【塔の破壊、承り〼】
いつも応援してくれている皆様ありがとうございますm(_ _)m
とうとう本作の総合PVが170万アクセスを突破しました!!✧\(>o<)ノ✧
この前書きを書いてる時点で、ローファンタジーランキングも……
日間4位
週間2位
月間2位
を維持しており、まだまだ皆様の応援でランキング上位に留まっておりますm(_ _)m
もうすぐ第一章の〆になる関係で、今回は少し長めの文になってます!!
いつもより少しだけ多めに……
お楽しみ下されば幸いですm(_ _)m
そう決心した私が呼びかけるより早く……眼前に赤く輝く小瓶を持った滝沢君が現れた……
両肩を激しく上下させた彼は、目の前に現れた途端に片膝をついてしまった。すぐにスキルを解除すると、クリアになった視界の隅に転がるティラノもどき……彼が何かしらの無茶をしたことは明らかだった。でも今は、
「滝沢君、私達は今すぐ撤退……」
「待ってくれ鼎さん……コレを……」
彼は私の言葉を再度遮り、手に持った赤く輝く小瓶を手渡してきた。
「……これは?」
「エリクシルだ」
私は、彼の言葉に耳を疑った。“エリクシル”……タワーが世の中に認知されて以来……確認された現物は僅か二個しか無いという正真正銘のウルトラレアアイテム……
最初の発見場所はアメリカ合衆国、モニュメントバレー……観光客向けのビジターセンターからも見える高さ1000フィートを超える赤い奇岩……それを取り込んでタワー化したのが“キャニオンタワー”だ。
現地の名物モンスターであるクリムゾンバッファローからドロップしたのだが……残念な事に、発見者がその場で効果も分からず使用してしまい消失してしまった。
後の一つはフランス……モンサンミッシェルを取り込んでダンジョン化したタワー……通称“墓の塔”で発見された物だ。
これは発見者が“鑑定”持ちだったおかげで塔外に持ち出され、フランスの“タワー”研究機関[告知天使の福音]によって今現在も解析が続けられている。ちなみに私が使った“ポーション”も、元を辿ればE・D・Gの研究成果を参考にして作られた物だ。
ーゴクリッー
私はこれでもA級エクスプローラーの端くれだ。当然他のエクスプローラー達より圧倒的に様々なレアアイテムを目にして来たが……それでも、効果や存在が現代では再現できないアイテム……いわゆる“奇跡級”のアイテムに出会う事は滅多に無かった。
故に……この手のアイテムは偽物も多く出回っているが……視界の端に映る【ドラゴン】がソレを本物だと語っている。
「莉子ちゃんに使っていいのね?」
私は滝沢君に確認した。それはウルトラレアアイテム故の確認だったが……滝沢には別の意味に聞こえた様だ。
「鼎さんと本間さんも負傷したのか?? 大丈夫なのか??」
莉子ちゃんの治療で血まみれになっていたとは言え……この人にとっては、二度と手に入らないかも知れないURアイテムも、私達に使っても惜しくない程度の認識なのね……
「あは……あたし達は大丈夫よ!! さあ莉子ちゃんにこれを飲ませてあげましょう!!」
――――――――――
エリクシルを飲ませた莉子ちゃんの変化は劇的だった。服用したエリクシルが喉を滑り落ちた瞬間、彼女の全身は淡い光を放ち数秒後には彼女の傷は跡形もなく消え去る。まるでビスクドールの様に青ざめていた顔色も健康そうな血色を取り戻し、呼吸も穏やかな物に戻っていた。
「はあ……やっと終わったな」
俺が莉子ちゃんの無事を確かめてやっと一息ついた時……またしても、
《なにチンタラしてんのよ。あんたがどうしてもって言うから待ってあげてたのよ!! 終わったならさっさと行きなさい》
俺の耳にプリトーレのキンキン声が聞こえて来た。と、同時に……部屋全体に響く大音響でカウントダウンが始まる。
《本タワーの攻略が確認されました。これよりタワー最上階、“マスターフロア”は消滅します。マスターフロア内の全ての存在は1stフロアに転送されますので御了承下さい。カウントダウン開始……10…9…8…7…》
『待て! まだ何も準備が……』
《…3…2…1 転送》
俺達は……最後まで佐渡ヶ島タワーに翻弄されてボス部屋から去る事になった。
――――――――――
その後の事は……正直思い出したく無い……
1stフロアに強制的に転送された俺達は、その言葉通り……2ndフロアへのスロープの前のスペースに放り出された。本来ならそこには2ndへの挑戦者達が門前市を成しているはずなのだが……
そこには俺達を避ける様に奇妙な空白が生まれていた。そして……
「「「ウォッーーーーーー!!!」」」
俺達の周りには1stフロアに居たエクスプローラー達が集まって大歓声を上げている?!
「なんだこれは……一体何がどうなって……」
「よお!! やりやがったな兄ちゃん!!」
俺達を取り巻く奇妙なサークルを抜けて一人の職員が近づいて来た。あれは……?
