情報戦
かなり長めです。
三十日目
使者により指定された場所は意外にもシールから数百メートル程度しか離れていない皇国軍の作った簡易テント(軍の指揮官などが詰めるのによく使われるようなやつだ)だった。
今更外交などを考える必要もないので、護衛は何人でも連れて行って良かったのだが、律儀に一ヶ月こちらが準備を済ませるまで待っていた相手が奇襲を仕掛けてくることは考えづらかったし、ましてや指揮官が堅物で知られる閻魔だと分かれば尚更だ。結局僕は知性と判断力の兼ねそろえたセシリアともう一人を連れて行くことにした。
「――で、なんで私なの」
「前の時も一緒してもらったわけだし、信頼しているからですよ」
「こんな危険なことに巻き込まれるならそんな信頼要らないんだけど……」
溜息を吐きながらも大人しく僕に付いてくるのはフェルトだ。
「私、もうあんた達レベルの戦いには付いていけないわよ?」
「謙遜するのは良いんですけど、どのみち、今回は別に戦いにならないと思いますよ」
「だとしてもなんで私よ。アルティやアリスを連れて行かないのはまだ分かるけど、エトやスイランあたりなら万が一戦闘になっても私より強いし安心するでしょう?」
「あの二人はまだ精神的に脆いですから。何か向こうが揺さぶりをかけてきた時に動揺を見せたり、その場で襲い掛かる可能性までありますし、敵地で戦闘を始めるのは避けたいんですよ。その点、フェルトさんは冷静な判断もできますし、何より人を“よく見ている”」
フェルトが観察力に優れていることは五年前から知っている。おそらくこれから行く先には閻魔の他にも静香などの側近もいるだろう。もしかするとイリスもいるかもしれないし、フェルトとセシリアにも実際にイリスを直接見て、感じたことを教えてほしいと思っていた。
「ふむ、それは私も買っていたが、そこまでフェルトばかり褒めると些か私はへそを曲げてしまいそうだ」
「何を言っているんですか。もちろん、セシリアさんが一番頭が良いですし、洞察力にも優れていますよ。わざわざ言わなくても分かってくださいよ」
「ふふ、すまんな。やはりお前から直接口に出して褒められたくてつい、な」
そう言ってお茶目に笑うセシリアは見たところ緊張などは感じられない。フェルトは少し表情が硬いし、僕も気付けば手をきつく握りしめてしまう始末だ。この落ち着きは流石だし、一緒にいて心強いことこのうえない。
緊張をほぐすため、そのまま何気ない会話を続けながら歩いていると、やがて目的の陣地に到着した。入口では、意外な人物が僕達を出迎えた。
「お久しぶりです、兄さん。きっと来てくれると思っていました」
「楓……君も来ていたのか」
「はい、お母様もここにいらしていますから、当然です」
楓は以前見た時と同じように、相変わらず病的なまでに肌が白く、妖のような美しさを秘めていたが、妹から漂ってくる雰囲気は以前よりも少し鋭くなっているように感じた。
「楓、母さんとずっと一緒にいたってことは、ずっとメルクースの下にいたのかい?」
「ええ。まさかあの御方が兄さんたちに負けるなんて思ってもいなかったですが。兄さん、本当にこの世界では最強の部類に入るのですね」
「あの件については僕は大した関わっていないよ。僕の元教え子が勝手にやったことさ」
「そうですか……でも、兄さんはやはり今もお母様に歯向かうのですね」
そこで、楓が僕にはっきりと敵意を抱いていることに気付いた。これまでも非難のような感情を向けられたことはあったが、こうも明確に敵とみなされるのは初めてだった。少しだけ悲しい気持ちになりながら、それでも僕は実の妹に言わなければいけないことがあった。
「楓、いい加減母離れしたらどうだい? 君には君の人生があるし、それに君にも母さんがどういう人物か知っているはずだ」
