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騎士団幻覚事件5

長いです。

 騎士たちが見るようにになった影。

「誰が」「何を目的として」「影を」「見せているのか」

 メッセージ性があるのか、それとも驚かせたいだけなのか。


 アレイヤはどこから説明を始めたものかと、空腹を感じつつある中で思考を巡らせる。


「アレイヤ、確かに影の目撃情報はランドシュニー卿が研究室に入った時期と一致するようだが、それだけで彼を犯人と言うからには根拠があるんだな?」


 説明の第一声がなかなか出ない中、レオニールが体を前傾姿勢にさせて聞いてきた。


「まず、影を作るには影の形を作るものと光源が必要になる。多分、誰もが真っ先に想像するのは火を光源とすること。レオニールはそう考えた」


 そうだよね? と確認をすると肯定の頷きで返される。

 魔法が使える世界で電気の発明がない世界では当然の考え方ではある。

 それを間違いだとは言えない。

 普通なら選択肢に入っていることにすら気付かないだろう。

 その選択する可能性が低いものを、アレイヤは選ぶことができた。


「影を作るには光源が必要である――火でも、光でも」


 今は夏だ。前世の日本の夏よりは過ごしやすい気候ではあるが、それでも暑い。夜も。

 そのような季節に火を光源として影を作れば影の存在よりもその熱さに気が向くはず。だが影を見た人たちからは熱さの話は聞かなかった。


 光源と熱源は同義だ。


 しかし光魔法に熱エネルギーは発生しない。


「それに、火の明かりだけでは遠くまで影を伸ばせません。遠くまで届くほどの火を使えば目立ちますし、熱さも感じます。火を小さくすれば、火を使った人間の存在に騎士の皆様が気付かないはずもないでしょう。となれば、光源は光。光の魔力は国に一人だけ。現在唯一の光属性は私だけ。しかし私は犯人ではない」


 レオニールとノーマンは、アレイヤの言葉を聞きながらもその両目をある人物に向けていた。

 光源は火だけではない。

 そう言われてアレイヤを除いても該当する人物がこの場に一人だけいる。

 レオニールはその場にいた。ノーマンはレオニールかゼリニカから聞いて知っているようだ。


「光の魔力が付与された魔法石を使えば、先生も光魔法を使えますよね」


 確か公には以前いた光属性の元婚約者から教えてもらったことになっていたのだったかと、口が滑らないように注意しながらアレイヤは自分用のカップを手に取る。


「動機は……なんでしょう? 影を作る理由や騎士団で行った理由は?」


 クロードが光魔法を特殊な環境下であれば使えることまでは分かる。ならば次は動機が気になってくる。

 ノーマンの質問にアレイヤはクロードに目を向けた。


「それらしく言えば、私のための光魔法の研究……ですね。結構自分でも先生に無茶な話をした自覚はあります」


 地面に単純な模様を描く魔法陣を使いたい、だとか。


「しかし、光魔法が使えることを大っぴらにするわけにもいかない。条件が揃えば使えることが広く知られてしまうと、先生か私が国外に出なくてはいけないかもしれない。どうやら城の中には先生を利用しようとしている方もおられるようですし」


 話が逸れてしまいそうになり、咳払いした。

 わざとらしすぎて下手な咳払いになってしまった。

 耳を赤くしながらもアレイヤは続ける。


「ともかく、先生は私のための魔法の練習をする必要がありました。そして目を付けたのが――騎士のルーフェン様です」


 騎士仲間の名前が飛び出し、護衛の騎士たちが反応した。

 騎士の中に共犯者がいたのかと。


「騎士団長や副団長の方々に報告の必要なしと判断された話を、いくら強いられたからといって王族にお話ししますか? 雑談の一つだと言われたとしても。どうですか?」

「普通、騎士団長にも話していないことを王族の方にお話しすることはありません」


 アレイヤが護衛の騎士たちに目を向けると、全員が目配せをした後に一人の騎士が答える。騎士の言う通り、独断で王族に真偽不明な話をすることはしない。

 立場が違うから、基本的に会話はできないのだ。

 けれどルーフェンは話した。

 レオニールに、問題視すらされていない影の話を。


「先生は、ルーフェン様にあらかじめ私がいる場でレオニールに影の話をするように言っていた。それは共犯という意味ではありません。というか、ここまで大きな話になる予定もなかったと思います」


