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12小野桜


 中学生の時まで私は田んぼが一面に広がっているような田舎に住んでいた。

 昔から可愛いものが好きで、アニメや絵本に出てくるキャラクター達が好きだった。

 そして食べることも好きだった。外に出て遊ぶよりもよく食べて、アニメをたくさん見る生活を送っていた。


 小学生の時。同年代の子達が段々とアニメを見なくなっていった。みんな外で遊んだり、ファッション誌とかを呼んだりするようになっていった。そして自分の食べる量が他の人よりも多いこともその時に知った。

 ある日、アニメの話をしていると男の子に言われた。


「お前、まだアニメとか見てんの~? 赤ちゃんだ! アニメってガキしか見ないんだぜ~!」

「お前、めっちゃ食べるな! 将来はお相撲さんになるのか!」


 男の子達は面白がって、私をいじってきた。

 それから私は食べる量も制限し、アニメも隠れて見るようになった。





 


 中学校の時。ずっと見ていたアニメがゲーム化した。それを機にゲームにもハマった。でもやっぱり隠れてやっていた。ゲームやアニメは子供のもの。そんな考えが強く私の頭の中に刻まれていた。

 中学で仲のいいよく遊ぶ人達が出来た。部活でつながった男女グループだった。クラスの中心にいるような明るい人達。みんないい人だった。バスケ部キャプテンだった男子には告白もされた。好きという感情が分からなかったから断ったけど。でも断った後も変わることなく接してくれた。

 そんないい人達になら言えるかも知れないと思った。

 私が本当に好きなもの、本当に共有したい楽しみ。




 でも、だめだった。打ち明けた瞬間は苦笑いで済ましてくれたが、次の日から対応が変わってしまった。少しずつ避けられ、話しかけてもあまり真面目に相手をしてくれないようになった。私がいたグループには知らない子が入っていた。もう、私の知らないグループが出来上がっていた。私は居場所を失ったような気がして、段々と学校に行かなくなった。


 そんな時だった。親が転勤が決まったので引っ越すと言い出したのだ。何でも親戚の会社に入ることになったらしい。私の親戚、みーちゃんの家は起業していてそこそこ有名になってきているイケイケの企業だった。

 みーちゃんが通っている学校なら安心だ。みーちゃんは私の好きなものを理解している。それにみーちゃんもアニメやゲームが大好きだ。だから。


「父さん! 私、みーちゃんと同じ高校に行くことにする!」

「お、いいな。でも結構難しいぞ?」

「大丈夫!! 頑張る!」


 私が幸せだったのは、比較的勉強は出来る方だったことだ。それに学校は休んでも勉強はしていた。だから、高校に受かるのは簡単だった。

 






 高校生になった。

 中学校は卒業式も出ず、卒業証書は家に送られてきた。

 ずっと不登校だったから身だしなみだけでも整えようと、引っ越した先。都会の美容室に行って髪を整えて貰った。そして、みーちゃんに連れられて眉毛サロンや脱毛サロンなんかにも行った。みーちゃんは都会に詳しくて色んな所を案内してくれた。

 みーちゃんが美容のあれこれを教えてくれたおかげで、私は綺麗になっていった。


 


 高校入学初日。色んな人に声をかけられた。

 同学年はもちろん、他学年の人達にも。みーちゃんは「すごいね!! モテモテじゃん!」なんて言ってたけど、私は恐かった。知らない人が私の胸や顔を見ながら話しかけてくる。だから、怒らせないように丁寧に返事をしていた。昔、アニメで見た言葉遣いを真似ながら。


 1日に何回かは告白をされるようになった。でも、私はその人のことを知らない。初対面の人やクラスが同じだけで喋ったことがない人達が多くいた。

 だから断っていた。

 


 しばらくすると、私の周りからのイメージは段々と決まっていった。どんなに急に声をかけても丁寧に優しく話してくれる。告白も全部を聞いてくれる。あの見た目で偉そうでもない。優しいお姫様だと。


 そこからは私への妄想は加速していった。休日は○○をしてるだの、実は○○をしているなど。

 私はそれらに縛られた。そして上辺だけの言葉を吐き続け、自分がなんなのか分からなくなっていた。友人も出来ず、本音を語り合うことも出来ず。




 


 そんなある日。ある男の子と出会った。それは、新2年生になる日。

 今日からまた、自分を偽る日が続くのかと思いながら登校した日だ。


 登校すると、なにやら下駄箱の前で騒いでいる3人がいた。女の子は知っている。学年トップの成績を誇る美咲さんだ。でもその他の二人は知らない。でも名前は何となく聞こえてきた。

 何を思ったのか、私はその人達に話しかけてみようかなと近づいた。すると、どうやら私の話をしている。

 


 「おはようございます。春さん。これから同じクラスだそうですね。よろしくお願いしますね?」

「聞いてきいていなかったのか? 頭が高いぞ愚民。俺は騎士だ…ぞ、誰に、向かって…」



 振り返りながら彼は固まってしまった。

 そして私は思わず笑ってしまった。ちょっとした興味本位で話しかけてみたけど面白い人だと思い、私達は教室まで一緒に向かった。




 その時から、少し違和感は感じていた。

 この人は、春さんは私と会話をしているけど、そこには何の欲望もない。高校に入ってから今日まで下心ありきの会話しかされてこなかった私にとって、彼との会話は心地いいものだった。





 懇親会に誘われている時、名倉君がしつこくLIMEを聞いてきて困っていた時、なぜか春さんは会話に割って入ってめちゃくちゃにして帰って行った。

 懇親会に参加すると、いろんな人から連絡先やデートの申し込みをされた。LIMEは何人か交換したけど、追加はしていない。




 春さんのことが少し気になる。

 彼だけだ。私に何も言ってこないのは。何も要求してこないのは。







 そんなある日。

 ショッピングモールでゲームを買い、爆食いしている所を見られてしまった。ちょっと離れた所のショッピングモールに来たから大丈夫だと思っていたのに、バレてしまった。





 まずい。どうしよう。また、引かれて、馬鹿にされて、避けられる。

 そう思った私は、彼の口止めをするために、空き教室に呼び出した。

 




 




 

 







 

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あと、作品名をちょっと変えます…!

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