「それを兄さんが言いますか? 別に、母さんがどんな犯罪に手を染めようと私は――」
「違う、そうじゃないよ。僕が言いたいのは母さんは楓に愛情なんて一切抱いていないし、見返りを求めて母さんに尽くすのは間違っているということさ」
楓が固まった。
まるで時間が止まったかのように、本当に数秒楓は動かなかった。息さえもしてなかったのではないだろうか。
それから彼女の眼が泳ぐ。それは僕達を前に動揺を教えるのと同然の行動だった。僕も楓がそこまで動揺を見せることなんて小さな頃から数えても初めてだったかもしれない。
「…………別に、私は見返りを求めてお母様に尽くしているのではありません。兄さんのように損得勘定で行動する人と一緒にしないでください」
しばらくしてから絞り出すように楓は言った。だが、バツが悪そうに顔を逸らせるところ、僕の言葉に思うことがあったに違いない。
「カナキ、妹を虐めるのはそれくらいにしてやるがいい」
ぽんと僕の背中を叩きセシリアが言った。それに反応して楓がきっとセシリアを睨むが、師匠はそれをどこ吹く風と逆に笑みを向ける始末。流石師匠だな……。
「楓。気が変わったらいつでも僕の所においで。まあ僕もそれほど長生きできる気はしてないんだけど、兄としてできる限りのことはすると約束するよ」
「……全く必要のない配慮ですが、そのお気遣いだけは感謝します」
そう言ってから一呼吸置くと、楓が再び僕を真正面から見た。その時にはもう先ほどの感情の揺らぎは見られなかった。
「それでは、皆さんを閻魔様の下までお連れします。付いてきてください」
「久しぶりだな、カナキ・タイガ」
通された巨大なテントで、僕は久しぶりにその山のような巨漢、閻魔、そしてその脇に控える静香と再会した。
「はい、お久しぶりです、閻魔さん。あなたの活躍はこの世界に来てからも度々耳にしています。特に王国の国境沿いでの海戦では、まさにあなたが獅子奮迅の活躍を――」
「意味のない話に時間を割くつもりはない。早速本題に入る」
僕の言葉を遮る閻魔。彼は座っていた椅子(玉座のような立派な椅子だ)から立ち上がると、懐から取り出した書簡を僕に差しだした。「聖イリヤウスからお前にだ」
「これは……?」
一応用心しながらそれを受け取りそう聞くと、閻魔は「誓約書だ」と言った。
「誓約書?」
「いいから早く開いて確認しろ」
なるべく喋りたくないという感情を露わにそう吐き捨てた閻魔に、後ろでセシリアが噴き出した。振り返るとフェルトがドン引きした顔でセシリアを見ている。確かに、目の前にとんでもない敵がいる中でこんな態度を取れるのはセシリアだけだろう。でも、流石に僕も心臓に悪いから大人しくしてほしいかもしれない。早くも人選を間違えた気がしてきた。
「ちょ、ちょっと待っててくださいね」
僕は慌てて渡された書物に目を通す。それは、確かにイリスが直接書いたらしいもので、最初に書かれていたティーンエイジ特有の読んでいる方が恥ずかしくなるような恋文みたいな内容をすっとばし、閻魔の言っていた誓約書と思われるところを流し見する。
『さて、カナキ。もう少し話したいところだけど、あまり長すぎるとあなたは読み飛ばしそうだからそろそろ本題に入るわ。今回あなたと戦うにあたって、お互いに敗北条件を確認しましょう。
私、つまり皇国の敗北条件は一つ。六道の二人、若しくは私の死亡。
カナキ達の敗北条件は……そうね、カナキの死亡、または行動不能になったら、ということでどうかしら?
この条件が達成されたら双方その時点で軍門に下るというのはどうかしら? 私もこれでも一国の代表という立場があるから、悪戯に国力を落とすわけにもいかないの。カナキだって、自分がいなくなった後、無下にお仲間さんの命を散らせたくはないでしょう?
