表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/1892

いっぱい食べる君が好き

「追い詰められた探査者たちを救い、さらにはリッチまで討伐してのけた手腕、まことに見事です山形さん。しかし……」

「システムさんからの情報と、新たなる称号……いえ、明確なる警告ですね。《警告:生きとし生けるすべてのものへ》とは」

「集結し、団結し、協力せよと。世界を壊し、時代を歪め、この世を荒野へと変えたモノが俺に気付いたと。そうも言っていました」

 

 組合本部は広瀬さんの部屋。戻ってきた俺の報告と、システムさんからのあまりに不穏なメッセージに、広瀬さんも香苗さんも深く、厳しい顔付きで唸っている。

 さもありなん。システムさんの、俺の称号欄を使ってまで行われた警告は、明らかにナニモノかの存在を指し示している。察するにこの、大ダンジョン時代を創り出したきっかけですらあるようなモノが……俺をトリガーに、目を覚ましたのだ。

 

「私の……立場程度ではどうにもなりません。急ぎ、WSOの烏丸さんに連絡し、さらにその上役に報告してもらいます」

「動きますか? 言ってしまえばただの学生探査者の言葉を根拠に」

「動かします! 称号という証拠もあります、烏丸さんも、システムさんが存在することを把握している。これは、大ダンジョン時代を揺るがす情報です……絶対に、上層部まで届けます!」

 

 使命感をこれ以上ないほどに漲らせる広瀬さんに、疑問を呈した香苗さんはニヤリと笑い、軽く頭を下げた。

 何とも頼れる大人の姿だ。俺も深く頭を下げ、おねがいしておく。

 

「よろしくおねがいします。システムさんの口振りは、明らかに何かが動き出したことを確信していました」

「もちろんです。今のこの時代の根幹に関わる重大事なのですから。あなたという存在の重要性も併せ、伝えきってみせましょうとも」

「え。う……お、おねがいします」

 

 俺の重要性とか、別にいいんじゃないかな〜? なんて一瞬言いかけたが止めた。もう、さすがに言い逃れはできない……俺は何かしら、この大ダンジョン時代にとって特別な存在になりつつある。

 少なくともシステムさん、リーベ、そして例のナニモノかは俺を特別視している。だからこそ前者二人は俺に警告してきたのだろうし、後者は目を覚ましたのだろう。

 

 しかし、こうなると本当にその、ナニモノって何者だよって話になってくる。

 システムさんも結局どういう立場のどういう人なのか分かってないし、リーベも地味に謎しかないし。アドミニストレータ? オペレータ? コマンドプロンプト? 知らない単語ですね……

 とにかくそんなだから、俺からしてみれば推測すらしようがないし、仮に筋の通りそうな説を立てたとて、とてもじゃないけど香苗さんや他の誰かに吹聴する気にはなれない。

 

 要するに、さっさとレベル300にして、リーベをこの世に出現させるってのが変わらず、俺の目標になってくるわけなんだなあ。

 まったくハードルの高い。今後ナニモノかとか邪悪なる思念とかの相手までするのかってなると、さすがにもうちょっとアメとかほしいわ、これ。

 

 さてさて、まあお偉方への報告なんかは広瀬さんにお任せ。俺と香苗さんはようやっと一息ついた心地で組合本部を出た。

 色々あったからかもう昼下がりだ、そういえば何も食ってないし、意識したら腹が減ってきた。いかん。

 

「何か、ご飯でも食べましょうか〜」

「いきなりヘロヘロですね。お昼過ぎですし、お腹も減りましたよね。分かりました、行きましょう」

 

 一人でよく行く、良いお店があるんです。

 そう言った香苗さんに車で連れて行かれたるは最寄り駅の近くにある、昼からやってる焼肉屋。食べ放題2hで6980円なり。高え!

 え、ていうか昼からこんな豪勢にやるの? マジで?

 

「今日は公平くんが新たなる力に目覚め、人を救い、また一歩救世主としての偉大な足跡を刻んだ記念すべき日です。ささやかながら祝勝会と行きましょうよ。もちろんお代は私持ちです」

「いやいやいや! それはさすがに、割り勘でしょう!?」

「子供が何を言ってるんです。良いからお姉さんに奢られてやってください。人を救うために頑張り抜いた素敵な男の子への、ちょっとしたご褒美です」

 

 こういう時だけお姉さんぶるのズルいよ〜。茶目っ気めかしてウインクするなよ、トゥンクしちゃうだろ〜。

 時折こういうことしてくるから、この人には敵わないなあって思う。その癖、狂信者ムーヴの時は何から何までツッコミどころしかないという、隙の多さでギャップを見せてくるんだから本当に、なんだこの人。

 

 無性に照れくささを覚えつつも焼肉屋へ。結局、香苗さんにゴチになりやした!

 すげえ旨かった。めちゃんこ食った。何なら香苗さんも俺に負けじと食べていた。もちろん野菜もほどほど食べたよ、バランスは大事。

 

 やー、一月分は食ったね、お肉。まあ、その日の夕方、豚の生姜焼きが出てきたもんだからそれも美味し〜く、いただいたんだけどね!

 ごちそうさまでした!

この話を投稿した時点で

ローファンタジー日間、週間、月間1位、四半期5位

総合日間8位、週間7位、月間13位

それぞれ頂戴しております

ありがとうございます

引き続きブックマーク登録と評価の方よろしくおねがいします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
そのうち称号に栄養バランス褒める言葉が・・・さすがに無いか
[良い点] ななんか物語の根幹に関わりそうなモノが出てきたのにまだ1000話位あるんだぜ?信じらんねぇよな…… スルスル進むからアレだけどそれでも500話位でラスボス到達しそうなのに。 さては海外勢の…
[良い点] 周りの大人たちがちゃんと理解して動いてくれてるのいいですねぇ~ [一言] 焼肉が食べたくなりました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