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成り損ない勇者の異世界銃奏乱舞  作者: ディンキー
第二章
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第九話 新装備召喚、そして城塞商業都市へ

お待たせしました。

チュン……チュン……


「ん……」


 どうやら俺は考え事をしたまま寝てしまったらしい。頭の上で淡い光を放つランタンを消すために起き上がろうとする。


 だけど体が動かない。不審に思い周りを見回そうと首を横にすると、朝から衝撃的なものが見えた。


 まず、何故か寝袋が自分以外に2つテントの中にあること、右側には朝日とランタンに照らされ輝く金髪セミロング、左側には茶色がかったショートボブ・・・そう、何故か隣のテントで寝ていたはずのリースとアリシアが俺のテントに潜り込んでいたのだ。


 二人共何故か服を着ていない上に俺にピッタリしがみつくように俺の腕をその柔らかい胸に挟んでいる。


「おっ、おい! 起きろ二人共!」

「うーん……ヨシヒサあと1時間……すぅ……」

「私も……もう少し寝させてください……くぅ……」


 二人揃って二度寝してしまい、本当に一時間も寝てしまった。もっとも俺にとっては生殺しの地獄の一時間ではあったが。


「ご、ごめんなさいヨシヒサ……私、朝はそんなに強くなくて……」

「すみません……ヨシヒサさん……」

「いや、気にしてないしナニも見てないから安心してほしい」


 一時間後、若干寝ぼけて再起動した彼女たちに両腕を拘束された状態で強力なビンタを両頬にくらい、一瞬意識が飛んだ。恐らくそれのことで謝ってきているのだろう。


 だから聞かない、何故俺のテントに潜り込んで全裸でいた理由なんて絶対に聞かない。


 本日の朝食はオニオンスープ、ロールパン、ベーコンエッグ、ココアだ。これらも全て召喚されたレーションから出している。


「ふう、朝飯も食べ終わったことだし荷物まとめたら移動を開始しよう」


 鍋や皿などをインベントリに放り込みながら近くの木の幹で顔を洗っているリースとアリシアに声をかけておく。


「わかりましたぁ……」

「ふぁい……ヨシヒサさん……」


 テントとペットボトルをインベントリに入れてザックを背負い、愛銃のSCAR‐Hに装着しているタクニカルスリングを肩に掛けて二人の準備が整うのを待つ。


「ヨシヒサ、遅れてごめんなさい。少し靴紐を結ぶのに手間取ってしまって」

「はぇ……この服、動きやすくていいですね~」


 二人には昨日、マルチカム迷彩のズボンとシャツ、上着を渡している。何故かと言うと、原因はリースの重鎧だ。重鎧は本来、長距離行軍などには向かず馬に乗って移動するのが常である。


 しかも今回は地形の変化が激しい森林地帯、どう見ても行軍には向かないので着替えてもらう。鎧は頼れるインベントリに放り込んでおいた。


 因みにリースだけずるいとアリシアが文句を言ってきたので二人揃って着替えることになった。


 それに付け加えて二人から銃の使い方を教えてくれと頼まれ、最初は断ったが、何度も説得されてしまい結局、教えることになった。


 最初からアサルトライフルのような大型の武器を扱わせるわけには行かなかったので、PDWと呼ばれるサブマシンガンとアサルトライフルの中間のような性能を持つカテゴリーの武器を使わせることにした。

 

 二人が気に入ったのはH&K社製MP7A1というやつだ。無論EOTtch社製のホロサイトとフラッシュライト、それから拡張マガジンを装備させている。


 扱い方と射撃練習は偶に襲ってくる魔獣がいたので二人には魔獣で練習してもらった。


 上達してきたら大きめのを持たせてみてもいいだろう。


 3時間ほど森の中を歩き、少し上り坂になっている場所を上がると、5、6メートルぐらいはあるきちんと整地された道に出た。ここが城塞商業都市へ続く街道だ。


「よし、二人共。今から乗り物を出すから少し下がってくれ」


 二人を下がらせてタブレットを取り出し、『戦闘車輌』の欄からM2重機関銃を搭載したM1151ハンヴィー(OGPKと呼ばれる機関銃手装甲銃塔キットをルーフに装備)を召喚した。


「すっ、すごいです! これは一体……っ!」

「……これって馬車? でも馬がない……どうやって動かすのですか?」 


 期待通りの反応だ……取り敢えず車の意味と原理と運転の仕方、ルーフに乗せているM2重機関銃の使い方をレクチャーしておいた。一時間も経たないうちにプロドライバー顔負けの運転技術と射撃術を二人共習得していた。


 やはり、銃の使い方を教えていた時にも思ったが、彼女たちは飲み込みが早くすぐに覚えてくれる。異世界人補正なのかまるで水を吸うスポンジのようにどんどん吸収してしまうから最後あたりはため息が出てしまう。


因みにアリシアには俺の正体を一部を除いて全て話してある。肝心のアリシアの反応はあっ、やっぱりといった感じだった。なんか悔しい。


 ハンヴィーに乗り込みドアを閉め、改めてエンジンを掛ける。


 ディーゼルエンジンの音を聞きながらゆっくりとアクセルを踏み込み前進させる。


 能力のおかげか日本ではバイクすら運転したことがないのにここでは何十年も運転してきたかのように体が動く。


「ヨシヒサ!すごいです! とても早くて風が気持ち良いです!」

「すごいですね……練習をしているときにも思いましたけど、こんなに早く走れるなんて軍馬でもむりですよー」


 リースは銃座から外に出て屋根に座り、アリシアは銃座に腰掛けている。二人共気に入ってくれたようだ。


 実は車酔いとか大丈夫かと心配したが、普段から乗り心地が最悪とまでは言わないが微妙な馬車に乗っているリースは平気らしく、アリシアも特に気分が悪そうにはしていなかった。


 街道はしっかり踏み固められているものの、変に速度を出し過ぎると危ないので大体40km/h程度に速度を抑え、俺達は一路城塞商業都市ギルノディアへ向かう。

多数のブックマークありがとうございます!最近はブックマークの数を見ながらニヤニヤするのが日課となってきました。これかもよろしくお願いします。

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