 恐らくは、影の話が浮上する。アレイヤがレオニールと共に王宮内を視察という名目で騎士団を訪れる。どこからか影の話が出て、レオニールがアレイヤを誘って影の謎解きをする。行き着いた先にクロードがいて――


「私はその魔法の使い方を教えてもらえる……までがセットだったのではないですか?」


 つまり、今回の騎士団幻覚事件はアレイヤに新しい魔法を与えるイベントだった。

 そう考えるのが一番平和的だ。

 アレイヤはどうにも頬が緩むのを抑えられなくなる。

 クロードは光の魔力が込められた魔法石がなければ光魔法を発動できない。言い換えれば、クロードは魔法石を持っていることを意味している。


 光の魔力が入った魔法石。


 アレイヤは例の魔力暴走事件以来魔法石に触れていない。ということは、アレイヤではない光属性の人間による仕業。アレイヤに教えるための魔法で、クロードが連絡を付けられる魔法使いは一人しかいない。


 もう一人の、魔法の先生。

 公には言えない、クロードの元婚約者。


「先生、私がお願いするよりも先に魔法陣について考えてくれてましたね?」


 魔法陣への興味は、筆記試験前に勉強のためにレオニールに教えてもらった旧図書室で見つけた本から始まった。

 魔法のある世界で魔法陣の存在を知ってしまったら、当然惹かれる。


「アレイヤさんほど勤勉な生徒なら、遅かれ早かれ魔法陣について聞かれるという想定はしていました。まぁ……魔法陣を描く方法まで指定された時は意表を突かれましたけど」


 おかげで実験の繰り返しです、とクロードは四つ折りに畳まれた紙を取り出して見せた。常に身に着けているのか、服の内側から取り出されたそれを広げる。

 細かく砕いた魔法石を、丸くのりか何かで貼り付けられていた。

 円状に配置された魔法石。

 それはアレイヤがクロードに無茶ぶりした魔法陣の基本形。


「これに魔力を注げば、強い光を発します。それ以外のことはできませんが、騎士団の方へ影を届けるには十分な光量になります」


 紙の大きさはハンカチと同程度。散りばめられた魔法石で描かれた円は端と中心のほぼ間。あとは適当に森に落ちていた枝や石に光を当てて影を作っていた。

 影の真相は以上だと告げれば、研究室の中が静寂に満たされた。

 魔法石を用いた魔法陣とは呼べないものだけで騎士団内で噂されるほどの現象を引き起こした事実は無視できない。

 魔法陣とは、緻密で計算された線と文字の羅列で構成されている。筆圧も結果に影響すると考えられ、だからこそ魔法陣は廃れる文明の一つなのだ。

 これまでの前提が覆ってしまう。


「……なんてことだ。こんなもの、報告できるわけがない」


 レオニールが呟く。

 はっ、と何かに気付いてクロードを見る。


「まさか、だから私に話したと……?」


 簡易な方法で魔法を発動できる事実を封じるのに、王族の力は必要不可欠。アレイヤやクロードの味方になってくれる王族は、今はたった一人だけ。

 王族を操るような真似は本来即罰則が与えられる不敬だ。

 不敬であることを分かった上で、レオニールを巻き込んだ。

 国に有用な発見や発明は、国王に報告する義務がある。報告する役目を負うのは、発見や発明をしたグループの長、または、その場に王族がいればその王族が。


 話す義務は発生した。


 だが、話せばアレイヤの身がどうなってしまうか分からない。

 光の魔力を魔法石に付与できるのは、この国ではアレイヤだけ。

 クロードが魔法石の使い方をレクチャーすれば使える人数は増えるが、付与は違う。

 アレイヤを守れるのはレオニールしかいない。

 クロードにも、ノーマンにも、騎士団でも、アレイヤを守ってやることは不可能だ。


「………………………………」


 たっぷり時間を消費しても決定が下されない。

 レオニールは自分が王族であることを呪いそうになった。

