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変わらなきゃ

「そうですか、セイザス様が来られたんですか」


「あぁ、あの王家の中では一番信頼できるのがセイザス様だからな、何かやってくれるだろう」


 私はお父様からセイザス様がご訪問された事を聞きました。


「それにルイーゼに関する悪い噂は無いそうだ」


 その話を聞いてちょっとホッとした、と同時に『自分が噂にも上がらない既に忘れられた存在なのではないか』とも思ってしまう。


「ルイーゼ、また悪い方向に考えていないか?」


「えっ!? いや、あの……」


「いいんだよ、世間がどう言っても私達はルイーゼの味方なんだ」


「ありがとうございます……」


 お父様の優しい言葉に涙が出そうになる。


 いつまでもクヨクヨしていても仕方がない。


 そろそろ自分を変える為に何かやらないといけない。


 でも、何から手をつければいいのか……。


「ルイーゼ様、だいぶ髪の毛が長くなりましたね」


「そういえばそうね……」


 ウェーブのかかった長い金色の髪はよく褒められた。


 療養生活に入ってからは手入れもしていなくてボサボサになっている。


(そうだわ、いっその事……)


「ミッシェル、お願いがあるのだけど」


「なんでしょうか?」


「髪の毛を短く切ってくれないかしら?」


「えっ!? ルイーゼ様の髪を私が切って良いんですか!?」


「良いのよ、自分を変えるきっかけが欲しかったから。どうせだったら肩ぐらいまで切ってちょうだい」


「わかりました、すぐに準備してきますので」


 そう言ってミッシェルは一旦部屋を出て行った。


 そして、手鏡とハサミを持ってきたミッシェルは私の髪の毛を切り始めた。


 チョキチョキと言う音と共に頭がだんだんと軽くなっていく気がする。


「どうでしょうか、これぐらいの長さで」


 腰まであった私の髪は肩ぐらいで切り揃えていた。


「うん、いいわ。ありがとう」


「いえいえ、でも旦那様達は驚きますね」


「そうね、でもそれも見物ね」


 案の定というか髪が短くなった私を見て驚いていた。


 その驚いた表情を見て私は療養生活が始まってから心から笑った。    

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