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マグナムブレイカー  作者: サカキマンZET
第3章 東と西 黒の追憶編
129/170

第129話 行動する凶悪。

テンションが上がって、こんな物を書いてみました。

グロ注意です。

 スカイツリーと同じく、夜空に聳え立つ光輝く大きなタワーマンションにて……

 一室には大量のサンドバッグが吊るされていた。その下にある木目調のフロアタイルには、赤黒い血液が溜まっていた。

 サンドバッグから血液が滴り出ていたのだ。


「……」


 台所で口笛吹きながら、手に付着した血液を洗い流す人物がいた。

 トレーニング用のシャツ、伊波一翔だった……。


「さて、次どの借金してる奴を殴ろうか?」


 手を洗い綺麗にすると、両拳をバンテージで巻き、次の殴るサンドバッグを探す。


「むー! むー!」


 五百万と金プレートで刻まれたサンドバッグが、小刻みに動き、呻いている。


「あ~まあ待てや、そんなに焦んなくても遊んでやるからよ。ちょっと休憩だ」


 伊波は煙草を一本咥えて、マッチで着火し、一服していた。

 ニタニタと笑いながら、伊波は五百万のサンドバッグに凭れかかり、ジッパーを開けた。

 中には肥満体で、限界まで前頭部が剥げ、メガネを掛けた中年男がいた。


「よう、災難だよな? たかが返済できなかっただけで債権者から、命で支払えって言われてよ。まあ、ちゃんと金にしてやるから安心しな」


「むー! むー!」


 男は口にガムテープを貼られて喋れない状態だ。


「あ~喋れないんだったな……それで何を訴えたいんだ?」


 伊波はガムテープをお構いなく勢いよく剥がし、相手の痛みなど都合なんて物は、知る必要もなかった。

 男は口から唾液でベトベトした女物のサイドフリルなパンティが吐き出した。


「た、助けてくれ! か、金なら期日にちゃんと払うから! い、命までは!」


 イカれた極道相手に鬼気迫る思いで、男は命乞いをする。


「……ちゃんと払えなかったから、こうなってんでしょ? じゃあ期日までに支払うなんていうバレる嘘は意味ねぇよな?」


 ニタニタと伊波は微笑みながら、煙草を男の額へ押し付ける。


「あ、熱っ! だ、だったら女なら! 一人、良い女ならいるぞ! それで私の命を……」


「あ~間に合ってんだよ。このタワマンに住んでる時点で、金に困って見えると思うか? 女なら風俗で抜いてもらう方で十分だ」


「……な、なら組員はいらないか? 丁度、無職の一人息子が……」


「再婚相手の息子。その後、息子の彼女を寝取って、追い出した奴だろ? 鉄砲玉にもなんねぇボンクラ渡されても、逆にクレームされる事も考えねぇのか?」


「も、もう一人いるんだ! そ、そいつは身体はデカイ、それに力もあるからコキ使ってくれてもいい!」


「……」


 初めて伊波が男の言葉に対応せず、命乞いを最後まで聞いたのだ。


「どうだ? ここは息子と引き換えで私の命を……」


「なあ?」


「?」


「ここまでさ、色々と命乞いが防がれてんのに。ここで俺が黙りするのは、おかしいとは思わねぇのか?」


 そう言って伊波は煙草をサンドバッグの中へと入れた。

 男は無抵抗なまま、火が点いている煙草が身体に接触し、痛みと熱さでサンドバッグの中で暴れるしかなかった。


「暴れんな、サンドバッグを天井に吊るすのに時間が掛かる。もし壊れたら命乞いなんか聞かずに殺してやる」


 伊波の冗談でもない本気の殺意で、男は察して、痛みに耐える。おかげで足は多少の火傷をした。


「話ってなんだっけ? あぁ、そうか。お前の連れ子だったな」


「あ、あぁそうだ。あのろくでなしなら自由に使っても構わないから、私を……!?」


 男は気づき顔が強張った。

 自分の言葉から追い出した息子、寝取った彼女、連れ子なんて一言も発してなかった。

 そもそも情報自体が全て、伊波に筒抜けで対策されていた。


 そんな様子を横目で見ていた伊波は、男の隣にあるサンドバッグへ触れる。


「二週間前、その連れ子が家に帰って来てねぇよな? お前等は何処かで遊んでるんだろうと捜索願いも出さなかったな? そりゃそうだろ……だって俺と一緒に遊んで(・・・)たんだからよ」


 そう言いながら、伊波はサンドバッグのジッパーをゆっくりと開けた。

 サンドバッグの中には、目玉を抉られ、頭皮は捲られ、頭蓋骨だけ露出した状態、更には鼻を覆いたくなる程の腐敗臭が漂った。

 ソレを見て、男は我慢できずにサンドバッグの中へ嘔吐した。


「おいおいこの前、綺麗にしたばっかなんだぞ。俺に対して調子乗って唾吐いた奴を、麻酔なしで歯を全部抜いて、餓死するまでヘロインで薬漬けしまくって、蝿とか蛆虫が沸いてたんだぞ。それを一生懸命掃除したのによ」