 助けを求めるように、隣に座る側近役を務めてくれているノーマンを見る。困ったような顔をしていたノーマンは視線を受けてまだ明かされていない謎について触れることにした。


「アレイヤ嬢、影については分かりました。けれど、残されていた魔力が乗らない魔法陣は……?」


 話を別のものに変えて、その間にレオニールには王族としての判断を決めてもらおうと考えた。

 ノーマンの気遣いをありがたく受け取り、レオニールは再びどうするかを思案する。頭の中ではどうすればいいかを考えているが、魔法陣の件も聞き逃さないように耳だけはアレイヤの声に向けた。


「……魔法陣の話は、私は先生にしかしていません。魔法陣の描き方や模様についても話していたので、残されていた魔法陣は先生が関与していないと言いきれます」


 魔力が通らなくても、魔法陣を意識したものだった。

 薄れてはいたので最初にどのような内容の魔法を使うつもりだったのかまでは調べようがないが、はっきりと言えるのは、クロードが描いたものではないことだけ。


「ここは研究室のはずなのに、先生が入って一か月は過ぎているというのに、あまりにも何もないと気になりませんでしたか?」



――この研究室には、何度侵入者を許しているのですか?

――二度しか許していませんよ。



 犯人はクロードである、とアレイヤが告げる前に交わされた二人の会話。

 クロードが犯人と言われたことで意識が集中してしまい、侵入者の存在が頭から抜け落ちていた。

 護衛の騎士たちとシリルが全身を強張らせる。


「調べていないので何とも言えませんが、魔法陣を描いたのはその侵入者に関係した誰かでは?」

「そうでしょうね。知らない魔法陣の話を聞いた時は内心驚きました。だって描いた覚えがまるでない魔法陣の話でしたからね。侵入者や魔法陣を残した人物には心当たりがあります。こちらで対処しておきましょう」


 疲れを見せない笑顔でクロードが言う。

 調査をさせるつもりがない態度からして、ワガママボディおじのマーゲイ侯爵が容疑者筆頭なのだろう。

 クロードを戦争に参加させるために。


「……分かりました。先生がそう言うのなら」

「何かお手伝いできることがあれば、後でお伺いいたします」

「ありがとうございます、ドルトロッソ様。お言葉に甘えて後程」


 アレイヤ個人にできることはない。

 ただ、顔の推しと声の推しが協力する光景を記憶に留めることに忙しい。 

 思いの外早く終わってしまった話にノーマンは主人へ向き直る。さすがにこんな短時間で解決策が浮かんだとは思えない。


「レオニール様……」

「一つ。策があるのだが」


 人差し指を立てるレオニールにノーマンは安堵した。時間稼ぎは成功したようだ。

 考えた策を伝えるために、クロードの研究室から護衛の騎士たちとシリルは退出を命じられた。


「アレイヤ、君の光魔法を借りたい。いいかな?」

「もちろん。君がそう望むなら」



+++


 窓から差し込むオレンジの光に、そろそろ帰らないとなと考える。

 アレイヤはまだクロードの研究室にいた。

 殺風景で、客人を迎えるために用意されたソファも今は片付けられている。

 あるのは最低限な調度品だけ。

 普段クロードが座っているらしい椅子にアレイヤは座っていた。

 研究室の持ち主であるクロードは窓枠に腰掛けている。

 レオニールが考えた策にはアレイヤの魔法が必要不可欠だった。新しい魔法陣の形を発表するわけにはいかない。ならば魔法陣なんて使っていなかったことにすればいい。

 アレイヤが、魔法石ではなく魔法道具に魔法をかけることで代替品ができる。

 急遽魔法道具を作成し、つい先ほど完成したばかりだった。完成した品は騎士団寄宿舎の壁に魔法陣を描いた人物、クロードの研究室に侵入した人物、それらを指示した人物に使われることになる。