この条件でよければ目の前の閻魔に伝えて頂戴。それじゃあカナキ、近いうちにまた逢いましょう』
「……なんでこれ、わざわざ書簡なんですか? 皇国の通信技術なら顔を突き合わせて喋るのも可能ですよね」
読み終わった後、真っ先に疑問に思ったことを口にすると、閻魔は少しだけ苦い表情を浮かべる。
「……聖イリヤウス様が、貴様と次会う時は完璧な形にしたいだからだそうだ」
「なんですかそれ」
「……俺に聞くな」
素の感情だろうと思える苦労の色が見える声音で閻魔が言う。やはり彼は苦労人の性質があるようで、僕も思わず苦笑いを浮かべた。
「誓約書の内容に異論はありません。これで大丈夫だとイリスに伝えてください。それと、僕も再会を楽しみにしているよとも」
「……分かった。伝えておこう。では、俺の用件は済んだ。後は好きにしろ」
「――ありがとうございます、閻魔様」
テントの奥から声がして、一人の少女が現れた。
豪奢なドレスを身にまとい、隠しきれない気品をたたえ現れたその少女は、閻魔に対して一礼したあと、僕をまっすぐに見つめた。
「ほう、貴様がカナキ・タイガか……なんというか、思ったよりぱっとしない男じゃな」
いきなり失礼な事を言う娘だな……。
「ええと、君……いや、あなた様は? 見たところ、どこかの身分ある御方かと思いますが」
「ほう、人を見る目は確かか。だが一時とはいえ、我が国に在留していたにも関わらず、妾を知らんとはな」
「カナキ、あれが噂の皇女だぞ」
そこでセシリアが僕に耳打ちしてきた。髪から良い匂いがふわりと香る。
「皇女というと、まさか先日のあの?」
「ああ、連合国を裏切り、我が身大事さに国を売った『妖術姫』ナターシャ・クロノスだ」
「おいおい、一国の姫を前に耳打ちとは不敬じゃな。首をくくるか?」
その少女、ナターシャは本気かどうか分からないトーンでそんな物騒なことを提案してくる。表情からもその感情は読み取れない。楓と同じ、何を考えているかを読みにくいタイプだな。
「……失礼しました。まさかクロノス帝国の皇女様でしたか。それで、あなたは一体何の用で?」
「なに、これから貴様らと矛を交えるにあたり、先にどのような人物か見ておきたくてな。指揮官としても、戦う相手を知っておいた方が行動を予測できることもあるしのう」
「指揮官? 指揮官は閻魔さんじゃないんですか?」
「閻魔様は総指揮官じゃ。最初から総指揮官が動くものでもあるまい。最初は妾とそこの静香が相手じゃ」
「あなたと母さんが……?」
そこで僕が初めて静香を見つめるが、彼女はアルカイックスマイルを保ったまま、何も言わなかった。
「最初から閻魔様と戦うつもりでいたのか? ふん、おこがましい。貴様らも腕は立つようじゃがな、この戦力さを前にそもそも戦いになると思っている時点で滑稽なのじゃ」
「あの、さっきからあの子すごいフラグみたいなことしか言わないんだけど、実際彼女はどうなの?」
僕が小声で後ろの二人に問いかけると、今度はフェルトが口を開いた。
「ああ見えて、噂では結構切れ者らしいわよ。世界の王家の娘といえば、カレン・オルテシア、ナトラ・レンベル、そしてこのナターシャ・クロノスだけれども、知力を加味すればその実力はナターシャは二番手と言われ、実力で劣っているナトラに対して、それだけ知力でアドバンテージがあると考えられているわ」
「まあ、ナトラ君に頭脳を求めるのは酷だからなあ……」
だが、『メル』でも確か二十位以内に食い込んでいるし、今回のクーデターも、ああも完璧に成功させることが出来たのは、確かに彼女の知略のおかげだったのかもしれない。
「ふむ、妾を評価する話ならば悪くない。だが、まだ一つ、こちらから提案したいことがあるのでな。そろそろ妾と話してもらおうか」
「提案?」
僕の問いにナターシャは屈託のない笑みを見せた。
「そうだ、提案じゃ」
