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145話 城を燃やしたのは①

「完全に予想外だ……!」


 正直言ってかなり驚いた。まさかホンロン城が燃えるとは思わなかった。

 っていうか、燃やすとしたら俺だと思った。


「アキナ、燃えているのってどこらへんかわかるか?」

「うーん……だいぶ上の方だから、偉い人ゾーン。変なの、ビートル人、自分の部屋に火つけてる」

「……だとしたら……リイがやったのか?」


 下手に鳴らすわけにはいかない電話。意を決してかけようと手に取った矢先、電話が鳴った。


「もしもし。私だ。ようやくファクトリーが見えるところまで来たが、どうやら、入れそうもない。かなり危険な……誰だ貴様?」

「ナツメっていう聖女だ。俺今世界語離せなくなってて、通訳してもらってんだ」

「……jfぁ(顔か)」


 ナツメが代わりに出たことで途端に声が鋭くなったソコルルに事情を説明する。

 なんかボソッと一言言ったみたいだけど、ナツメが訳してくれない。そうかって感じの返事だよって言っているけど、そんなニュアンスじゃない匂いがする。

 ただどっちにしろ、これで燃やした人間がほぼ確定した。


「とりあえず、ホンロン城を目指してくれ。俺たちもこれからそこに行くし、セーレとリイもいるから」


 電話を切って、俺たちはホンロン城を目指した。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 時間はしばらくさかのぼる。


「誰か出てくるよ。会議終わったみたい」


 ホンロン城、会議室。赤地に金色の線が装飾された大きな扉から、まずはダブルのスーツを着た青年が出てきた。

 ハヤブサだ。


「あれ、天災のハヤブサじゃない?」

「ほんとだ。しんどいな~」


 分厚いカーテンにくるまって身を隠した2人。

 2人に気づくことなくハヤブサは会議室を後にした。


 続いてヒイロ。猫背でのそのそ歩いて廊下の向こうに消えていった。足元にはコインやトランプが集っている。


「何あれ。なんか虫みたい」

「あいつは警戒したほうがいい。本人は強くないけど、能力が厄介」


 その後ユタアキラが来て、次はサッチャン。

 最後に出てきたのはフマとヤマナミだった。


「フマが出てきたからもう誰もいないかな」

「隣の女の子何?ずいぶん丁重に案内されているけど」


 フマの顔を忘れたことはないセーレとリイだったが、ヤマナミを見るのは初めてだった。

 今朝出迎えたフマがまた出かけてそして再びAWLと謎の女を伴って裏門に現れたのをリイが発見。それ以来、2人ともが警戒して探っていた。

 ヤマナミが感じたきつい目で見てきたメイドとはセーレとリイだ。

 タオユエンで闘った3人だが直接顔を合わせていないためセーレたちはヤマナミのことがわからないし、ヤマナミは変装しているセーレとリイに気づかなかった。


「追っかけるしかないでしょ。多分私たちが潜入しているのはもうバレかけてるから、向こうも行動を起こしてる」

「……そうね。行きましょ」


 ヤマナミが何されるのかとビビりながら地下への階段を降りていたその後ろ、セーレとリイがこそこそ尾行している。


「これどこ向かってんの?」

「多分、秘密の地下室。パパが昔なんかしてたんだけど、中は入ったことない」


 その秘密の地下室の重たい扉を開けてフマとヤマナミが中に入る。

 閉まりきる前に滑り込もうとしたセーレをリイが制止する。


「上上。上にも通路あるよ」


 リイが指し示したのはキャットウォークの出入り口だった。地下室を俯瞰で見下ろせるよう高い位置に渡してあるらしい。

 階段をそろりそろりと上って窓に顔を押し付けて中を覗く2人。

 ぎりぎり見えたのは、フマの背丈をしのぐ大きな神鏡だった。

 ドラゴンの装飾が施された赤い台座だけですでにヤマナミより大きいし、その上に鎮座する鏡はなお一層大きい。きれいな円をしているのに、光を一切反射せず黒い。まるでそこだけぽっかり穴が空いているようだった。


「何あれ……え、ほんとに何?めっちゃ怖い……」

「転送装置、じゃないかな。だってあの台座の龍、指が5本ある。あれは、カクラの王しか使っちゃいけない龍。それだけあの鏡が重要なものってこと」


 2人が窓に顔を押し付けて食い入るように見ていると。


「おいおいおい何覗いてんだよ!!ルール違反だなあ!!!」


 それまで肩の上で静かにしていた馬が突如としてペラペラしゃべり始めた。

 セーレの肩のもリイの肩のも同時に。

 ただし、それまでの気だるい声ではなかった。


「つってもまだルール決めてね……ってお前らただのメイドじゃねえな!!」

「どこ!?」


 セーレが鬱陶しそうにあたりを見回す。この声は確実に、この馬の能力の持ち主だ。

 さっき会議していたビートル人は5人。全員見送ったはず。


「やばいよセーレ。フマが出てくる」

「ひゃーっひゃっひゃっひゃ!まさか私が一番乗りとはな!!お前らこっから生きて出ていけると思うなよ!!」


 次の瞬間、セーレとリイの肩から馬が飛び降りた。

 2匹はとことこと階段を駆け下りて行って、地下室の扉を開けて出てきたフマとヤマナミの前を横切った。

 馬が走った先にいたのはサッチャンの人形だった。デフォルメされたカウガールと、その後ろにいる黒いヴェールを被ったサッチャン本体。


「サッチャンか。なんだ?」

「ネズミ2匹見つけました!!私が最初に見つけました!」

「……カジノ経由で城に入ったのか。わかったよ。任せた」


 それを一目見たフマは事情を一瞬で理解し、階段上のセーレとリイを一瞥した。

一瞬沈黙が流れ、フマはなんてことないみたいな顔をしてカウガールの頭を一撫でして立ち去った。その後を半分くらい理解したヤマナミが首をかしげながらついていく。


「取るに足らないって顔してたわね、あいつ……」


 フマの冷たい目を、自分を見下したと感じたセーレが露骨に不機嫌になる。どすどすと階段を下りて、サッチャンの前に立つ。


「ふぁああああ!!フマさんに撫でられちまったぜ!! 」


 一方のサッチャンはフマに頭をなでなでされたことに舞い上がっている。ヴェールがくねくね動いていて、やけくその毛虫みたいだ。


「ふああああ♡体に電気が走ったみたいだ!!!マジでお前ら2人とも全没収してやるからな!!」


 馬2体がその躍動するヴェールの中に消えていく。と、カウガールの腕から鎖が伸びて目が七色に光りはじめた。


「こいつはすげえや!!ロンドとカクラの姫の力、なんて気持ちいいんだ!!!」


 遠くの方で、大きな爆発音がした。それはナツメとユキノがホンロンカジノを吹き飛ばした音だったのだが、3人とも集中して聞こえていなかった。






いつもお読みいただきありがとうございます。

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