エネルギーリソース
本作をお読みくださってありがとうございます。
ありがたい事にローファンタジーランキングにて好調を頂いております本作ですが……
先日、戯れに“小説家になろう総合ランキング”を確認してみましたところ……
なろう全作品しめて871,280作品のうち……本作が13位にランクインしておりました!!!
これ……魔王軍ならザムザくらいのポジションなんじゃねーか?と勝手に思って楽しんでおります(笑)
「まったく……手間取らせやがって。硬いばっかでトロイ自走兵器とか、今どき流行んねぇんだよ!!」
振り抜いた“破壊王”の慣性に逆らわず半回転、そのままオリハルコンゴーレムの側に降り立った俺は即座にヤツから離れる。確かな手応えはあったがはたして……ヤツに効いたか?
オリハルコンゴーレムは突然センサーからロストした俺を探して周囲をキョロキョロと見回し、数メートル先に発見した俺に向き直った所で……異変が起きる。
ービシッ……ー
奴の額に刻まれたキズから亀裂が拡がり……
ーパァンッー
そして亀裂が拡がりきったヤツの頭部は、乾いた破裂音を残して粉々に砕けた。頭部が砕けた瞬間、ヒューンという何かが停まる音を残して、オリハルコンゴーレムは完全にその行動を止める。俺は動きを止めたオリハルコンゴーレムを確認し……大きく息を吸い込むと、それを吐き出して全身の緊張を解いた。
『ふう、まったくやんなるぜ。こんなギリッギリで討伐作戦を決行する事になるとはな……』
『対象“オリハルコンゴーレム”の行動停止を確認……エネルギーリソースを回収しました。転換増幅を平常レベルにReチューニングします』
PDが全開にしていたエネルギー転換増幅を解除すると、途端に全身に疲労が押し寄せた。俺はその場に座り込むと全身から力を抜き……そのまま後ろに寝転んで大きく伸びをする。
『やはりフロアボスともなると、かなりのエネルギーを供給されていますね……これは“大規模レイド”からの連戦でなければもっと苦労したかも知れません』
『そうか……まぁ何事も計算通りとはいかねぇか。まったく……十階層のドラゴンの事を考えると頭が痛ぇぜ』
―――――――――――
オリハルコンゴーレムの頭が砕け散ったのとほぼ同時に……環奈は滝沢君の許に駆け出した。逆に莉子は、冷静に高機動車に乗り込むと、セイバーズ⊿の三人に乗車を促す。
「若いって良いわねぇ……」
私は眼前で繰り広げられた一部始終を思い出しながら、ハンドルに掛けたメットを手に取る。そのまま愛車に跨がってエンジンを掛け……
「それにしても……これはもう少し話を聞かないとだわ」
とヘルメットの中で呟いた。ここに至るまでに観察した彼の行動……それらを実際に見た私は、彼が何かしら“タワーに対して特別なポジションを得ている”事は、既に間違い無いと判断していた。
それこそ神山奈緒子に聞かされていた『既に“タワー”の攻略経験がある』というのも眉唾ではないかも知れない。
「まあ、全部話してくれるかはともかく……とりあえずは後始末からかな」
最後に、タンクに投げ出してあったライディンググローブを両手に嵌めた私は、莉子を追って愛車のアクセルを開けた。
――――――――――
「滝沢さん! 大丈夫ですか?!」
寝転んだまま目を瞑って休んでいた俺は、環奈の声を聞いて上体を起こした。片手を上げて手を振ると、環奈が何やらジタバタして俺を見ている。
「おいおい、落ち着けよ。大丈夫、ちっと疲れたから気を抜いてただけだ」
俺は環奈に改めて説明し、既に自身を襲いつつある筋肉痛と頭痛のダブルパンチを我慢して立ち上がった。
「もう!? 確かに滝沢さんの事は信じていますけど……無茶しないで下さいよ。周りで見ている人間はハラハラしっぱなしなんですよ!!」
そこまで言った時に、ちょうど高機動車と涼子のバイクも俺達の横までやってきた。
「兄さんお疲れっす」
高機動車から降りてきた莉子ちゃんとセイバーズ⊿の面々……うん? 一人足りない?
