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死刑囚、魔法学校にて教鞭を振るう  作者: 無道
第二部 神曰く、死とは救いであり殺めるとは善行なのである
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ミーティング

 翌日、宿に内接された会合室で僕達はミーティングを行っていた。


「時間になりましたので、これより今後の任務について再確認と細かな行動指針についてお話します。まずこの任務の最重要事項ですが、ここシスキマから南西五キロ先にある関所の警護。これをコンスタン大尉率いるコンスタン部隊と合同して行います」


 全体への説明や指示は、ほぼ全てティリアに任せている。彼女が僕の秘書に近いポジションにいることもそうだが、先のウラヌス戦での彼女の献身的な行動が少年奴隷たちの心を掴み、急激に信頼を高めたのだ。おそらく、作戦中に僕の指示に従わないことはあるかもしれないが、ティリアの指示ならば彼らは絶対に従うだろう。僕に反感を抱いているエイラも、同期であるティリアの指示になら従う可能性は高い。つまりティリアはこの部隊の核となる存在であり、そのティリアから信頼を勝ち取っている僕は、実質的に部隊を上手くコントロールしていけるということだ。


「今合同と言いましたが、しかし、実質はコンスタン隊と我が隊が交代して警護に付きます。交代周期は七日から十日の間、警備の任についている間は一班五人で形成される班を三つ作り、それを八時間交代で回していきます。その班につきましてはタイガ大尉、ヴァース中尉、私を班長として、既にこちらで編成しましたので今からそれを発表していきます」


 そう言ってティリアは次々と班の編成を読み上げていく。

 奴隷の少年少女たちは、僕の班で呼ばれた者は無表情、エイラの班で呼ばれた者はえぇーと非難の声、そしてティリアの班で呼ばれた者は歓声を上げた。


「なんだぁ、あたしじゃ不満かクソガキ共!」


 非難の声を上げられたエイラは女性とは思えない乱暴な口調で怒鳴るが、火に油を注いだようにブーイングの激しさが増す。

 シスキマに来るまでの移動でも感じていたことだが、この部隊の子供たちは、奴隷だというのにエイラやティリアに敬語も使わないうえに、とても親し気に接する。通常の奴隷兵士たちなら考えづらいことだが、ウラヌス戦での二人の献身、そして誰でも分け隔てなく接する(エイラはよくも悪くもだが)裏表のなさが子供たちが心を許すきっかけとなったのだろう。そういう意味では、未だに碌な会話もしないし、するときでさえガチガチの敬語で話される僕はまだまだ彼らから信頼を勝ち得てないということなのだが。


「みんな、文句言わないで。カナキ大尉は優しいし、エイラもいざってときには頼りになるし、何かあればみんなを助けてくれるよ。みんなしばらくはこの部隊で一緒にお仕事をする仲間なんだから、これを良い機会だと思って仲良くしてほしいな」

「はーい!」

「……ここは幼稚園かよ」


 ティリアの言葉に揃って返事をした奴隷たちを見てエイラがそう吐き捨てる。僕としても、ここにいる奴隷兵士たちの平均年齢は十二、三歳くらいだが、ティリアの言葉に盲信的に頷く姿は大変興味深い。

 その後、それぞれの班に分かれて顔合わせと軽い自己紹介を行う時間が設けられた。

 僕の班は少年少女が二人ずつ、それぞれ小学校中学年くらいの子と中学生くらいの子を選んだ。僕の班は割とバランスが取れていて、エイラの班だと中学生くらいの歳でしっかり者の子が多め、ティリアの班は小学生くらいの子が多めで、彼女の指示に忠実に従える子を選出しておいた。

 自己紹介の後、班長から警備時の役割分担を伝え、一度元の席へと全員戻る。

 最後に、肝心の警護時以外での時間、何をすれば良いのか説明するためだ。


「先ほど述べた通り、関所の警備は一週間交代です。コンスタン隊が警備をしている間、私達は主にこの宿を活動拠点としますが、無論、警備期間外でも私たちは任務中であり、兵士として国に奉仕せねばなりません。そこで関所の警備がない期間、私達はこのシスキマに貢献せよ、との通達が来ました」


 ティリアの言葉に、一同は怪訝な顔を浮かべる。

 それを代表するようにエイラがぼやくように呻く。


「貢献って……また大雑把な指示だな」

「難しく考える必要はないよ。方法や手段は問わないから、何らかの形でシスキマでの仕事を探しなさいってこと。流石に、私達が月の半分くらいしか働かなかったら、シスキマの住人達も不振に思うでしょ? だからその間、私たちが怠けるんじゃなくて、働いてねってこと。もちろん、働いたら給料ももらっていいんだけど、その一部を部隊の生活費に当てなさいってことになってるから、今回は部隊への支給額も少ないの。みんな働かなかったら、ご飯も食べられなくなっちゃうから頑張ってね」


 苦笑して説明した内容に、ティリア信者の奴隷たちは元気に声を上げる。上からの通達自体はただ上層部がお金をケチっているとしか思えない内容だが、奴隷の子供たちのことを考えれば、将来戦争が終わり、彼らが市民権を獲得したときに、ここで少しでも普通の仕事というものを経験しておくのは悪くないことだという風に思える。それに、みんなが働くならば、僕が教会に詰めるのもあまり不自然ではなくなるだろう。


「とりあえず、最初の関所警備は三日後、それまでに自分はどこで働こうか目星だけはつけておいてね。質問がなければ、このまま解散とします」


読んでいただきありがとうございます。

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