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第58話 リボンの初貫通。

「どうしてこうなったんだろう」


 レザーがつぶやく。

 みんながもう就寝の時間。

 周囲は寝静まっている。

 彼は使用人のベッドで寝ようとしていたが、問答無用で主人の大きなベッドに連れていかれ、その真ん中に寝かせられた。


 その両隣にはフリルとノーがいた。

 ノーの向こうにはストライプ、フリルの向こうにはパンがいて、とりあえず全員が同じベッドで寝ていた。

 さっき仲間になったばかりのリボンもどこかで寝ていると思うのだが、どこにいるのかも分からない。


 リボンは可愛かった。

 これだけ美少女に囲まれていて何を今さらと思うかもしれないが、どの仲間にもない可愛さがある、とか考えるレザーは明日にでもひどい目に遭えばいい。


 今日はあの子を心に思って眠ろう。

 とか、フリルとかノーの身体とか香りに囲まれて思っているレザー。

 どんな目に遭えばいいだろう。


「ねえ、ねえ……」

「……?」


 どこからともなくの声。


「ねえ、レザー、だっけ? 起きてる?」


 この声は、リボンのだ。


「え? どこにいるの?」

「目の前にいるわ」

「え?」


 目を凝らすと、確かに目の前にいた。

 レザーに覆いかぶさるように四つん這いになっていた。

 さっきまで完全に気配はなかった。

 それなのに、今、目の前にいる。

 彼女の潜伏能力は凄い。


「ねえ、私、本当にあなたを気に入ったわ」

「そ、そうっすか……」


 目の前の顔。

 なまめかしい声。

 漂ってくる風呂上がりの香り。


「だから、ね。あなたがこれだけの女の子がいてもいいわ。でも、今日、この時だけは、私のためあーーーーーーーーーっ!」

「曲者にゃ! ここにもにゃ!」

「あーーーーーーーーーっ!」


 レザーを口説いていたリボンが叫び、ついでに眠っていたノーも叫ぶ。

 気配を出した時点で気付かれるのは仕方がない。

 そして、それがストライプだったら叫ぶのも仕方がない。


「ついでにゃ!」

「あーーーーーーーーーっ!」

「あーーーーーーーーーっ!」

「あーーーーーーーーーっ!」


 色々大惨事になった。

 眠っていたからみんな無防備になっていた。

 咄嗟に目が覚めた上に逆側にいたフリルは身を守り、隣のパンも助かったが、大多数が被害を受けた。


 初めてだったリボンは泣いた。

 なかなか泣き止まなかったのでしょうがないからフリルが場所を譲ってやり、レザーの隣にしてやったら、しばらくして泣き止んだ。


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