『一人は後部座席にて就寝中です。負傷していた様ですが既に適切に処置されています』
俺はこっそり教えてくれたPDに、端末を指でトントンと触って返事をした。
「えっと……君が公知君か?」
俺はゴーレムを足止めしていた青年に声を掛けた。ガッチリした体型にボディアーマーらしき装備を着込んだ彼は、ゴツい剣を腰に下げている。未来的な装備には若干不釣り合いだが、ゴーレムに振るっていた事を考えれば余程の業物なんだろう。
「えっ……はい、俺が公知です。救援ありがとうございます……」
彼は少し戸惑った様に返事をした。
「俺は滝沢だ。君の事は八階層出口に居た嚇天イーグルスの吉見さんに聞いた。大変だったな」
吉見の名を聞いた公知青年は、少し目を見開いて驚いた様子を見せた。
「吉見さんが? 八階層の出口に居たんですか? 吉見さんも見た目よりずっと重傷だった筈なのに……」
公知君はそこで言葉を失う……よほど自分が不甲斐ないのか、彼は両手を握りしめて俯いてしまった。
「そう気を落とすなよ。ヤツの頭にあった傷……あれ、鼎さんが割って入る前に君が付けたんだろ? アレが無けりゃ俺もヤバかったぜ」
「本当ですか!?」
俺の言葉に彼は驚いた様だ。更に何か言い出そうとした公知君だったが、車外に出て来ていたもう一人の青年が、公知君の肩に手をおいて彼を止める。彼は公知君を視線で止めると改めて俺に話し掛けてきた。
「初めまして。僕は公知のパーティメンバーでセイバーズ⊿のサブリーダーの嘉弥真慎太郎です。あの……滝沢さんは東京ソフトセイバーズか、もしくはギルドの要請で救援に来てくれた訳では無いのですか?」
嘉弥真と名乗った青年は公知と同じ装備ではあったが、公知とは真逆の線の細いタイプに見えた。
「ハハッ、俺達はたまたま八階層出口で吉見さんに頼まれたんだよ。あっ……メインで頼まれたのはそこの鼎さんだ。なんせ鼎さんは、富士では知らない者が居ないくらいのトップエクスプローラーだからな」
嘉弥真の話振りに少し面倒を感じた俺は、バイクを降りて俺達の側に来ていた鼎に話を振ってしまう……なんせ俺はクタクタだからな。
「はいはい……あなた達が疑問に思うのも無理ないけど……一旦みんなで八階層出口の安全帯まで下がりましょう。既にかなりの深夜だし……ここを見た限り十階層へのゲートは、恐らくオリハルコンゴーレムが居た古代遺跡フィールドに開いてるんじゃない? オリハルコンゴーレムの解体もすぐ出来る様な物じゃ無さそうだし、一旦出直す方が合理的よ」
涼子は流石にトップエクスプローラーらしい判断で、現実的な行動指針を打ち出した。確かにここで出来る事はもう無さそうだし、彼等もパーティに怪我人を抱えていては、そう悠長に立ち話もしてられないだろう。他の面々も表情は色々だが涼子の提案に反対する者は居なかった。
「さあ、そうと決まれば即時撤退よ……どうする公知君? 車の後部座席には仲間が寝てるでしょ? またお姉さんの後ろにくる?」
涼子が若干意地悪く聞いたが……小柄な女の子のメンバーにジト目を向けられた公知青年は、意外と純朴なのか真っ赤になってタンデムを遠慮した。
その後、彼女のタンデムシートには元々興味津々だった莉子ちゃんが収まり、俺達は一旦八階層出口まで撤退するのだった……
もし続きが気になるようでしたら……☆☆☆☆☆とか貰えたら嬉しいですm(_ _)m




