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21話 Niko's Dinner

「昼めし食った?」

「またあなたですか。あなた仕事してないんですか」


 せっかくラザニア持ってきたのにこの塩対応。


「これが仕事だ。ニコ、貴様が仕事しないとこのファクトリーは爆発する。そうだろ」

「そうかもしれませんね」

「わかってんじゃないか。じゃあ協力してくれんだな」

「それとこれとは話が別です。あのビームが倍くらい強くなっても、私とこの家を守るくらいの防壁は作れるので」

「おま、じゃあ、このファクトリーが塵と化した後でこのウサギ小屋だけがぽつんと残ってるってことか」

「まあ、そういうことですね、少し滑稽です」

 

 このこちらを歓迎してない話しぶり。なかなかの強敵だ。全然目あわせてくれないくせにラザニアはもらってくれた。

 ちなみに今日のお昼ご飯は家庭菜園で採れた野菜スープだったそうだ。ニコは肉をあまり食べないらしい。

 しっかし何だろうなこの人を寄せ付けない態度。


「で、ところで自転車はどうだった。俺はあれで空を飛べるか?」

「あなたの体重が2グラムまでなら多分大丈夫です。あ、体積はそのままですよ」

「もはや気体じゃねえか」

「つまり不可能です。ところで、どうしてそんなにビートルバムにこだわるんですか」

「こだわるって?」

「ロンドやカクラの人じゃないですよね、あなた。小国の王子にはみえないですし、何よりセーレ王女と同盟組むっていう関係が意味不明です」

「ああ、そういうこと‥‥‥えーっと、キレるなよ」


 俺はニコに左手を見せた。手のひらに刻印された49。

 それを見たニコは、目を少しだけ大きく開いて、


「そうですか」


とだけ呟いた。

 俺から目線を外して、その表情はオレンジの髪で見えない。

 絶対に部屋にあげてくれない。一刻も早く失礼すべきだという空気が辺りに充満している。

 ニコは大人だ。いや、自制心が異常に強いというべきか。誰かさんみたいに俺の心臓に鎖をぶっ刺したいくらいの怒り、いやそれだけでは言い表せない複雑な感情が心の中で渦巻いているのが見える。


「そんなあなたがどうしてセーレ王女やリイ王女と仲良くされてるんですか」


 ニコの中で理性がギリ勝ってくれた。


――――――


「仲間外れ、ともちょっとちがいますね」

「そもそもあいつらとは仲間じゃないからな」


 よく晴れたアルジェの空の下。

 俺の身の上話は長かったので途中ニコがベンチを作ってくれた。


「とにかく、あなたはあの人たちとは違うってことですね」

「そう、だからさー、一緒に空飛ぼうぜー」

「私も飛ぶことになってるんですか‥‥‥ただ、こちらも飛ばないことには話になりません」

「だろ、なんだよちゃんと考えてくれてんじゃん」

「いえ、興味はありません。正直、こんなファクトリーなんて潰れたっていいと思ってるので」

「ま?」

「それに私はカクラでもロンドでもないですし」


 

―ファクトリー、対クジラ班―

「なあ、社長ー。あのニコってやついったいどういうやつなんだよー」

「そういわれてもねえ。ビートル人は私らが誰かなんて興味もないから社員情報なんてないんだよ」

「マジかー」


 ファクトリー社長アレクサンドリナは忙しそうに書類に目を通していた。ファクトリーの外周に作る壁の進捗具合らしい。ビルの瓦礫さえ壁の材料として使われ、平地になったところにテントを張って拠点としている。


「何だいユキノ。妙にあの子にこだわるじゃないか。確かにあの子の能力は魅力的だけど、でも協調性がないさね。あの子ほどじゃなくても優秀な職人はファクトリーにはたくさんいるよ」

「ねえ、ユキノ。あなたもちょっとは手伝ってよ。壁でも何でも早く作らないと、ラクが今度来たらほんとにわたしたち死んじゃう」


 セーレもリイも壁の建設で手いっぱいだ。読み書きできる2人は材料や各工場の進捗管理なんかを非常事態ということで手伝っている。ボスとネッドラッドは現場で作業しているしでふらふら遊んでんのは俺だけとなってしまった。

 その時、超配達ランチくんが能天気な音とともにやってきた。忙殺されている社長たちのためにちょっとしたお菓子を運んできてくれたのだ

 

