幕間 訪問者
ルイーゼが社交界から姿を消してから数カ月後、カストロフ邸に王都からある人物が訪ねてきた。
「お久しぶりです、公爵」
「殿下もお変わりなくなによりです」
彼の名はセイザス・ミンセル、ミンセル王国の第二王子である。
つい最近まで隣国に留学に行っていたのだがつい最近帰国してきた。
「ルイーゼ様が社交界に姿を見せない、と聞いたものですから何かあったのか、と」
「そうですか……、社交界ではルイーゼは何と言われていますか?」
公爵はルイーゼに気を遣い外部の情報を遮断していた、もしルイーゼに関する根も葉もない噂を本人に聞かせたらマズい事になるのは目に見えているからだ。
「ルイーゼ様は体調を崩されているのではないか、と言われています」
「ルイーゼに関する悪い噂とかは聞いておりますか?」
「いえ、特には。 ルイーゼ様は真面目で優秀な方ですから悪く思う人はいないですよ」
セイザスの話を聞いて公爵はホッとした。
そして、セイザスなら信用出来る、と思った。
「実はルイーゼは今心の病にかかっておりまして……」
ルイーゼの現在の状況について公爵は説明した。
「そうだったんですか……」
「この事はまだご内密にお願いいたします」
「わかりました、まず王家を代表して非礼をお詫びいたします」
セイザスは頭を下げた。
「我が両親も兄も自分の事ばかり考えて人の心を理解していないからこんな事が出来たんです。 家族として恥ずかしいですよ」
そう言ってセイザスは憤っていた。
「ルイーゼは普通の生活は出来ますが貴族社会に復帰できるかはまだわかりません。 私は今後もルイーゼを支えていく所存です。 場合によっては爵位を返上する覚悟もあります」
「公爵の気持ちもわかります。 実は父上から様子を見てくるように、と言われたんですが……、どうやら話し合いが必要ですね」
セイザスは黒い笑みを浮かべて帰って行った。




