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ちびっこ賢者、Lv.1から異世界でがんばります!【Web版】  作者: 彩戸ゆめ
目指せ、土の迷宮!

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第99話 町長の計画

 町に戻ると、広場の中央に観衆に囲まれながら、カリンさんのツタでぐるぐる巻きにされた町長とその一味がいた。


 その横には枝のドームを解除して、弓を手にしたカリンさんがいる。

 やっぱりエルフだから、弓の扱いが上手なのかなぁ。


「おう、カリン。ご苦労さん」


 フランクさんが片手を上げると、カリンさんは頬をふくらませた。


「なぜ弓など持っていなくてはならんのだ」

「そりゃあエルフには弓の名手が多いからな。カリンもそうだと勝手に思ってくれるだろう」

「ふむ」


 納得するカリンさんだけど、でも……。


「えっと、でも、その帽子を被っていたら、エルフだって分からないと思うんですけど」


 私も最初は分からなかったしね。


 っていうか、フランクさんも、「しまった」って顔をしないでください。

 町長の仲間とかが他にもいて、もし助けにきたりしたら、どうするつもりだったんですか~!


「いや、大丈夫だぞ。こうしてツタで縛っておるからな」

「お、おう。カリンの技で出したツタだからな。そんじょそこらの力じゃ切れねぇよ」


 そっか。いざとなったら子供たちと一緒に、もう一度枝のドームの中にこもってればいいもんね。


 でも、この町長さんは、なんで子供たちを誘拐したんだろう。

 確かにせっかく見つけた魔鉱石を採りたいって野心はあったんだろうけど、何も誘拐しなくてもいいのに。


「ボーワン、お主どうしてこんな馬鹿なことを……」


 ロウ神官が、縛られて座っている町長の前にかがんで目を合わせた。

 町長はその細い目でロウ神官を睨む。


「魔鉱石だぞ。この町で安定して採れるようになれば、どれほど町が潤うようになることか」

「だからといって子供たちを誘拐するなど、人の道にもとるであろうに」

「子供しか入れん場所にあったのだから仕方あるまい。それに別に誘拐などしておらんぞ。子供たちが小遣い稼ぎをしたいというから仕事を与えてやったまで。わしは何も悪いことをしておらん」


 プイッと横を向く町長に、ロウ神官は眉をひそめる。


「小遣い稼ぎだと?」


 怪訝そうなロウ神官に、私の隣にいたまーくんが何かに気付いたみたいにハッとした。


「もしかして、あいつら……」

「まーくん、どうしたの?」

「教会が立ち退きを迫られてるって噂があってさ。その話を聞いた時、あいつらは自分たちがお金を稼いで教会を買えばいいって言ってたんだ。それでお金を稼ごうとして、町長についていったのかもしれない」


 ええっ。教会を買う?

 気持ちは分かるけど、それはちょっと無謀なんじゃないかな。


「おい、爺さん。どうなってる?」

「誰がそんなことを言ったんじゃ。確かに教会の建物は老朽化しておるゆえ建て直す計画にはなっておるが、その間、お前たちはちゃんと隣町の教会で預かってもらう約束をしておるぞ」

「……だよなぁ。教会がなくなったらガキどもが困るって分かってて、爺さんが何の手も打ってねぇはずはないよな」

「でも、そしたら、あの噂は……」


 フランクさんとロウ神官の会話に、まーくんが呆然とする。


「おおかた、町長が教会の子供をこき使おうと思って間違った噂を流したんだろ。で、魔鉱石が採れることを秘密にしておきたかったから、子供たちを監禁してたってとこか? そんなもの、いつかバレるだろうに」


 ハーッと大げさにフランクさんが息を吐く。

 すると町長は細い目を吊り上げてフランクさんを睨み上げた。


「採掘が軌道に乗ったら資金援助をしてくれる約束だったんじゃ! ただその前に魔鉱石を掘って、国内屈指の純度があることを証明しなければならん。ある程度の量さえ掘れば、子供たちは解放するつもりじゃった」

「でも、ずっと採掘場の小屋で監禁するつもりだったんだろ? 子供たちを探しにきたロウ神官まで捕まえて。……採掘が軌道に乗ったら、まとめて始末するつもりだったんじゃねぇか?」

「そっ、そんなことはない」


 町長は否定するけど、視線が泳いでるから肯定してるのと変わりない。


「それで資金援助をしてくれる予定だったのは誰だ? ここの領主のウィラード子爵か?」


 フランクさんの詰問に、町長は口をつぐんで黙った。


「魔鉱石を献上すれば保護してくれると思ってるんだろうが……。残念だったな。魔鉱石は全部ただの石に変わっちまったよ」

「なんだと!?」

「この町の伝説になってるゴーレムだけどな。あれが魔鉱石を守ってた。だけど俺たちとの戦いで、魔鉱石の力をぜ~んぶ使い果たしちまってな。ついでに暴れまくるゴーレムは封印しといたからな。あんな物騒なもん、もう起こすんじゃねぇぞ」

「ゴーレムだと!? それにただの石だと……? どうなっておるんじゃ……」


 ブツブツと呟く町長さんを見ていられなくて目をそらすと、会話に加わらずに魔鳥に手紙を託していたアルにーさまがこっちを向いた。


「ああ、フランク。王都に連絡を送ったから、すぐに騎士団が派遣されてくるはずだよ。それまでは牢にでも入れておきたいところだけど……」

「領主のところにはあるだろうが、共犯かどうか分からねぇからなぁ。ああ、ギルドの牢はどうだ?」

「それはいいね。連れていこう」


 フランクさんとアルにーさまたちと一緒に、町長たちを連れてギルドへ向かう。


 はあ。

 とりあえずこれで、事件は全部解決したってことかな?

 みんな怪我もなくて、良かった良かった。


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