ナターシャは僕に向かって一枚の紙を差し出した。
「これは?」
「妾が把握しておる貴様らの陣営の名簿じゃ。確認してみるが良い」
その言葉に僕は中身を確認しようとしていた手を止める。
「……それなら中を検めるのは止めておくよ。僕の反応を見て君の予想の答え合わせをさせるわけにはいかないしね」
ナターシャが先ほど言ったことはおそらくフェイク。彼女は僕達側に誰がいるのかを一人一人把握しているとは思えないし最大限分かっているシールからの人の出入りから予想するのが精々だろう。あとはそれを僕に見せて僅かな反応からでも自分の予想がどれだけあっているのか確かめたかったのだろうと踏んだ。
「ふむ、本当に頭は悪くないらしい。だが忠告しておくぞ。妾の提案、ひとまず最後まで聞かなければ貴様は必ず後悔することになる。悪いことは言わないから中を読んでみるがいい」
「……」
しばしの逡巡の末、僕は黙って中を確認した。ナターシャの声にはどこか強い自信が見えたし、僕もポーカーフェイスには自信がある。そんな容易に感情を悟らせるつもりはない。
そうして中身を確認した結果はというと、内心少し驚くくらいに正確だった。最後まで僕達と命運を共にするといった稀有な生徒たちや生き返った状態のアリスなどまでは流石に掴めていなかったが、特別クラスの生徒やエトやフェルトといった手配者なども名前が入っており、何より聖天剋までいることを掴んでいることは驚きだった。
「……なるほど。確かに貴様は感情を消すのが上手い。そういう所は親譲りといったところか、静香?」
ナターシャの問いかけにも無言の微笑で返した静香。今日の母さんは少し不気味なくらいに静かだな。なんだか、大型肉食動物に観察されているような気分になる。
「それで、これで満足ですか?」
「いいや、まだだ。妾が反応を探ろうとしているというのはあくまで貴様の憶測だろう? 妾には最初から別に提案がある」
「……なんですか、それは」
なんだか嫌な予感がする。そして、その予感は間違いではないことが証明された。
「率直に言う。妾はナトラ・レンベルを拘束している。彼女の解放と条件に、貴様らの陣営のある人物をこちらの指定した場所に誘導してもらいたい」
それはあらかじめ予想していたこと。連合国側であるナトラの訃報が届いていないということは無事に逃げたか拘束されたのかの二択と考えていた。だが、ここでそのカードを切ってくるとは思わず、返答に数秒の間を要した。
「ナトラ・レンベル? なぜここでそんな名前が……といっても今更ですよね」
「うむ。話が早くて助かる。貴様とレンベルの関係性は把握しているからな」
「ですよね。それで、ある人物とは?」
「聖天剋じゃ。かの暗殺者だけはこちらも手を焼くのは目に見えている。何も殺せとは言わん。こちらの指定した場所に送ってもらうだけで良い。どうじゃ、悪くない提案じゃろう?」
「はあ……まず第一に僕ら側に聖天剋さんがいないので話になりませんね。それに、いたとしてもこちらの最強の切り札になりうる人をわざわざ敵地に送るわけがないでしょう。ナトラ君には悪いけれど、そこまで彼女に肩を貸すつもりはない」
「本当かの?」
ナターシャは下からじっと僕の瞳を見上げた。僕も動かずその瞳を見つめ返す。傍から見れば、それはまるで恋人のような光景だったかもしれないが、僕は感情を完全に消し去り、ナターシャは僕の一挙一動一つも逃さんと観察する情報戦そのものだった。
「……ふう、まあ、今はそういう解答しかできないじゃろうな」
そうして数秒の後、先に目を逸らしたのはナターシャだった。彼女は身を引くと、
「明日の開戦から三日だけ待とう。それでも貴様から何の反応もなければ、ナトラ・レンベルはこちらで殺すが構わないな」
「ええ、構いませんよ、それで」
ひとまずこの場は凌げたようだ。僕は内心で溜息を吐いたところで、