 やったことのない魔法道具への付与で、アレイヤは休憩を余儀なくされていた。シリルの診断によれば小一時間休めば楽になるだろうとのことだ。

 騎士団の模擬戦闘訓練の負傷者の治療を一人で任されるほど期待されている医務官見習いなら信用できるとアレイヤが言えば、大袈裟に照れていた。

 帰る前に医務官たちの部屋へ行けばシリルが騎士団へ連絡を入れて馬車まで送ってくれると聞いている。


「アレイヤさん、もう大丈夫そうですか?」


 身じろぎしたからか、クロードが窓枠から腰を上げた。


「魔力渡しましょうか?」

「大丈夫です。それより先生、聞いてもいいですか?」

「なんでもどうぞ」

「私、先生が影を作っていたのは私のためだと説明しましたよね?」

「……そうですね」


 ――それらしく言えば、私のための光魔法の研究……ですね。


 誰も気にした様子がなかったそのままになったが、「それらしく」語っただけで動機は別のところにあったのではないかとアレイヤは推測していた。クロードならば外で練習する必要はない。光魔法を使うのなら、むしろ人目につかない場所でこっそりすればいい。というよりも、クロードが練習をする必要すら、最初からない。

 仮説があるならアレイヤに話して立証すればいいし、正真正銘光魔法を使える【彼】に任せておけばいい。


 なのに、しなかった。


 騎士の目に触れる場所で魔法を使い、レオニールを巻き込んで魔法陣のことを隠そうとした。


 なぜ?


 本当に魔法陣のことを隠したかったからか?