 伊波はあからさまに不機嫌な表情となった。が、男へ怒りを向けても仕方ないので、文句だけ垂れていた。


「な、なんでこんな酷いことを……」


 遂に男は精神負荷の限界を超えてしまい、泣き出してしまった。

 たかが借金返済できなかっただけで、目の前の仕打ちが信じたくなくても……現実である為、信じるしかなかった。


「なんでって? そりゃ俺が悪人だと判定したら、その行いは正義になんだよ。お前みたい奴、一人ぶち殺しても誰も悲しまねぇよ」


「ふざけるな! 貴様には道徳もないのか!」


「じゃあ今まで、お前がやってた行為も許されんのか? 言ってみろよ。反論してみろよ。論破してみろよ。所詮はソレだけだ。テメェ等のルールで他人を否定する……今まで上手く行ってたのが奇跡だという事を理解しろ」


「き、貴様~」


 強烈な憎悪で伊波を睨みつけ、ギリギリと歯を限界まで噛む男。


「う~ん? なんだって? あぁ、そうかそうか。親父、久し振りだな。俺は死体になって、あの世でよろしくやってるぜだってよ」


 伊波は死体の顎に触れて、頬を押しては引いて、腹話術で父親の男と会話していた。

 この男はイカれており、道徳もなく、容赦もない。

 男には人間の皮を被った悪魔だと見え感じた。


「じゃあ俺からも質問しようかな。テメェのいる所は快適か? ……そりゃそうか、喋れねぇもんな! だって、もう死んでるんだからよ!」


 伊波は高笑いしていた。人が死で悔やみ嘆いているのに、ソレを見て伊波は可笑しく思って、腹の底から笑っていた。


「たかが、借金程度でソコまでするなっていう顔だな? じゃあ言ってやるよ。そんな事、俺が知るか」


 今すぐにでも伊波に襲い掛かり、首を絞めて確実に殺したい気持ちで男は一杯だ。

 けれど今はサンドバッグの中に入れられた状態。恐怖で身体と手が出せない心理状態でもあった。


「……あ~あ、笑ったし。やっぱ、つまんねぇわ。テメェみたいな弱い物にしか手ぇ出せない奴を虐めても、俺は楽しくねぇわ」


「ふざけるな! この殺人鬼、私を殺してみろ! お前程度の組織なんか私達が潰してやる。後悔するなよ! お前の親、兄弟、彼女全て皆殺しにしてやる!」


「じゃあ、あの世で伝えておいてくれよ。お前は何も抵抗できずに、伊波一翔に惨殺されたってな。それじゃあな……」


 笑う物は笑い、色んな恥をかかせられ満足した伊波。

 そろそろ借金男を始末しようと、伊波の手元に金の針を持っていた。


「じんぐるべ~る。じんぐるべ~る。終末の音が聞こえる~、今日はテメェ等がくたばる日~」


 そんな趣味の悪い歌を奏でながら、男の頬を左手でガッチリと掴む。


「最初は痛いが、死ぬ時はセックス以上の快楽がある。俺は試したことないがな。」


 伊波が行おうとしているのは、耳の中に針を入れて、男を殺害しようとした。

 だが、そこに……


「兄貴、お楽しみのところ申し訳ございません」


「あ? 今いい所なんだぞ。邪魔するならテメェから殺るぞ?」


 伊波の舎弟である黒服の金井が入室して、呼び止めたのだ。

 途中で邪魔をされて不機嫌となり、伊波は舎弟に対しても、殺気をむき出しにしていた。


「鮫島組長、鬼塚本部長が招集しております。閻魔光会長が戻って来て、今すぐ伊波兄貴の力を借りたいと言っておりました」


「……おい、金井」


 先程の殺気は嘘のように無くなって、冷静な声で金井を呼ぶ。


「はい!」


「村本、柴田に俺の貸金庫から百億を引き落とせと命令しろ、川田と平井に暇な奴でも忙しい奴でも本部まで集結させろ!」


「はい!」


「……そういう事だ。お前との遊びはお預けだ」


 そう男へ告げながら、伊波はベトベトのパンティを拾い上げ、再び口の中へ無理矢理押し込み入れた。


「これから楽しい抗争が始まるんでな。いつ戻るか分からねぇから、元気でやってくれ」


 ニタニタと笑いながら、伊波はサンドバッグのジッパーを閉めた。


「さて、『アトラス財団』にも教えてやらねぇとな。出来レースされた抗争が始まるってな」


 伊波は狂気的に笑い喜び、男の息子が入ったサンドバッグを下ろし、引き摺りながら金井と一緒に部屋から退室した。

いかがでしたか?

もし良ければ誤字や脱字や意見や質問等があれば教えてください。

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