「――――ちなみに、今のナトラ・レンベルの様子だ。一応貴様にも見せておこう」
ナターシャが今度こそこの情報戦の切り札を切った。
『あ、があ、ぐうぅ……が、ぐあああああ!!』
突然テントの壁に、ナトラがレイプされる映像が映し出された。
「――――――――」
どこかの薄暗い室内で撮られたと思われるその光景の中でナトラは獣のように吠える。普段のナトラであればそんなものは蹴散らしてすぐに逃げそうなものだが、両足を鎖で繋がれ、“両腕を斬り落とされている”今の状態のナトラではそれも叶わないようだった。
「――――どう? 早くしないと彼女、壊れるぞ。これなら気が変わった?」
気付けば、息もかかるくらいの至近距離までナターシャは来ていた。その瞳はじっと僕に注がれており、今度こそ何かしら僕が反応するのを確信しているようで、悔しいことにそれは正解だ。僕はもう、自分の感情を殺すことができなくなっていた。
「ナターシャさん。中々才能がありますね」
「――――――――――――――――――――――――え?」
ナターシャが呆けた声を上げた。
そんな彼女の方に僕は向き(当然、もうキスできるくらいの距離間だ)、我慢できず笑みを見せた。
「正直見くびっていましたよ。でも考えたらあなた、連合国を裏切る際にも結構えげつないことをしでかしてますし、確かに才能の片鱗に気付いても良かったものだ。これは僕もまだまだ人を見る目は養った方が良いということかな」
「き、貴様……なぜ、そんな………笑って……」
「いや、ナターシャさんが面白い映像を撮って見せてくれたからですよ。でも惜しいなあ」
僕は今なお映像に映し出されているナターシャの身体に目を移した。両腕を失ってなお、ナトラの身体は美しく、鍛えられたその肉体はまるで野を走る獣を彷彿とさせた。(実際はかなりベトベトしてそうだが)
「他に方法がなかったのでしょうが、彼女の腕を斬り落とすのは少し早計だったかもしれないですね。僕が戦力補強という意味合いも兼ねてナトラ君を解放したいと考えていたとしたら両腕のない今の彼女の価値は半減どころじゃすみませんよ。より痛々しさを強調したかったのかもしれませんが、僕なら解放する目の前で両腕足を斬り落として送り返しますね」
「な、な……」
「それにレイプの映像を流すのだったら、どうせなら一番始めを流した方が効果的だ。なんせ一番最初こそが被害者にとって最も精神的苦痛を伴うはずだからね。こんな中途半端なところを流す利点は、まあ彼女の疲弊した感じが伝わりやすいということは挙がるけど、でもそれだって他の方法で――――」
「分かった分かった。カナキ、もうそれくらいでいい。当の仕掛けた本人がドン引きしているぞ」
「あ……」
苦笑まじりのセシリア(この場面でその反応をする彼女だって相当変だ)に指摘され、僕はようやく目の前で蒼ざめるナターシャに気付いた。やってしまったなと思った直後、テント内に静香の高らかな笑い声が響いた。
「お前! お前というやつは……! 正真正銘私の息子だ! あははははははははは!」
「えー、そこ笑うところなのー」
実の母がやっぱりおかしいと思いながら、僕はそろそろ切り上げるべきだと判断し、踵を返した。
「ナターシャさん、先ほどの提案、もしも三日以内に僕の下へ聖天剋さんが本当に来たら、考えておきます。それと」
僕は振り向くと、茫然と立ち尽くすナターシャの目を見て言った。
「ナトラ君にあれだけのことをしたんですから、覚悟はできていますよね? 僕ならもっと上手くやるので安心してください。 ナトラ君以上の作品をあなたで創り上げてみせますよ」
「ひっ……!」
しっかりと聞こえた悲鳴。とりあえず今日はそれだけ聞いて満足し、僕はテントを出てシールへと戻った。
何にというわけではありませんが、初めてあの通知が来るのではないかと怯えています。
それはそうと御意見御感想お待ちしております。




