第39話 フリルのお母さんに会う。
結局その日は全員がレザーの部屋で寝ることになった。
一人では広すぎるベッドも六人には狭く、レザーの周囲もみっちみちだった。
いつもならどうあってもレザーの隣を陣取るフリルもいないため、隣はパンとブラックになった。
最初は。
部屋を暗くしても誰かがごそごそ動いていたり「にゃー」と聞こえたりしていたので、ストライプが動き回っていたのは分かっていた。
更に静寂の中、いきなり「あーーーーーーーーーっ!」という声が響き渡る状況が続き、レザーの上を誰かが通っていったり、踏みつけられたりしていた。
みっちみちなので人が動いただけで周りへの影響が大きい。
で、いつの間にか隣がストライプになっていたので抱きしめてやったら大人しくなった。
その後はしばらくすすり泣きが聞こえてきたがそれもなくなり、静かに眠った。
翌日、朝起きたらいつものようにストライプが発情していたので、誰も止めないし、このままやっちゃうんだろうなあ、と諦めと期待が、レザーを包んだ。
だけど、あんまりそういうことを知らないというか空気が分かってないブラックが止めに入って、その後、絶叫した。
なんなんだこいつら。
そんなこともあってから、一旦フリルとも合流して、旅の仲間として一緒に王妃に謁見することになった。
ストライプまで会わせるとか正気かお前ら。
「……大丈夫なの?」
ワインは、お姫様みたいな服を着たフリルに聞く。
いや、そいつ、お姫様だからな?
「何とかなるさ? 俺だって成長してんだ、今更母親の言いなりになんかならねえよ」
「そう……」
ワインはフリルがめっちゃ汗かいてて、尋常なく手足が震えてるから、あ、これ無理かも、と思った。
フリルちゃんは度胸はあるけど、やっぱりママは怖いよね?
「アイエズ王妃、入られます!」
厳粛な声が響く謁見の間。
レザーたちは膝をついて頭を下げる。
王族であるフリルだけは、立ったまま頭を下げる。
「皆様ご苦労様。頭をお上げください」
優雅な声が辺りに響くので、レザーも顔を上げる。
玉座には、美しい女性が座っていた。
簡易的な王冠を付けた金髪の髪に、遠くからでも分かるきめの細かい肌。
そして、その顔立ちは、やはりフリルに似て、綺麗だった。
胸を強調した豪華な衣装を見る限り、フリルちゃん、将来期待していいじゃん、まだ膨らみそうじゃんって言いたくなるくらい豊満な胸があった。
まあ、フリルちゃんも王族の料理食べてたら、もう少し肉付きはいいんだろうけどね。
「皆さん、今日まで我が娘エリーズを保護していただきありがとうございました。そして、ご迷惑をおかけいたしましたと存じます。後ほどお詫びをかねて御礼を差し上げます」
まあ、普通に聞けば、感謝して金か何かくれるよって意味にも聞こえるが、賢いワインやパンには、口止め料、手切れ金に思えた。
レザーは馬鹿だから金がもらえそうなことにすら気付いてない。
ノーは頭はいいが興味のないことは考えない。
ブラックは入ったばかりで凄い、くらいしか理解してない。
ストラップはあの王妃に指を入れてどう逃げ延びるかを考えているが、絶対やるなよ?
「お母さま! わたくしは、今後もこの方たちと、旅がしたいと思っております……っ!」
フリルは必死に自分の意見を王妃に向かって言う。
ちゃんと言えたね、偉いねフリルちゃん。
顔は完全にビビってて、ちびりそうだけど。