 違う。もっと以前から問題があったと考えるべきだ。

 そもそも、どうして侵入者がクロードの研究室に来たのか。研究室を与えられた理由は何なのか。

 なぜ、クロードを戦争へ行かせたいのか。


「本当の理由は、何なんですか?」

「知りたいですか?」


 ここで教えてください、と言える人間だったなら可愛げがあると言えるのだろう。

 素直に教えてくれないのは簡単に言うのを躊躇う内容だから。決してもったいぶっているわけではない。


 助けを求めていたのだとしたら。


 戦争に行きたくないと、気付いてほしかったのなら。

 クロードではワガママボディの侯爵を躱しきれそうにないから。

 アレイヤは椅子から立ち上がり、クロードと正面から向き合った。


「先生、もし、もしも本当に戦争に行くことになったら、私を連れて行ってください」


 理由を聞くよりも残酷だと知りつつも、言葉にした。

 クロードを戦争へ行かせたがっている人たちの要求を受け入れるものだと知りつつも言っておかなくてはいけない気がした。


「……生徒を戦場に連れていく教師なんていませんよ」

「先生、言ったじゃないですか。世界と戦争するしかなくなったら結婚しましょうって」

「だから貴女を連れていくわけにはいかないんですよ」


 分かってください。やんわりと、だけどはっきりと言った。困った顔で、言い聞かせる大人の顔をして。

 お互いに相手が見つからなかったらという条件付きの結婚の約束を、破られた。


「先生ほどの人が行かなければならないくらいの戦場なら、それはもう世界と戦うことと同義です。だったら私は先生と一緒に行きます」

「アレイヤさん……」

「守ってほしいわけじゃありません。私が戦場に立つ意味も少しは理解しているつもりです。だからこそ、先生の側にいたいんです」


 結婚がしたいわけじゃない。

 ただ、戦場にクロードが行くのなら私は絶対にその隣――その声が届くところにいたい。


「戦う先生が見られるのなら、本望です!」


 そう。アレイヤの願いはたった一つしかない。戦いたいわけでもなく、戦っているクロードの声が聞けたならそれだけで十分なのだ。

 むしろ聞きたくて聞きたくてたまらない。

 本気を出すところとか、少し圧され気味になって余裕がなくなったりだとか、絞り出すように限界まで力を出す瞬間だとか。

 聞きたいじゃないか。

 聞き逃せないじゃないか。


「もし、負けてしまったら?」

「負けません」

「アレイヤさん」

「負けません。先生が負けそうになったら、きっと私は無意識に光魔法を使います。全力の攻撃魔法を、躊躇なく」


 アレイヤはクロード同様に魔力量が多い。学園に入ってからさらに魔力量が増えていて、今後も増え続けていくだろう。そんなアレイヤが我を忘れて魔法を放てば、聖域の森の被害なんて些細なものに思えてしまうだろう。

 敵も味方も関係なく、クロードが負けそうになったなら。

 クロードは真っ直ぐ自分を見つめていた目が逸らされたことに気付いた。

 アレイヤは戦場が怖いのではなく、自身が魔力を解放してしまう方が恐ろしい。実際に戦場へ行けば戦場の恐怖も覚えてしまうだろうが、アレイヤが行けば確かに負けはしないだろう。

 負けはしないが、魔力を放出して酷く取り乱したアレイヤを落ち着かせる役目は必要になる。

 そしてその役目は自分がいいな、と嘘偽りのない欲にクロードはアレイヤの顔をこちらへ向けさせた。

 両手でそっと頬に触れて、目を合わせる。


「これほどまでに熱烈な愛の言葉は、初めてですよ」

「ぐはっ」

「え」


 突如として胸を押さえて苦しみ始めるアレイヤからクロードの手が離れる。

 敵襲か、急病か。

 どちらなのかと悶えうずくまるアレイヤの肩に手を置いて「アレイヤさん⁉」と心配から声が大きくなる。

 つい先ほどまで求婚かと自惚れてしまいそうなほど自分の側にいたいと訴えるアレイヤを抱きしめたらどういう顔をしてくれるのだろうと一瞬でも考えてしまった罰なのか。

 膨大な魔力量を持つクロード・ランドシュニーは、同じく魔力量の多いアレイヤ・ノルマンドと結ばれることは難しい。

 魔力だけで国の、世界のパワーバランスを壊しかねない。

 だからアレイヤは狙われている。

 パワーバランスを均衡に保つために。

 アレイヤが光属性の魔力を持っているがために、魔力量の少ない彼女――彼が国から出るしかなかった。クロードが出ていく理由がなかったから。

 国にたった一人だけ置かれる光属性の魔力保持者。その理由は世界のパワーバランスの問題だった。

 それほどまでに光属性の魔力は強い。

 癒しと破壊の力を持つがゆえに。

 魔力量次第ではたった一人でどの国の軍事力を上回る。

 かつての、いつかの人生を生きたクロードがそうされたように。


「アレイヤさん!」

「だ、大丈夫です。不意打ちの台詞に心臓が止まりそうになっただけです」

「……はい?」


 肩で呼吸を繰り返すアレイヤはまだ胸を押さえたまま顔を上げた。誰かと戦った後のような疲弊を見せて、苦しそうに笑う。


「先生、不意打ちで素敵な台詞は言わないようにお願いします」

「そんなお願い、初めて聞きましたよ」


 本当にこの生徒は自分の声が好きなんだな、と呆れてしまう。

 好きなのは声だけなのか、と言いそうになって喉を締める。これでは好意を強要しているようなものだ。

 もしもアレイヤが声以外のクロード・ランドシュニーを好きになってくれたなら、その時は世界を敵に回して戦ってみようかなんて考えて――止めた。

 アレイヤ・ノルマンドは、平和な世界が似合う。


推しの声を聞き逃すなんてもったいない。

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