「だってこんな深圳顔負けのロボットを作れるような人材だぜ?なんとかして味方にしてえじゃん」


 一番最初にお菓子に手を付け俺はみんなにニコの素晴らしさを説く。てかうめえなこのマカロン。


「……ん?そのロボットってニコが作ったんだ?」

「そうだよリイ。知らんかった?」

「え、あ!そっか、リイ」


 超配達ランチくんをニコが作ったという事実。そこからリイは何かに気づいた。そしてセーレも。

 リイは仕事の手を止め、察しの悪い俺に説明してくれた。


「ニコはビートル人のために機械を作った。端的にいって、私たちの敵だ」


――――――

「夕飯食った?」

「何回来るんですか」


 せっかくラーメン持ってきたのにこの塩対応。醤油だけど。

 醤油だけど。


「しょうゆ?ああ、ビートル人の好きな黒い水ですか」

「詳しいんだな。ビートル人のこと」


 強引な訪問販売員みたいに俺はドアに足を引っかけて、強引に中に入る。


「ちょっと、勝手に入らないでくださいよ」

「自動配膳機2.3、制作者ニコ、制作国ビートルバム」


 ニコの表情が初めて大きく変わった。言われたくないことを言われたという露骨に嫌な顔。


「単三電池2本。向きに注意。驚いたな、まさか電池まで作ったなんて」

「……ええ。ビートル人がうろ覚えで書いた設計図をもとに。彼らは仕組みまで理解していなかったので、中身は私のオリジナルです」

「そもそもビートル人の世界に魔法はないしな」

「私を追放しに来たんですか」

「いんにゃ」


 状況だけ見れば明らかにニコはスパイなんだが。


「お前がスパイなんて器用な仕事できるようには思えんし」

「しれっと失礼な。でもその通りです」

「……だとしたらだいぶまずい。俺たちはお前を知っちゃったし、それに俺は毎日のように自転車で飛ぶし」

「自転車は予想外でしたが、いずれそうなることは覚悟してました」

「なんだよ、ずいぶんと潔いじゃん」


 覚悟してたんだってさ。ってことは自分がしたことに罪悪感があるってことか。

 俺はおもむろに立ち上がってキッチンに立つ。せっかく持ってきたんだし、ラーメン作るわ。


「え、作るんですか」

「だって俺まだ夕飯食ってねえし。食った?」

「いえ」

「じゃあ見せてやるよ。俺が夏休み中に培った昼飯づくりの技術」


 お湯を沸かす間に具材を用意する。

 いっつも何食ってんのかニコに聞いてみたら家の前に作られてる家庭菜園の野菜を食ってて、下にはめったに降りないらしい。

 で、ラーメンに合いそうな野菜っていうと、


「メンマ生えてねえかな」

「ビートル人みたいなこと言いますね」


 くっそ。ビートル人に俺と同じような好みのやつがいやがる。

 メンマは生えてなかったので、このトマトとピーマンっぽいやつでいいか。


「それほんとにトマトとピーマンですよ」

「え、マジ!?」

「はい。ビートル人にタネもらいましたから」

「お前、ほんとにどの程度まであっち側にいたんだ?」

「いいですよ。お話します。あなたの話も聞きましたし」


 とっとと過去を聞き出せば手っ取り早いんだが、それだと取り調べになっちまうし、ある程度距離を縮めないと本音も聞きだせない。

 ってことでこんなにも時間が掛かっちまった。

 つっても本話での経過時間は1日。

 長え1日だったな。


 出来たラーメンはトマトとピーマンだけが具材の、見ようによっちゃ意識高い食事に見えるシンプルさだった。

いかがでしたか。


すこしでも

・おもしろかった

・続きが気になる


と思っていただけましたら、思ったまま眠ってください。

ブックマークや評価、感想も欲しいけど、かくいう俺もおもろかったからって何もしないし。

なんならこの欄は流し読みするだけだし。

みなさん明日も早いだろうしいちいち感想書いてもらうのもな‥‥‥あなたが明日も読みに来てくれればそれで、ええんや‥‥‥。


いや、やっぱください。感想欲しいっす。

あなたのポイントが励みになるんです。そういえば前作も嬉しかった。俺も書きます、だからあなたも書いて。

是非お願いします…!

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