私もマジビビったやんね。いきなりドラゴン語喋りだすし。え、ユキノっちは異人なんだよね?」

「異人?」


 聞き慣れない単語に俺は首を傾げる。

 ヒータンはそんな俺の数倍首を傾げて俺を直接見て、


「だってこの世界島の人間や亜人とは違うところの人たちなんしょ?匂い違うもん」

「匂い」


 異人てのが人間語でいうビートル人だってことは何となくわかったが、なるほど、匂いね。


「わかるんだ」

「うん。あ、そうだ別の異人が一回来たことあったらしいけど、大怪我して帰っちゃったみたい」

「ふぅーん?」

「まさか適当に散歩してたら異人と会うなんてね。不思議なことがあるもんだ。ところでユッキーは、なしてハートランドに来たの?」

「その前に。お前、俺たちのこと食おうとしてたよな」

「え?いや、人里まで運んでってあげようかと思って、『乗せるよー!』って叫んでた」

「人間語じゃないとわかんねえよ!」

「お互い様じゃあー」



 俺はヒータンと出会うまでの流れを説明した。

 異世界転移とビートルバムとファクトリーとラク。

 後ろの女子たちについても説明しておいた。


「えーめっちゃひどくない。もっと前に知り合えてたら墜落してるとこ拾ったのに。でもこれからどうすんの」

「んなもん、ビートルバムをぶっ潰すに決まってんだろ」

「復讐?」

「いや、どっちかっていうと福祉」

 


「はーい。おっつー」

「おっつー」

「おお‥‥‥ここが‥‥‥ドラゴンの里」


 俺たちが連れて来られたのはヒータンが暮らすドラゴンの里だ。

 ゆったり流れる広い川の渓谷沿いに、ドラゴンたちが巣を作って暮らしている。

 ワイバーンと、四足歩行のやつと、ゴジラみてえなやつ、ドラゴンと一口に言っても色んな形態してんだな。

 それにこの渓谷、日当たりがいいし、川もきれいだし、確かにここは住みやすい。

ただここへ来るまでに空も飛んだし、歩いて帰るのは不可能に近い。


「おーいヒータン。人間連れてきたのかー」

「うん!ドラゴン語話せる異人なんだよー」

「こんにちはーーー」

「おお、ほんとだ。ドラゴン語話せる人間なんて、いつ以来だろうねえ」



―――ビートルバム 宮殿―――

「あ、お帰りなさい」


 アキヅキをジブラルタルに置いてきたAWLがビートルバムの宮殿に戻ってきたので、ヤマナミは声をかける。


「あの、AWLさん。今回の議事録をまとめてビートルバム全員に一斉送信しました。届いてなければまた言ってください」

「ああ、届いている。すでに定時を過ぎている。内容は明日確認する」

「届いてるのならよかったです。ユンクァンさんから追加情報を載せるように言われましたのでそっちも確認しておいてください」

「追加情報?」

「はい。2人がジブラルタに言っている間に、ラクさんが49番のチートについて話したんです。ユンクァンさんは知ってたみたいなんですけど、他のみなさんの空気が変わって」

「ふむ‥‥‥」


 仕事を終えたところでさらに仕事を追加されるのはAWLにとって最も不快なことの1つだった。

 生返事して帰ろうかとも思ったが、いささか気になる内容だったので、その場でヤマナミのメールを確認する。


「……なるほど。確かにこれは、真っ先に報告すべき事項だ。それを殺したなどと‥‥‥」

「え……そんなに重要なことなんですか」


 リッカさんやルナさんと同じような表情になったAWLを見てヤマナミは事の重大さを改めて痛感する。

 そしてその重大事項を説明されていないことも。


「ああ、40番台にはまだ教えてなかったのか。詳しいことは俺より上位者に聞け。とにかく、ユンクァンまで出しゃばってきた理由がわかった」

「あの不良品が私たちを脅かすんですか」

「今は気にしなくていい。最も防ぐべきはカジマとの接触だ」



―――ハートランド ドラゴンの里―――

「チーフに合わせたいんさ」

「そーだなヒータン。まさかドラゴンの言葉を操れる異人を連れて帰ってくるとはパパびっくりだよ」


 赤いドラゴネットとそれを一回り大きくしたドラゴンが仲睦まじげに話している。

 パパはヒータンと違って角が尖ってるし、背中のヒレもギザギザしてる。それくらいの違いしか分からん。


「あの、奥にいる3人の方たちは?」

「ユッキーの友達だよ。みんな異人にひどい目にあわされたんだって」

「ふーん、少し事情があるようだね。あ、暑いだろうから奥に入りなさい」

「ありがとー。入っていいってさ」


 通された洞窟は中が広くなっていて親子が並んで寝ても余裕があるくらいだった。

 つまり俺たちには広すぎる。

 ドラゴン用の机の端に座って、俺はヒータンパパのワディに事情を説明する。

 目の前にドラゴンの顔面があるって威圧感凄いな。


「我々が知る時とずいぶん人間国の状況が変わっているようだね」


 俺の説明を聞いたワディは異人がビートルバムとかいう国を作ったことにかなり驚いている。


「ぶっちゃけあり得ないよね。ツガミってそんな魔王みたいな人だったかな」

「ツガミ?」

「もしかしてツガミ氏はもう異人のチーフを退いて?」

「ちょっと待ってください」


 会話は出来ないながらも徐々にヒータンと心を通わせつつある3人に確認する。


「なあ、ツガミってビートル人知ってるか?」

「初めて聞く名前ね」

「うーん、闘ったことはないかな」

「私のところに来た人じゃないです」

「……とのことです」


 3人の意見をそっくりそのままドラゴン語に翻訳してワディとヒータンに伝える。

 俺たちの間になんだかぎこちない空気が流れる。


「いったいどういうことでしょう。てっきりユッキー殿はツガミ氏からドラゴン語を学んだのかと」

「いやー、俺のはチートだから。ってかツガミって誰なんだ?」

「そちらのお姫様のお父上、つまりはフェフェル王がハートランドに遣わした異人です」



―――ビートルバム 宮殿 地下牢―――

「いったいどうなってやがる!」


 宮殿の地下に広がる地下牢にはビートルバムに歯向かった人間たちが収容されている。

 その地下牢の最深部、最も厳重な2つの牢の前で少年2人が絶句していた。


「こいつら2人、叩こうが燃やそうが目覚めやしねえ!!どうすんだよ!!」

「ここ数日、娘との思い出話が聞こえてこないからおかしいとは思っていたが‥‥‥!」


 2つの牢にそれぞれ閉じ込められていたのは、かつて世界島の覇権を争った2人だった。

 共通の敵が出来てからは友情が芽生え、ここに幽閉されてからはますます絆は強固になっていた。


「そのまま報告するしかないだろう‥‥‥!今度は30番台から不良品だ!!」

「あの根暗野郎か!フジオウ!!」


 抜け殻となった2人の囚人を見てカゲロウが叫ぶ。


「王の能力を、盗みやがった!!」

いかがでしたか。

おもしろかった、続きが気になるという方はブックマーク、評価、アニメ化等お願いします。

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