「ああ、堂島さん……これ何の騒ぎだ?」
そこには……佐渡ヶ島タワー初日に俺を2ndフロアへ送り出してくれた交通整理のオッサンが立っていた。俺は周囲の様子を見ながらオッサンに疑問を問いただす。
「何がって……知らないのか?」
俺の質問に、堂島のオッサンは目をまん丸にして驚いている。おいおい……いい歳のオッサンがする表情じゃないぞ?
「知らない?? 何を??」
「お前さん達が最上層のボス部屋に入った瞬間……この1stフロアの壁全周にお前達がアタックしていた一部始終が投影されてたんだぜ?」
「何だと?!!」
俺は横たわる莉子ちゃんを抱える涼子と、その側で莉子ちゃんの手を握る環奈を見る。二人ともフルフルと顔を横に振って、この不測の事態について何も知らない事を主張していた。
「クソっ!! なんてこった……」
「何を照れてやがる!! お前等はこの地球上の誰も成し遂げられなかった事をやり遂げたんだぞ? もう少し胸を張ったらどうだ?」
クソっ……堂島のオッサンには何の責任も無いと分かっているのに、今はそのニコニコ顔が鼻につく……
「勘弁してくれよ。他人事だと思って……」
「バカヤロ!! 何が他人事だ! お前等はこの“佐渡ヶ島タワー”を攻略してくれた……確かにお前等にとっちゃ知った事じゃないかもしれんがよ……お前等は間接的に俺の友達の仇をうったんだぜ?? 他人事なんて言ってられるかよ!!」
俺はもう一度オッサンの顔を見る……いつの間にかオッサンの両目からは滝の様に涙が溢れていた。
「オッサン……すまねぇ。オッサンの商売道具を貸してくれねぇか?」
オッサンの泣き顔で気分が引き締まるとか……俺も大概だが、今この時にやらねばならない事を思いだした。
「……? 構わねえけどよ……へへっ。なんだよマイクパフォーマンスでもすんのか?」
オッサンは、鼻を啜りながらヘッドセットのマイクを外して俺に貸してくれた……ばっちくないだろうなおい?
俺は気を取り直してマイクを持つとその場にいた全ての探検者達に語りかけた。
「あ……あ〜…… みんなありがとう。ちょっと聞いてくれ」
俺はマイクを通して1stフロアに居た連中に語り掛ける。クソっ……こんなのはまったく性にあわんぞ……
「どうも俺達が最上層を攻略してたのを見たらしいが……俺はこのタワーに来たのは一週間前が初めてなんだ。つまり……“タワー”てのは俺みたいな素人だって工夫すりゃ攻略出来る代物だって事だ。それを踏まえて……改めて俺が知ってる事を聞いてくれ」
そして俺は“タワー”が惑星環境改造装置だという事を暴露した。勿論……情報はこの“佐渡ヶ島タワー”の賢者の石から仕入れた事にして……
「このまま呑気にタワーからお宝をいただいてるつもりでいると……突然地球は俺等の棲めねぇ環境にされちまう。だから、俺等みたいにお前等にもタワーをぶっ壊して欲しいんだ」
俺の爆弾発言にフロアのエクスプローラー達がシンと静まりかえる……俺は一瞬マイクを口元から外してPDに指示を出した。
『PD……お前の本体を通して、利平爺さんに“公開してくれ”と伝えろ』
『……了解』
「突然の事で驚いてるよな……だが安心してくれ。俺達が知ってる情報やノウハウはたった今から公開する!みんなもタワーから出たらネットで検索してくれ。キーワードは【塔の破壊、承り〼】だ! コンサルティングも受け付けるからヨロシク!!」
俺は言いたい事を全て言った後……ポカンとして事態を把握しきれていないオッサンにマイクを返し、そのままスタスタと転送されていた高機動車に近づいた。その向こうには同時に転送されてきた涼子のバイクや俺達の装備品……ティラノもどきの残骸まである。
『鼎さん、本間さん、バイクやティラノもどきの素材はギルドに任せて……みんなが呆気に取られてるうちに消えよう』
『了解……』
『わかりました』
俺は周りが氷ついてる間に、何食わぬ顔で高機動車に近づく……まだだ……そのまま固まってろ……
俺が高機動車のドアノブに手をかけ、開けようとした瞬間だった……
《あっ……あんた分かって無かったみたいだから教えとくけど……エリクシル精製で足りなかった素材、あたしのドラゴンちゃんとあんた達が持ち込んだ物から回収したからね! 本当はちゃんと集めた素材じゃないと駄目なんだけど……まぁ今回はサービスって事にしとくから……借りはちゃんと返してよ?》
「えっ?」
俺のイヤホンに苛つくキンキン声が響いたと同時に……
ドアノブを引いた俺達の高機動車は、まるで……部品をごっそり抜かれたみたいにバラバラになってその場に崩れ落ちた………
俺は右手にドアノブだけを持った間抜け姿でその場に取り残され……
「『あんの…………くそヤロウーーー!!!!』」
盛大に下品な雄叫びをあげてしまった………
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